風土と人の生活文化を集めた 庄内の多様な「暮らし」の博物館

公益財団法人 致道博物館
「古いものは捨てられ、新しいものが取り入れられていく」この風潮にいち早く危機感を抱き、庄内の生活文化の保存に努めた酒井家。致道博物館は、1950年に旧庄内藩主酒井家16代忠良(ただなが)の寄付によって創設された、地域に根ざして活動する博物館だ。

敷地に入ってまず目を引くのは、重要文化財の「旧渋谷家住宅」「旧西田川郡役所」「旧鶴岡警察署庁舎」だ。

旧朝日村の田麦俣(たむぎまた)から移築した旧渋谷家住宅は、3、4層からなる「多層民家」。「兜造り」の茅葺き屋根がシンボリックだ。当時、養蚕を生業としていたため、通風採光に優れた高窓が取り付けられるなど、風土と暮らしに根ざしたかつての建築様式が見られる。

  

一方、旧西田川郡役所と旧鶴岡警察署庁舎は、いずれも鶴岡の名棟梁・高橋兼吉らによる擬洋風建築。郡役所は明治天皇の東北御巡幸の際、鶴岡の行在所として利用された由緒ある建物だ。建物内には庄内の考古資料や、戊辰戦争以降の関連資料が展示されている。郡役所と同じく、初代県令の三島通庸(みしまみちつね)によって建設された警察署庁舎は、市街地を見渡せるバルコニーなど随所に見られるルネサンス風の装飾が印象的。5ヶ年にわたる大規模な修復工事が行われ、水色の外壁や取り調べ室など、創建当初の姿が蘇った。

 

ほかにも致道博物館には「ばんどり」や「くりもの」を収蔵した「重要有形民俗文化財収蔵庫」や、国指定名勝「酒井氏庭園」など見どころが多い。「旧庄内藩主御隠殿」での常設展のほかに、「美術展覧会場」では、酒井家に伝来した文化財など貴重な資料を公開する企画展等も行っている。庄内の考古・歴史・民俗・美術に触れられる致道博物館。先人から受け継がれた”暮らしの遺産”は、色褪せることなくここに現存する。

住所 山形県鶴岡市家中新町10-18
名称 公益財団法人 致道博物館
開館時間 9:00~17:00(最終入館 16:30) 12月~2月は16:30まで
休館日 年末年始 12月~2月の毎週水曜
入館料 一般 800円、学生 400円、小中生 300円
電話番号 0235-22-1199
駐車場 あり
公式サイト <p><a href="https://www.chido.jp/" target="_blank">https://www.chido.jp/</a></p>