庄内米の品質を支え、名を高めた 意匠と機能に優れる米穀倉庫

山居倉庫

庄内が米どころとして大いに発展した江戸時代。旧庄内藩初代藩主、酒井忠勝公が「庄内は天恵の沃野、正に之を以て国を立つべき楽土なり」と地の利に着目し、稲作を奨励した背景がある。それまでに最上家が築いた稲作の地盤の上で、酒井家は「庄内米」を上方へと売り出し、酒田港は米の積出港として繁栄、町は活況を呈した。しかし、明治時代に入ると状況は一転。新しい政策によって米生産が不安定な状況に陥り、農民の暮らしを圧迫。米品質はみるみる落ちていった。このことを危惧した本間家は、酒田の米商人らを救うべく「米商会所」の設立と経営を旧藩主酒井家に進言。1886年、悲願の酒田米商会所開業を果たし、その後、最上川と新井田川の中洲“山居島”に附属倉庫を新設。こうして山居倉庫の歴史は始まった。当時、入庫する米は厳格な規格のもとで等級化され、黒地に白文字で「庄内米」と書かれた黒びょうせんは最高級米の印として、全国各地に出荷された。

現在、山居倉庫全12棟のうち1棟は「庄内米歴史資料館」として、昔の農民の暮らしや農具、米俵かつぎ体験などを通して、庄内の米づくりを紐解く施設となっている。2棟は、酒田市観光物産館「酒田夢の倶楽」となり、酒田のみやげ処、食事処としてにぎわう。他の9棟は、今もなお農業倉庫として活躍する。
ここから全国に流通する「庄内米」のおいしさの秘密は、倉庫の構造にある。周囲は塗り固めた土蔵造で、合掌窓や側窓など数々の窓を備えて通気性を保ち、二重屋根で温度調整を行う。そよ風に踊るけやき並木は、海からの西風と日光から作物を守る。たくましい酒田のシンボルツリーだ。築126年を迎える山居倉庫は、これまでも、これからも、庄内の米食文化を支えている。

庄内米歴史資料館 開館時間 9:00~17:00(3月~11月、12月は16:30閉館) 休館日 12月29日~2月末日 入館料 大人300円、中高生200円、小学生150円 電話番号 0234-23-7470 公式サイト:http://shonai.zennoh-yamagata.or.jp/gallery/index.html

酒田市観光物産館「酒田 夢の倶楽」 開館時間 9:00~18:00(12月~2月は17:00閉館) 休館日 元日 電話番号 0234-22-1223 公式サイト:https://sakata-kankou.com/feature/yumenokura/yumenokura

住所 山形県酒田市山居町1-1-20
名称 山居倉庫
開館時間 見学自由
駐車場 あり