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庄内酒田から日本一の牧場をつくる

株式会社鳥海高原デーリィファーム / 酪農牧場スタッフ

インタビュー記事

更新日 : 2024年04月18日

国内有数規模の畜産企業、ノベルズグループの中で最も新しい酪農牧場「鳥海高原デーリィファーム」。酪農の本場、北海道十勝で培った先進的な生産モデルと資源循環型酪農経営で、「庄内酒田から日本一の牧場をつくる」ことを目指す同社の特徴に迫る。

株式会社鳥海高原デーリィファーム 事業概要

北海道十勝を拠点に肉牛・酪農事業を大規模に展開し、北海道最大の生乳生産量を誇る、ノベルズグループの道外初の酪農拠点として、2021年秋に稼働を開始した。北海道での実績が注目され、地元関係者からの誘致に応える形で進出を果たした。
北海道の拠点同様、メインの生乳生産のほか、自社生産の和牛受精卵を使い、市場価値の高い和牛の繁殖も行っており、この2つが事業の柱となっている。出生した子牛は、隣接する同グループの酒田DF育成牧場で哺育された後、県内、全国の肥育農家へ販売される。
また、「耕畜連携」による飼料生産を行っている点も特徴だ。北海道十勝における畑作農家との連携、デントコーン(飼料用とうもろこし)生産とは異なり、酒田では日本有数の水稲地域である特色を活かして、 稲WCS(ホールクロップサイレージ:稲発酵粗飼料)の生産にも挑戦。地域に根ざした酪農経営を目指している。
2023年12月現在、約260頭のホルスタインを飼養しているが、2024年度中には当初計画どおり約900頭まで増頭し、飼料生産とともに事業拡大を予定している。

企業型農業経営の推進

ノベルズグループは、株式会社鳥海高原デーリィファームを含め、株式会社ノベルズを中心に15社で肉牛、酪農、畑作、食品事業を展開している。2006年の創業以来、持続可能な農業経営の実現に向けて様々なチャレンジを続けている中で、大規模生産者として企業型農業経営を推進している。
例えば、本社では人事や経理など、一般企業のようにバックオフィス機能が充実している点が挙げられる。また、牧場スタッフの多くは、異業種からの転職者も多い。そのため、社員研修や社員との定期面談を実施することでフォローアップを行っている。資格取得支援制度もある。
また、目標管理シートを活用し、人事評価制度の整備にも取り組んでいる。社員一人ひとりの努力や成果を会社、牧場の成長に結びつけながら、社員の貢献に応じて適正評価できるような仕組みづくりに着手しているという。
福利厚生の拡充にも取り組んでいる。畜産業界はその特性上、一般企業と比較して休日数は少なくなりがち。ノベルズグループでは2021年4月から、4週6休制から4週7休制に変更するなど、事業体制に合わせて改善を図っている。生活面では、移住転職者も多いため住宅支援制度もある。
そのほか、民間の農業生産法人としては珍しく研究所組織がある。和牛受精卵の生産のほか、牧場現場の成績・環境改善、収益向上に向けてサポートを行っている。

地域になくてはならない企業になるために

ノベルズグループは、企業理念として「農業で世界中に驚きと笑顔を」を掲げている。データに基づく飼料管理ノウハウや経営革新により、良質な牛肉、生乳を安定供給できる体制構築、持続的成長ははもちろん、グループに関わるすべてのステークホルダーにメリットが生まれる事業体を目指している。その中で特に大事にしているのが「地域共生」の理念である。
その一例が、畜産事業者と周辺の耕種農家が、互いの経営資源を循環させながら、協業により相互にメリットを享受する耕畜連携の取り組みである。すでに庄内・酒田では、水稲農家ともに「鳥海高原DF飼料組合」をつくり、計画的に稲WCSの生産に挑戦している。畜産事業者にとっては、自給飼料の安定確保につながり、水稲農家にとっては畜産事業者が全量買い取ることで安定収入につながる。
また、稲作で大量に発生し、廃棄処理にコストが掛かっていたもみ殻を、牛の敷料(ベッド)として有効活用する一方、牧場から発生するふん尿を堆肥化させ、飼料栽培の圃場やその他周辺地域の農地に還元している。
このように、鳥海高原デーリィファームによる酪農事業の展開と耕畜連携の取り組みを契機に、地元の水稲農家にとっても事業機会と生産意欲が生まれることで、再び農地の価値が高まり、地域全体の産業活性化が期待されている。

酒田に日本一の牧場を作る

現在、鳥海高原デーリィファーム、酒田DF育成牧場の牧場長を兼務する内田哲郎さん(38)は、ノベルズグループに2017年に入社し、その後4年で牧場長となった。元々、出身の千葉から北海道へ移住し、さらに2021年夏に山形県酒田市に渡った。現在は、地元や県外出身の新しいスタッフ、北海道からの転籍スタッフたちと共に、新規プロジェクトにチャレンジしている。
内田牧場長は「酒田に日本一の牧場を作る」ことを目標に掲げている。社員一人ひとりが畜産・酪農の仕事に誇りを持ち、また経営者や研究者の視点を持って取り組むことでやり甲斐を持ち、地域共生で成長できる環境を備えた牧場だ。
2024年度は前述のとおり、事業拡大による本格稼働を計画しており、夏には最新鋭の搾乳機械の稼働を予定している。また、牧場敷地内では家畜ふん尿を原料にメタン発酵で発電するバイオガスプラントも稼働予定だ。
本格稼働を迎える当牧場では、牧場の創生期を支える立ち上げメンバー、庄内・酪農の未来を担う新しい仲間を募集している。