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車との出会いの「その先」に。人に寄り添う会社。

株式会社オオヤ / 車を通して地域の生活を支える営業職

インタビュー記事

更新日 : 2024年09月20日

私たちの生活には必需品ともいえる自動車。今回お話を伺った株式会社オオヤは、立川、酒田、鶴岡に「スズキアリーナオオヤ」として自動車販売、整備店を展開する会社だ。私たちは車を買うとき「これから」の生活を想像するはずだ。車との出会いの「その先」を豊かなものにすることを考え、働いているのが株式会社オオヤだった。

株式会社オオヤ 事業概要

新車、中古車の販売を中心に、車両の検査、整備、車検業務、板金塗装など、車に関するあらゆる業務を一手に引き受ける。設立は1975年で、まもなく設立50周年を迎える。設立当初は板金を主業務としていた。後に車両販売のニーズが高まり、整備も含めて現在のように車両全般の業務を行うようになった。現在、小型車販売において、スズキの正規ディーラーとなり、山形県内に「スズキアリーナオオヤ」として3店舗を構えている。

 オオヤの経営理念は、自動車販売の「その先」に寄り添うこと。車を購入したあとの生活をイメージし、購入の際にも、整備、車検などのアフターサービスも充実したものを目指している。創業は現在、合併して庄内町となっている旧立川町に立ち上げた立川本店だ。オオヤとして目指すのは、庄内一円のカーライフを支えること。そのため、2店舗目として酒田店、2023年2月には鶴岡店をオープンさせた。地元密着を第一に考え、高齢者、子育て世代など、さまざまなニーズにあったサービスを展開している。今後は「人」にフォーカスをあて、より働きやすくスキルアップのできる職場を作ること、そして地元に質の高い生活を還元していくことを目標としている。

車を売る「その先」をイメージする

2023年2月、鶴岡に庄内地域3店舗目となる「スズキアリーナオオヤ鶴岡店」をオープンした株式会社オオヤ。新車、中古車の販売、車両の整備、点検を中心に業務を行っている。
 もとは現在立川本店となっている場所で、板金工場として創業された。その後に、板金のお客様から車両購入の要望があがり、それに応えるように販売を始めたのが現在の業態の始まりだ。
 創業から車両販売が始まり生まれた経営理念は「地元の人たちの生活を支える」ということ。それを代表取締役社長の大矢貴幸は「お客様とその車との出会いの『その先』をイメージして日々の業務に取り組んでいる」という。
「私たちの生活には車は必需品です。また、我々の扱っている自動車は、いわゆる高級車ではありません。車そのものを楽しむというよりは、生活に密着した車を扱っています。だから、我々の仕事は、言い換えれば購入者の方の生活を支えるということだと思っています」

年齢、性別、そして子育てなど人生のステージにより、必要な車、最適な車は違ったものになってくる。それぞれの生活をイメージする。それを大矢は「その先」という。「また先程も言ったように我々は特別なものを取り扱っているわけではありません。だから商品の付加価値はつけにくい。そうするとアフターサービスで付加価値をつけるしかないんです。整備、安全、サポート。そこに対して、勉強会、研修会などを開いて、常に細心の注意を払っています」
 生活には安全に走行できること、安心して車に乗れることも重要。車の販売だけでなく、整備、点検そのほかのすべてで「生活を支える」ことを考えて業務にあたっているのだ。


働く人の「その先」も支えていく

 車との出会いの「その先」という話を大矢はしてくれたが、それに加えて働く人の「その先」も支えたいということも合わせて考えているという。
「知識も経験もある人を採用して仕事をしてもらうというのではなく、採用して育てていくということを考えています。そもそも、自動車そのものが毎年のようにモデルチェンジし、新しい技術も日進月歩といっていいほどに進化しています。それについていくためには、過去の経験だけでは間に合いません。常に勉強していかなければ、お客様にもベストのサービスは提供できないのです。だから育てるということを前提に採用をしています」と大矢は話す。
 オオヤでは主に高校生を対象に、オオヤへ入社後5年間勤務すると返済不要になる独自の奨学金制度を用意している。その制度を使って入社したのが、酒田店で整備を担当している佐藤功矢だ。
「就職活動をしていた時に知ったのがこの制度でした。面接をしてもらって合格。専門学校を卒業して入社しました。もともと車が好きで、自動車関係の仕事に就きたいと考えていたので、ものすごくありがたい制度でした」と話す。

現在も、望んだ職種につくことができ毎日やりがいのあるなかで働くことができているという。入社当初は、先輩整備士がきちんとフォローをしてくれて、日々成長できたと振り返る。「また、入社後の勉強会、研修なども身になっています。新しく資格を取る場合でも、費用だけでなく時間的にも会社がサポートしてくれるので、積極的にチャレンジできていると思います」と話してくれた。

人に寄り添う会社

 オオヤはそのほかにも、働く人に寄り添うために会社を変革している。そのなかでも女性が働きやすい環境を作ることを進めてきた。大矢は「自動車関係の仕事は男性の職場というイメージがありました。つなぎを着て、油にまみれてという。それを払拭したかったんです。スズキのユーザーは女性のお客様が多いのが現状です。そのために、女性が生き生きと働いている店舗がの方がお客様にとってもいいなということもありました」という。
 そのために、結婚、出産、育児による時間的制約にも柔軟な働き方で対応するなどさまざまな仕組みづくりをしてきた。「長くその人の人生に寄り添える会社になれればと思っています。プライベートと仕事を両立できる仕組みがないと働けない。例えば有給を時間単位で取れるようにしました。それだけでも、お子さんが急に発熱して保育園にお迎えに行かなくてならないといったことにも対応できるわけです。大小さまざまな施策をしてきました」と話してくれた。
 また、女性に配慮した職場づくりは男性の働く意識も変えたという。男性従業員も家事、育児に参加するようになり、育休などの仕組みを利用し人生のステージに合わせて働き方を変えているそうだ。大矢は「女性が働きやすい環境を作るためには、男性の意識改革や男性が家にいる時間を増やすことも必要不可欠です。育休などの制度は女性のためだけの制度ではないので、男性にもどんどん利用してもらいたい。」と話してくれた。

立川本店で事務をしている渡部沙也佳はそれを肌で感じていると話してくれた。
「入社したのは21歳の時です。職場には結婚、出産をしても働いている人がたくさんいて、女性としても働きやすいところだなと感じました。その後、入社からの9年間で私も結婚、出産、育児と経験しましたが、産休も変な気を使わずに取れたし、育休も同じく取得しました。業務には違う店舗間でも『じゃあ、私が手伝いに行く』と言ってくれたり柔軟に対応してもらえました」


地元の生活に寄り添う

 立川本店で創業してから約50年。創業からの想いは「庄内一円の生活を豊かにする」というものだった。そのため、2店舗目として酒田店をオープン。そして2023年2月には鶴岡店をオープンした。これで「庄内一円」をひとまずカバーできると大矢は話す。
「酒田店をオープンした当時は車の販売も好調で、正直なところ、鶴岡店出店となったときはそれとは違いました。むしろ市場は以前と比べて小さくなっている。それでも地域の人の生活には車は必要なので、その生活に寄り添いたいと思い鶴岡に出店しました」
 その鶴岡店で営業を担当するのが阿部学だ。「まったくの異業種から転職だから大丈夫かなという心配はありました」と阿部は話す。
「でも、新しい分野に挑戦するのも好きだし、もともと人と話すことは好きだったので、飛び込んでみました。会社のサポート体制はしっかりしていて、じっくり勉強もできたので、いまはお客様との話を楽しんでいます」
 また、阿部は「いまはお店作りに力を入れたい」とも話してくれた。
「車の販売は時期によって波があります。だからいまはまずお客様が気軽に入れるようなお店を作りたいと思っています。鶴岡店のある近辺は車の販売店が多く、どうしたらスズキアリーナオオヤを選んでくれるかを考えています」
 そのなかで感じたのはやはり「その先」だったという。お客様にはさまざまなニーズがある。かっこいい車、自分だけの車にカスタムしたいというお客様もいるし、街に買い物に行く時だけ使うというニーズもある。「だからまずはまずふらっと立ち寄ってもらえる場所にすることが大事。そしてお話をさせてもらい、それぞれのニーズに応えられるような車を提案していきたいと思います」と話してくれた。高齢になったこと、子育て世代であることなど、人生のステージによって変わるさまざまな生活スタイルに寄り添える会社になりたいということ。そして人生のステージによる柔軟な働き方ができる場所としての選択肢になってほしいということだ。最後に社長の大矢はこう話してくれた。

「オオヤが直接的に地域を動かすというのは難しいかもしれない。しかし、オオヤとして採用活動や入社後の育成に力を入れること、労働環境を改善してすることなどの行動が成功すれば、ひとつのモデルケースになれる可能性はある。自分たちのためではあるけれど、それが派生的に地域の力になれればこれ以上の幸せはありません」
 創業から間もなく50年を迎えるオオヤ。半世紀もの長きにわたり庄内という地に根付いた会社はいま「地域に還元したい」という想いを持って、未来の庄内を見つめている。