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未経験だからこそ面白い。日々成長を感じられる職場。

有限会社備研 / 防水工

インタビュー記事

更新日 : 2024年07月25日

 今回お話を伺ったのは、防水工事を中心事業として手掛ける有限会社備研。ビルやマンションとした大きな建物から、個人の住宅まで幅広く施工する。また、学校や庁舎など、公共の建物も多く手掛けており、地域社会にもしっかりと根付いている。面白いのは、農地改良も手掛けているところ。その想いを聞いてみた。

有限会社備研 事業概要

もともと1995年に、現代表取締役の石井良行が個人創業したのがはじまり。2001年に法人化し、有限会社シーリング工事石井を設立。その後、事業の幅が広がっていくのにともない、2014年に有限会社備研と改称した。
主事業は建物の防水施工。対象となる建物はビルや工場などの大型のものから、個人宅まで幅広い。さまざまな工法に対応するために、社員のほとんどが各資格を持っているという技術力が評価されている。
そのほかの事業として、ストーンクラッシャー工法という日本でも珍しい技術を有し、農地改良事業も手掛ける。

様々な工法で建物を守る

 有限会社備研が手掛けるのは「防水工事」。ひとくちに防水工事といってもさまざまなものがある。建物も工場などの施設やマンション、ビル、学校といった大型の建物から、住居のような小さな建物まで幅広い。また、新築、改修といった違いもあり、それに合わせて工法もさまざまなものがある。例えば、ビルや新築マンションなどには、アスファルト工法というものが一般的に用いられる。そのほかに、屋上、外壁、ベランダなど施工場所の違いにより、シート防水、ウレタン防水、FRP防水といった工法がとられる。また、防水箇所の形状や周囲の環境などによっても工法を変えていく必要がある。それらを総合的に判断し、適切な防水工事を行っている。

 雨漏りがしてしまえば困るというのはもちろんだが、建物そのものを劣化させてしまうこともある。新築時に防水工事を施すのは当然だが、経年劣化してしまうのでメンテナンスも必要となる。その新築工事から改修工事までをトータルに行っているのが、有限会社備研だ。2001年の創業から23年となるが、もともとは1995年に現在の代表取締役である石井良行が個人事業として設立した。
「いわゆる一人親方という形で工事を行っているところもけっこうあります。もちろん私も最初、個人創業をしたときはそうでした」と石井は話す。
「そうしたとき、一番怖いのはケガです。個人でやっていると社会保障を完全にすることもなかなか難しい。極端に言ってしまえば、収入がゼロになってしまう。だから会社組織を立ち上げて、働く側としても『安心』を作りたかったんです」と創業のきっかけを話してくれた。
社会保障の有り難みを話してくれたのは、防水部の今野麻央だ。
「数年前に結構大きな病気になってしまい、入院生活を余儀なくされ半年間くらい働けなくなりました。子供がまだ小さく妻もいるので治療費や生活費を稼がないといけない状況でしたが、社会保障が充実していたので助かりました」と言う。
石井は「家にただいまと帰るまでが仕事だと思っています。ケガも病気もないことが一番ですが、万が一の時は会社が支えてあげたいと思っています」と語る。

未経験だからこそ面白い

 防水工事というと、専門的なイメージがある。もちろん、先ほど紹介したようにさまざまな工法があるうえに新しい技術も出てくるので、習得するべき専門知識は多い。そのうえ、施工をする建物も一様でないため、現場での経験も毎回違うものになる。だから言ってみれば「職人」というイメージがある。
 しかし今野は「だからこそ面白い」と言う。
「私は未経験、しかも建設業自体未経験で入社しました。特に理由はないのですが、なんとなくこういう業界には入らないと思っていたんですかね」と笑って話す。
「未経験だったから心配な部分もありましたが、やってみると面白い。それまでの仕事と違い、毎回新しいことを知ることができるので、毎回新鮮でやりがいがありました。しかも、毎回違うからこそモノづくりの感覚も強くて、それがすごく楽しかったんです」と言う。

同じく防水部の菅原柊平も未経験からのスタートだった。
「私も同じように防水工事に関しては経験ゼロから始めました。最初はちょっと怖かったんです。建設業ってなんとなく上下関係が厳しそうだという勝手なイメージがあって。乱暴というわけではなくて、無口な職人が『背中を見て覚えろ』みたいな(笑)。でも入社してみるとそんなことはまったくない。職場の雰囲気はいいし、仕事に関してはきちんと丁寧に教えてくれる。それにすごく助けられた記憶がありますね」と話してくれた。

多様性を受け入れ、さらなる社会貢献を

 備研は平均年齢が約36歳と若い社員が多く活躍している。そのためか、菅原のいうような「無口な職人」といったような雰囲気は会社にはない。仕事に関しては、お互いに補完し合い、仕事が終われば柔らかな言葉で笑顔が飛び交う。加えて、技能実習生をはじめ、海外からの実習生を多く採用しているのも特徴だ。そのため、ときおり英語も聞こえてくる。お互いが歩み寄りコミュニケーションを図っている。今回、フィリピンからの実習生パランガト ロビン レイモスに話を聞くとこう話してくれた。
「備研のみなさんは、慎ましやか、です。技術があっても、経験があっても、えばらない。僕みたいな外国人にも丁寧にそれを教えてくれようとする。それがとても素晴らしい。だからそれに応えたい。資格もきちんととってスキルアップしていきたいと思います」

 事業に関しても多様性を示しているのが備研の特徴のひとつでもある。防水工事自体、今野の話すように毎回現場が変わりそれに合わせて工法を変えていかなければいけないという意味では、多様性を持った仕事といえるかもしれない。
 しかし、それだけでなく、備研は「農地改良」にも一役買っているのだ。「もともと一部の地域で地質調査を手伝っていたんです。そこから田畑をもう一度、再生させるのに、どうしたらいいか研究が始まったんですね。防水とは全く関係ないのですが(笑)。そのなか、とくに休耕地、耕作放棄地などは、畑のなかにある石をどうにかしないといけないとなり、そこで礫石破砕を事業として進めることになりました」と石井は教えてくれた。
 それがストーンクラッシャー工法という技術。もともとは畑の石をより分け取り出し、捨てていたものを、その場で砕いて畑の土と混ぜることでよりスピーディーに改良ができ、そのうえ土にもいい影響を与える技術だ。その技術と機械を所有しているのは日本でも少ないという。もともと地元での作業が多かったが、現在では秋田、福島、長野など、遠方からもオファーがきているという。
 経営理念に「環境と人と技術を大切にし、建設を通じ社会に貢献する」と掲げている備研。公共工事も多く手掛けて、防水工事は目に見える形で社会貢献事業といえる。そして未経験でも楽しくスキルアップできる環境を作り、人に視点をおいている職場を作っている点。そして、人と環境の多様性を受け入れ、よりよい未来へ向かうために邁進する姿はまさにこの理念を体現していた。