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受け継ぎ、進化する。そして働くを誇れる会社へ。

株式会社エコー / 墓碑アドバイザー/正社員

インタビュー記事

更新日 : 2025年06月30日

 山形県酒田市に本社を置く株式会社エコーは、家具製造を基盤に、産業廃棄物の処理や再生プラスチックの製造など、環境事業にも力を注いでいる。石材、リフォーム、運送といった幅広い分野にも事業を展開し、多角的な経営を実現している会社だ。
 そんな同社は近々社長交代を控え、大きな変化のタイミングを迎えている。目指すは「超絶ホワイト企業になる」こと。働き方や組織のあり方そのものを見つめ直し、社員が元気はつらつに働ける会社へ。

変わらない想いと、変わり続ける姿勢。その両輪で走り出したエコーに迫る。

株式会社エコー 事業概要

 1952年創業。もともとは東北製函工場の名称で、地元の魚箱、柿箱、鉄道枕木、農機具木部などの生産を開始したことが始まり。1955年に法人化し、現在の主要な事業となっている、家具生産を始める。現在は、家具(ファニチャー事業部)のほか、環境、石材、ガラス、増改、運送、木材といった事業部を有し、幅広い分野に事業部を展開している。
 その理念は「環境」「住まい」「物流」など、人々の暮らしに密接した事業を幅広く展開すること。その道のなかで地域社会の発展に貢献してきた。今後は、環境に配慮した再生プラスチックの分野に注力することを視野に入れるなど、広がりのある経営ビジョンを持っている。

地域の声に応え続けて広がった事業

 株式会社エコーは1952年に、東北製函工場の名称で、地元の魚箱、柿箱、鉄道枕木、農機具木部などの生産を開始したことから始まった。創業70年を超え、長年地元に貢献してきた企業だ。
 もともとは、1955年に東北木材工業有限会社と法人化し、食器棚、机、整理タンスなどの製造、販売を始めた。これが現在でも主要事業となっているファニチャー事業部の始まりだった。「当時は家庭用家具から始まりましたが、80年代から海外からの輸入家具も多くなり、家庭用家具から徐々に脱却して、現在は完全に特注家具に移行しました。特に建築物に関した家具が多く、最終的なユーザーは学校関係、ホテル、病院などが多くなっています」。そう現在のファニチャー事業を説明してくれたのは現社長の児玉健一だ。ファニチャー事業は現在売り上げの約3割を占める主要事業となっている。

 一方で、残りの7割はというと、産業廃棄物の収集・処理・再資源化を行う環境事業部が約3割、さらに石材、ガラス、増改築、運送、木材といった生活や建築に関わる分野が残りを構成している。
こうした事業の広がりの背景には、創業者の「地域に求められることには何でも応えたい」という強い想いがあった。一時は遊園地の経営にも乗り出したというエピソードが、それを物語っている。求めに応じて、できることを形にしていく。その姿勢こそが、今のエコーをかたちづくっている。

地域から世界を見据える事業

「長年地域に根差してきた企業でありながら、家具と環境リサイクルという全く異なる事業を柱としており、そのどちらも地域経済に留まらず、国内外の市場へと広がる大きな可能性を秘めている点に、強い魅力を感じました」。
 そう語るのは、三井物産出身で、現在は株式会社エコーの次期社長に就任予定の児玉椋太氏。婿養子という立場でこの会社に関わるようになった彼は、その多様な事業構造に将来性を見出し、経営に参画する決意を固めた。

 現在、環境事業では、産業廃棄物のリサイクルを中心に展開している。廃プラスチックを県外からも原料として仕入れ、再生プラスチックとして製造・販売している。
 児玉社長は「自社で材料の回収から製造までを一貫して担っているため、素材の判別や適正な品質のコントロールができる。だからこそ、純度の高い再生プラスチックを安定して供給できる。それが私たちの強みです」と話す。さらに「特にヨーロッパでは、新車に使われるプラスチックのうち、25%以上を再生プラスチックにすることが義務づけられるなど、規制強化の動きも出てきています。通常のプラスチックと比較して価格面での優位性だけでなく、環境配慮の点でも、そのニーズは今後さらに広がっていくと見ています」と展望を示した。
 椋太氏はこの事業を今後の成長の柱のひとつと見据える。「SDGsの流れにも沿った、社会的意義の高い領域です。地方企業であっても、山形・庄内からグローバルな課題に貢献できる。それが、エコーという会社の面白さだと思っています」。


全国から集めた再生プラスチックの原料

5年後超絶ホワイト企業になるために

 歴史ある企業には、守るべきものと変えるべきものの両方がある。椋太氏も「受け継ぐべきところと、変えていかないといけないところは当然あります」という。受け継ぐべきところは“人”。長い歴史のなかの豊富な経験は人材の質、専門性を高めてきた。ベテラン社員たちのそういった経験は若手にも引き継いでいかなければならない。変えていかないといけないところは、時代に合った働き方だ。「生産性を上げるためにDX、ITは当然進めていかなければなりません。スマートな仕組み化をすることによって、例えばその仕事に対して適正な人数がわかり、採用の計画が立てられるといったことにつながります。そして、仕事に対する新たな魅力づくりも大切だと思います。企業の風土や文化を整え、若い人が“この会社で働きたい”と思えるような環境をつくっていきたいと考えています」と話してくれた。地元に貢献する、というだけでなく、それが世界へ羽ばたく仕事であるという、椋太氏が感じた魅力もそのひとつかもしれない。

 それでは現場で働く社員はそれをどう捉えているのか、ファニチャー事業部の高橋靖典、環境事業部の佐藤亜哉、総務部電算室の工藤美春に話を聞いた。工藤はまさに会社のIT化を推進するひとりだ。「たとえば今行っているレンタルスペースの運営は現在有人対応ですが、監視カメラやスマートロックを活用し、無人化してサービスを提供できる仕組みに変えていく予定です。産業廃棄物の回収業務についても、現在はドライバーが手書きで記録し、事務がその内容を手入力していますが、今後はドライバーが現場でタブレットを使って情報を記録できるよう、ペーパーレス化と入力作業の二度手間の解消を目指した業務改善を進めています。

 環境事業部の佐藤はそれを受けて「最初はタイムカードもアナログなタイプでした。環境事業部は50人以上いるので、上長が月末になると1枚ずつそれを集計して……。それだけでも膨大な仕事量になりますよね。今思うとなんて無駄なことをしていたんだろうと思います。業務に関しても同じです。効率化できて、まずは休みが増えた。それだけでもだいぶ働く側の気持ちは変わります。そして、増えた空白の時間で何ができるかという次のチャレンジに頭が向かうのがすごく楽しいです」と話してくれた。

 現在ファニチャー事業部で営業として働く高橋は、15年以上エコーに務めるベテラン社員だ。「社内製造の家具もありますが、外注に回すこともあります。そうなると、材料管理から運送管理、そしてアフターケアまですべてやらなければなりません。ファニチャー営業はいま4名体制。なかなかこの量を営業職がやっている会社はないと思います。これからはきちんと仕組み作りをしていかないといけないと感じています。現在DX化が少しずつ進み、やることは変わっていないけど、やり方は180度変わった。いままでやってきたことはいかに無駄だったか。こんなに簡単にできるんだと感じています。佐藤と同じようにいままでマンネリ化していたものが、新しいチャレンジに変わっていくのがすごく楽しいです」と笑顔で語ってくれた。

 「5年後には超絶ホワイト企業にする」。そう椋太氏が掲げる目標は、単に制度や環境面が整った「ホワイト企業」を超えた先にある。
「これからの時代、福利厚生や労働環境が整っているのは当然。“ホワイト”であることは前提条件です。大切なのはその先。仕事そのものが面白く、楽しく働ける環境こそが“超絶ホワイト”だと考えています」。
 仕事は人生の一部。その仕事にやりがいや楽しさを見いだせなければ、人生そのものも充実しない。だからこそ、制度面だけでなく、働く人が“この仕事が好きだ”と心から思える会社をつくっていくことが必要だと椋太氏は強調する。
「もちろん、価値観は人それぞれ違います。でも、それぞれの価値観が交わる部分を少しずつ広げていくことで、より多くの人がやりがいを感じられる組織になっていくはずです」。

 そんな言葉には、働く一人ひとりに寄り添いながら、企業としての成長と変革を力強く進めていこうとする次期経営者の覚悟が滲んでいた。