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風をつかむ。未来をつくる。洋上風力発電の総合エンジニアリング企業

株式会社グローカル / 洋上風力発電プラントの開発業務

インタビュー記事

更新日 : 2022年08月03日

洋上風力発電の低コスト化・効率化を目的とした技術開発を中心に、洋上風力発電プラントの開発や、発電所事業開発、海外メーカーとの提携による国内への設備導入を行っているベンチャー企業。ここで、各地へ飛び回っている企画部部長の杉野隆一さんに話を伺った。

株式会社グローカル 事業概要

風をつかむ。未来をつくる。洋上風力発電の総合エンジニアリング企業

2013年に広島県呉市に設立。生産を外部に委託する「ファブレスメーカー」として、2枚翼の風力発電機や風車を洋上に浮かべる浮体構造物の研究をスタート。風力発電機の世界シェアは欧米企業の比率が高く、近年では中国企業も台頭している。現在、日本では風力発電機メーカーが相次いで事業から撤退したことにより、国産風車メーカーは存在しなくなった。そのため、当社は海外の風車メーカーと提携し、主要部品を国内メーカーから調達し、日本国内で組み立てる、純日本製の超大型風力発電機の早期の商用化を目指している。また、ナショナルプロジェクトとして、次世代風力発電システムの実証研究にも複数件参加している。その一つが、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」)の委託事業として丸紅、東京大、日立造船などとコンソーシアムを組み進めてきた「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究(バージ型)」だ。北九州の沖約15キロの海域で50m四方のバージ型浮体に3MWの2枚翼風車を搭載。2019年6月から本格的な稼働を始め2022年度までの実証運転を行っている。2019年4月に洋上風力発電の開発を促進する法律「再エネ海域利用法」が施行されたことにより、国内に総事業費2兆円といわれる新たな市場が誕生している。海に囲まれた日本で技術革新を先導し、再生エネルギー関連産業の担い手として力を尽くしている。

次世代の風力発電システムで発電の高効率化を目指す

自然界にたくさん存在している風を利用した風力発電はクリーンエネルギーとしてコストパフォーマンスが高く、エネルギー変換率が良いため世界中て普及、拡大している 。 現在、国土の狭い日本においても、設置可能エリアが広域で環境規制や周辺人家への影響が少なく、 年間を通じて安定した風力が得られる洋上風力発電に注目が集まっている。 一方で、海洋国家と言われる日本だが、実は洋上風力発電の先進国である欧州と比べると遠浅の海域が少なく、着床式の洋上風力発電の適地には限りがある。そこで現在、国をあげて開発に取り組んでいるのが「浮体式洋上風力発電システム」である。

 

 

風の吹くところならどこへでも出向く

この業界へ飛び込んだのは2018年から右も左も分からないところから始まったという企画部部長の杉野隆一さん。月の半分は出張をこなし、案件があるところへ全国各地に飛び回っているという。「私たちが提案する2枚翼風車を搭載した浮体式発電システムは、軽量で施工性が良く、調達および経済性に優れ、台風などの日本の気象・海象条件にも適応した先進的な発電システムです。現在、その特徴や経済合理性を生かし、NEDOの進める「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究」に採用され、実証運転を実施しています。私たちは、 2枚翼風力発電システムや浮体基礎技術を通じて、風力発電事業のトータルソリューション企業として、常に新しいステージを目指し、地球規模の視野で地域社会と共に活動しています」。

 

さらなる未来に向けて動き初めている

NEDOの進める「次世代浮体式洋上風力発電システム実証研究」の一環として、さらにその先の時代を見据えた新たなモデルとして、次世代浮体式洋上風力発電システム《OPTIFLOW》の開発・実証研究も行っています。広島県倉橋島の沖合での1/10モデルによる実海域試験を終え、フィージビリティスタディで得た研究・検証結果をもとに、2024年には1/1サイズ実証機の運転を開始すべく、詳細設計、認証取得、製作準備を行っています。

《OPTIFLOW》は浮体と一体化された風車全体が風の力を利用して風見鶏のように動く一点係留方式を採用しています。メンテナンスの難しい洋上での故障率の低減や、2枚翼風車により軽量化されたナセルやタワー、波の動揺に強いセミサブ型浮体を合わせることで、設置・運用コストの低減を図りつつ、6MWの高効率な発電の実現をめざしています。

着床式洋上風車のカテゴリーでは遠浅の海域が広く、実用化が早かった欧州が世界をリードしていますが、浮体式洋上風車のカテゴリーでは世界の開発競争は横一線で、日本も世界に負けていません。むしろ現在進めている《OPTIFLOW》は世界のトップを走っているといっても過言ではありません。

 

世の中にないものを作り出す面白さ

2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆる「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言。そのなかで再生可能エネルギーの主力電源の一つとして注目されているのが洋上風力発電で、業界としてはまさに追い風です。「毎月のように関連する法令や仕組みが更新され日々勉強すべきことも多く大変な部分もありますが、世界各国の人達と一緒に、国家プロジェクトの研究員として参加し、世の中にないものを作り出すという面白みがこの仕事の魅力。広島県で唯一、風力発電システムの開発を取り扱う当社は、世界とも勝負のできる企業だと自負しています」。

 

他業種からの転職も可能

「私の前職は飲食業で、事業企画や業態開発をしていました。しかし、やると決めて進んだ業界ですので、いろいろと学ぶことは多かったです。洋上風力発電は日本ではまだまだ駆け出しの業界です。とにかく興味や意欲あればできる仕事。業界としての黎明期である今この業界に携わることができれば、ゆくゆくは日本でのトップランナーになることも夢ではないと思います。太陽光や電気関連のことが分かっていれば、なお強いですし、広島は瀬戸内海に面し造船業との関りも深い土地柄です。私たちが開発している浮体式洋上風車はまさに造船技術の応用でもあります。通常であればこの種の業態は外資系であったり、東京に本社を置く企業が多いですが、地元がこちらにあり、様々な理由で戻ってこないといけなくなったUターンの方、もちろんIJターンの方も、唯一の広島で、研究開発や事業開発に取り組むことができます。私たちの会社も多種多様な業界の経験者から構成されています。電気や設計、制御はもちろんですが、私の経験した飲食業や建設業、造船業、公務員、海上保安庁などなど。風力事業開発には様々な事業カテゴリーがあります。一見関係ないように思える経験がとても重宝することもあります。次世代の風力発電技術や発電所開発を担う仲間をお待ちしていますので、まずはご相談いただければと思います」。