慶應大学の先端生命研究所が鶴岡にやってきたときに、所長の冨田勝さんから「シミュレーションをきちんと行えば、1万回やっていた実験を100回ぐらいにまで減らしても的確なデータを得ることができる」ことを教えていただいた。それは建築の世界でも同様で、3次元データを用いて設計するBIMは、まさにシミュレーションによって施工の不具合をなくす技術だ。これを導入してきちんと実用化すれば、施主と完成のイメージを共有してアイデアを出し合うことができると同時に、施工会社様に工期や予算のしわ寄せを与えることが減り、つまりはいい建物を適正な価格で供給することが可能となる。BIMを導入することによって、設計図の作成や構造計算など、細分化の進んでしまった建築の仕事を改めて総合的に捉え、設計から竣工までを担うチャンスが増えていくはずだ。建築の仕事を変えるこの新しい技術を、若くて発想力のある人たちに活用してほしい。