自然や人のあたたかさを肌で感じる飯豊町

飯豊町地域おこし協力隊 家財綾さん

家財綾さん
東京都出身/飯豊町在住/Iターン

山形県置賜地方の中心部分にある南北に伸びる飯豊町で、地域おこし協力隊の移住担当をされている家財綾さんです。東京から移住されて5年目になる綾さんは、移住を希望されている方々に飯豊町を案内したり、移住についての相談を受けたりすることを中心に活動されています。またプライベートでも飯豊町のさまざまな活動に積極的に参加されています。人のあたたかさに惹かれ移住を決められた綾さん。「活動を通して飯豊町ファンを増やしたい」と飯豊町の魅力をたくさん教えて頂きました。

—— 家財さんが飯豊町に移住したきっかけは友人との会話だそうですね。

もともとは東京で中学の教員をしていました。ちょうど教員を辞めようと思っていたときに、友人から飯豊町の「帰郷希望女子応援プロジェクトの移住体験ツアー」に参加したという話を聞いて興味を持ったので、私も連れて行って欲しいとお願いしたことがきっかけです。実際に飯豊町に訪れ、様々なところに案内してもらいました。そのなかでたくさんの人のあたたかさに触れ、ここに住みたいと思うようになりました。

—— 飯豊町に対する第一印象はどうでしたか。

とにかく人が優しくて、飯豊町のどこに行っても受け入れて下さる感じがありました。1度訪れたときに移住しようかどうかということを伝えると、泊まらせて頂いた農家民宿のおじちゃん・おばちゃん、席を一緒にしたじいちゃんなど、皆さんに「応援するよ」と言って頂き、人のあたたかさに惹かれましたね。そこから、より移住したいと思うようになりました。

—— 以前とは住む環境が変わったと思いますが、移住してみて感じたギャップはありますか。

夏は涼しいんだろうなと思っていましたが、実際はかなり暑くてそれが予想外でした。雪に関しては、特に車の運転が怖かったですね。雪がひどいときは無理をしてまで外出しないようにしていました。今は、移住を始めたときに比べると慣れてきたと思います。昨年は雪が多く、自宅の屋根から落ちた雪が、窓にかかりそうになるくらい高くなってしまったときがありました。心配した近所の方が除雪機を持って来て下さって、除雪をして頂いたいたこともありますね。とてもありがたかったです。

—— 飯豊町を含む置賜の魅力はどこだと思いますか。

なんといっても、お米が美味しいんですよ。飯豊牛もおいしいです。山菜やラーメンなども飯豊町に限った話ではなく、山形はとにかく食べ物がおいしいです。また、置賜には、各所に面白いところがあります。自然体験ができる場所はもちろん意外にカフェが多いことにも驚きました。いつか南陽市でパラグライダー体験したい!

—— 家財さんは地域の方とたくさんコミュニケーションをとっておられますよね。

とにかく人とたくさん関わっています。移住する以前は、家と職場の往復だけで、お隣さんや地域などでどんなことをしているのかも知らなかったですし、関わる余裕がありませんでした。ですから、人との繋がりを大切にしたいと思って飯豊町に移住したというのもあります。飯豊町の方は面倒見が良く、頼れば頼るほど助けてくれるので。ただまったりお茶飲みをする友人もできました。お茶飲みに誘われれば、次の日にすぐ行きます。近所の来々軒にもよく行きます。私の第二の台所みたいな感じです。どのメニューもおいしくて、だいたいのメニューを制覇しました。とにかく町のイベントには参加して、住んでいる地区の雪まつりや縁日など公民館行事もお手伝いしています。友人と水没林マルシェを企画したり、他にも、飯豊町の魅力を発信しようと、UIターン者が中心となるNPOにも所属し、事前に飯豊町の食材をお送りし、オンラインで一緒に調理して食べながら交流するオンラインキッチンを行ったりして、町外の方とも交流を行ってきました。

—— 日々のコミュニケーションを大切にしてきて良かったと思うことはありますか。

昨年8月に水害時には本当に人との繋がりの大切さや深さを感じました。本当にどうしたら良いか、何をしたら良いか、半パニック状態だったので、自治会や隣組など、仲間の存在は大きかったです。まちづくりを考える若者団体「いいで未来カフェ」グループラインではタイムリーな情報が飛び交い、とても助かりました。また、近所の人で知らない人はほとんどいないので安心感があり、常に誰かがみている状態なので、子供たちも安心して自由に遊べます。飯豊町の人の繋がりは激熱です。飯豊町に移住者されたほとんどの方が、飯豊町の魅力は「人」とおっしゃいます。

—— おすそ分け文化もすごいと聞きます。

家に帰ると玄関に野菜が置いてあるときもあります。名前が書かれていないのでお礼をするにも一苦労です(笑)それでもやっぱり名前は書かないんですよ。それが美徳ということかもしれません。夏は野菜で冷蔵庫がいっぱいになります。貰い物だけで生きていけそうです。たくさんもらったときは、他の移住者の方におすそ分けします。そうすると今度はその方が違うものを持って来て下さる。そんなやりとりもあって、人と関わるのが好きな方には最高の環境です。

—— 地元の方しか知らないような穴場を教えて欲しいです。

中津川地区にある展望台、がおすすめです。朝に行くのがいいと思います。朝靄がかかってきれいなんです。あずまやがあるのでそこに弁当持って行って、食べながら中津川全体の景色を楽しめます。

—— 飯豊町を訪れるおすすめのタイミングはありますか。

来町のおすすめのタイミングですと、「SNOWえっぐフェスティバル」のときですかね。7月末に行っています。冬の間に雪室にラ・フランスやジャガイモなどを入れておきます。天然の冷蔵庫ですね。そうすると糖度が増すんです。ジャガイモは特に甘くなって、それをふかし芋するとすごくおいしいんですよ。それらをSNOWえっぐフェスティバルの際に白川湖の公園に出すんです。夏に雪を楽しむことができるイベントです。その他にもたくさん魅力がありますのでぜひ足を運んでみて欲しいです。

—— 今挑戦したいことと教員時代の共通点はありますか?

飯豊町に来てから若者の集まる場所があったらいいなと考え始めました。「子供たちに憧れられ、将来の選択肢やきっかけを与えられる大人でありたい」という思いや人が好きというのは昔から変わらないのでその延長線上に今の活動がありますね。楽しみながら飯豊町のためになることができるのは最高だなと思っています。飯豊町には新しいことにチャレンジする方が多く、それをみていると私も前向きになります。飯豊町に移住してから一緒に挑戦してくれる仲間ができたのは大きく、協力隊の仕事を終えても、飯豊町で活動をしていきたいと考えています。

—— これから飯豊町に移住されるかたにメッセージをお願いします。

とにかく飯豊町へ来てみてください。どんなに聴く情報よりも自分で来てみて感じるのが一番ですので、ここでいろんな体験をして、自然や人のあたたかさなどを肌で感じてみてください。

取材・文 井上美羽奈