広島県呉市広で暮らす人にとっても馴染み深いのが３７５号線沿いにある「みっちゃん」だ。創業は平成元年（１９８９年）、今年で32年を迎える。約20年間お店を切り盛りしているのが、2代目の新谷としみさん、一也さん夫婦。「元々は、私の叔母がやっていたお店を受け継いだんですよ。このご時世だからこそ、この歳になってもこうして夫婦でお店ができるということはいいことですよね」と、としみさん。夫婦ともに69歳、まだまだバリバリの現役でパワフルで陽気なとしみさんと、サポート役として陰ながら支えている一也さんのやりとりがなんとも絶妙なバランスを描いている。焼くのは、もちろんとしみさん。生地の上にたっぷりとキャベツをのせて、水分が出過ぎないようにもやしの量を加減する。そして、細めの中華そばを短時間でサッと茹で、ラードで炒めるのが〝みっちゃん流〟だ。こうして表面をパリッと焼くことで固さを残した麺と、程よくしっとりとした野菜が好相性。多めにふられた魚粉の風味が広がり、さらにキムチソースや一味をかけることで、また違った味が楽しめるのもみっちゃんならでは。「創業当初から、もちろんお店で食べる人もがいるんですが、持ち帰りのお客さんも多くてね。広には大きな企業もたくさんあるでしょ。だから、会社の従業員さん同士で持ち帰りしてくれることもあって、こればっかりは助かっていますよ。定期的に来てくれるお客さんもたくさんいて、本当ありがたいですね」と、としみさん。ちなみにお店で食べるときは、冷蔵庫のなかから、おしぼり、箸、水、ソースやマヨネーズをセルフで準備するのが、みっちゃんルール。「わたしは焼くだけなんよ」と笑うが一枚一枚に愛情を込めた焼き方や味はピカイチで、なによりとしみさんの人柄にも惚れ込んで通い続ける人も多いのだとか。