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新素材加工技術・線設備製作等の開発!

株式会社マイスター / 開発技術

インタビュー記事

更新日 : 2023年11月14日

寒河江市中央工業団地に一際目立つ変わった形の自社工場を構えている「株式会社マイスター」。
3つの工場でドリルなど切削工具の再研削、成形加工、修理などを行っている。

今回は、どんな想いで会社を経営しているのか、なぜ特徴的な形の工場なのかなど、髙井社長へお話を聞いてきました!


 

株式会社マイスター 事業概要

昭和51年に河北町にて金型設計で創業し、昭和55年に会社を設立。
平成30年には工場を新築移転し益々事業を拡大している。
切削工具の研ぎ直しや部品の加工、お客様のニーズに合わせたオーダーメイドで特殊な刃物を新規設計・製作を行っている。

様々な賞を受賞しており、「経済産業省はばたく中小企業300社」表彰、「技能検定優良事業所」厚生労働大臣表彰、「東北経済産業TOHOKU DX大賞(業務プロセス部門)」優秀賞受賞などの経歴がある。


仕事以外でも社内のイベントが充実しており、コミュニケーションが取りやすい環境である為、社員が生き生きと楽しく仕事に取り組んでいる。

 

 

安孫子ーー髙井社長!今日はよろしくお願いします!

髙井社長ーーよろしくお願いします!

 

1.1つ1つオーダーメイド

 

安孫子ーー最初に社名の由来を教えてください

髙井社長ーー「マイスター」はドイツ語でして、英語にすると「マスター」になります。ドイツにはマイスター制度というものがありましてモノづくりが盛んで職人さんをとても大切にしています。自分たちも職人としての誇りをもって発展できる、お客様からも弊社の技術者を誇りに思ってもらえるように、そしてドイツの技術者に敬意を評して「マイスター」を社名にしました。

安孫子ーー会社の設立はいつですか?

髙井社長ーー1980年です。これは私が生まれた年でもあります(笑)

安孫子ーーすごい!運命ですね(笑)

髙井社長ーーそうですね(笑)私も会社も43年になります。

安孫子ーーどんな事業を行っていますか?

髙井社長ーー大きく分けると3つあります。1つ目は機械で金属加工をするための、刃物の研ぎ直しやオーダーメイドで特殊な刃物を製作しています。2つ目は1000分の1の精度で部品の加工を行っています。3つ目はお客様の課題に合わせた装置の開発や共同研究を行っています。

安孫子ーー刃物はどういった場所に納品するのですか?

髙井社長ーー主に生産工場です。プロの技術者が使いたい刃物を具現化しています。技術力ももちろん必要ですが、お客様がどういったものが欲しいのか汲み取る力も必要になってきます。お客様自身が想像もつかなかったところを提案することも必要になります。

安孫子ーー事業は全て自社工場で行っているのですか?

髙井社長ーー全てではないです。ほとんどが自社で行っていますが、お客様を満足させる為には自分たちの力だけではなくて他社にご協力いただきながら最善のものを提供しております。

安孫子ーーなるほど。工場がとても特徴的な形をしていますが何か意味が込められているのですか?

髙井社長ーー三角形と六角形になっているのですが、「既成概念に縛られるな」という意味が込められています。一般的な建物と違って、機械を綺麗にレイアウトするのですら難しいです。そこで、「本当に綺麗にレイアウトするのが正しいのか」「使い勝手が良いようにレイアウトするべきじゃないのか」など発想を変えてみようとする意識を持ってもらいたいといった思いがあります。発想の転換はお客様への提案にも活かされます。

 

 

2.面白くなってきやがった

 

安孫子ーー直近の売上高と業務比率を教えてください

髙井社長ーー10億8000万円です。比率は世の中の状況によって変動はありますが、金属加工のうち刃物と部品が半々になります。

安孫子ーー社員さんは何名いらっしゃいますか?

髙井社長ーー男性55名と女性19名の74名です。山形の本社に72名、横浜営業所に今は2名おります。加工技術者だけでなく、横浜で働く営業のほか今後は開発案件に対応できる開発技術者も増員していく予定です。

安孫子ーー会社のターニングポイントはありますか?

髙井社長ーー前社長(現会長)はカリスマ性がありトップダウンでした。しかし私が社長に就任してからトップダウン経営は自分には合わないと思い辞めたことですかね。

安孫子ーーどういった方針にしたのですか?

髙井社長ーーわかりやすく言えばボトムアップです。社員全員を集めて会議を行ったり、委員会を設置するなど社員から意見や提案が出やすい環境つくりに努めました。

安孫子ーー素晴らしいですね!

髙井社長ーーありがとうございます。また、外部顧問を起用し法令遵守に沿った社内規程を定めたり。元々メーカーで勤めていた方から、ものづくりをしている人の課題は刃物や部品だけの問題ではなくて装置も重要だと気付かされ開発事業が始まりました。

 

 

安孫子ーー社長自身が大切にしている価値観や考え方は何ですか?

髙井社長ーー「仕事を面白がる」です。ピンチになると「面白くなってきやがった」というルパン三世の次元の言葉が大好きで、私もピンチの時ほど口に出してます。その瞬間ゲームになるので攻略法を考えたりして楽しむことができます。

安孫子ーーピンチを楽しむ!面白いですね!社員さんに向けて仕事を楽しんでもらう為に取り組んでいる事はありますか?

髙井社長ーーイベントが多いです。敷地内に畑があるのですが、そこで収穫した野菜を使って夏野菜カレーをみんなで調理して食べたりしています。仕事を楽しむには息抜きをしないといけないですから。あとは結い会というものがあります。

安孫子ーー結い会?どういったものですか?

髙井社長ーー部署のチーム毎に毎月1,000円の予算をつけて、社員同士のコミュニケーションの為に使ってくださいというものです。例えば飲み会や豪勢なランチ、ボウリング大会などを自ら企画提案し楽しんでくれています。

 

3.協調・共感・共演

 

 

安孫子ーー社員さんに対して日々意識させていることはありますか?

髙井社長ーーお客様はもちろんのこと、社員同士でも「協調・共感・共演」を意識させています。そもそも人はそれぞれ立場や役割が違いますが、同じことに向けて頑張る、これが協調です。そして相手のことを理解する、相手が力を発揮できるようにすること、これが共感、共演です。これらを忘れずに仕事に取り組んで欲しいと思っています。

安孫子ーー会社のアピールポイントはどんなところですか?

髙井社長ーー常に新しいことに挑戦できるので飽きることはないです。自分から意見を出して変えていったり、常に新しいものに触れられるので毎日楽しく業務に取り組むことができます。逆に毎日同じ作業をしたいという方には合わないと思います。

 

4.マシュマロチャレンジ

 

安孫子ーー企業として採用面の強みはなんですか?

髙井社長ーーまずは充実した新入社員研修や働いてからのフォロー体制がしっかりあることです。研修では「学生と社会人の違い」から加工技術の基礎やマネジメントまで。講師は先輩社員から会長まで総勢20名くらいで担当します。

安孫子ーー社長も講師として何か講義を行ったりするのですか?

髙井社長ーーもちろんです!私の担当は「チームビルディング」で「マシュマロチャレンジ」というものを行います。

安孫子ーーマシュマロチャレンジ?どういったものですか?

髙井社長ーーパスタを10本と紐、養生テープ、マシュマロを使いマシュマロを床から一番高くしたチームが勝ちです。

安孫子ーーマシュマロチャレンジではどんなことを期待しているのですか?

髙井社長ーーどうしたら高くできるか、自然に会話しコミュニケーションとチームワークが必要となってきますので、その重要性を実感してもらう場となります。

安孫子ーー面白いですね!座学の後は現場ですか?

髙井社長ーーはい。約1ヶ月間実際に現場に出ての研修になります。いずれ営業や開発に配属になる人も、まずは1〜3年現場で加工の基礎から学んでいただきます。

安孫子ーー結構長いですね!

髙井社長ーーそうですね。長さにはしっかりとした理由があります。それは弊社の営業は「営業技術部」でして、自社の技術や製品を知らないと営業できないからです。どんな技術が強みなのか、自社で作るからこその製品の良さなど社員全員が分かっていないと誇りを持って仕事もできませんからね。

安孫子ーーどんな人材に入ってきて欲しいですか?

髙井社長ーー仕事を面白がろうと思う好奇心旺盛な人です。さらに言うと、コミュニケーションが取れる人です。工場なんてコミュニケーションは必要無いんじゃないかと思うかもしれませんが、弊社は1つ1つの製品がオーダーメイドなのでお客様と打ち合わせが必要です。自分はコミュニケーション能力がないと思う人もコミュニケーションを取る気持ちがあれば大丈夫です。お待ちしております!

安孫子ーー貴重なお話、ありがとうございました!

 

5.社員の方々にもお話を聞いてみました!

 

 

今回の取材では、株式会社マイスターさんの魅力をより探るために、社員の松川さんと安孫子さん佐藤さんにもお話をお聞きしました!

 

安孫子ーーこんにちは。松川さん、安孫子さん、佐藤さん今回はよろしくお願いします。まずはみなさんの部署と業務内容を教えてください。

佐藤さんーー製造部で自動で加工を行う機械のプログラムを組み、操作するNCチームに所属しております。レーザー加工機を使った工具の加工や、NC工具研削盤のオペレーターを行っています。切削工具を制作する他、新品同様に再研削しています。

安孫子さんーー営業技術部でお客様のところへ出向き商談したり、お客様から再研磨する製品を受け取り再研磨を行い、お客様の元へ返すということも行っています。

松川さんーー製造部精密研削チーム所属で製品の形状を整える業務を行っています。金属は焼入れを行うと歪むので、専用の機械を使って直角を出す加工をしています。

 

 

安孫子ーー入社のきっかけは何ですか?

佐藤さんーー合同企業説明会に行った際、説明してくれた方に「量産ではなく1つ1つオーダーメイドで作るから飽きにくいよ」と言われ、飽きやすい自分にぴったりだと思いこの会社に決めました。更に大学で地元山形から出ていて、就職では必ずUターンして戻ると決めていたのでぴったりでした。

松川さんーー大学4年生の時、研究室で今や日々製作している工具を使用していて、どこの会社が作っているのだろうと調べた時にマイスターだと知りました。それがきっかけで携わりたいと思い福島からIターンで入社を決めました。

安孫子ーー休日はどう過ごされていますか?

松川さんーー自然を感じるために山にドライブに行ったりしています。

安孫子さんーー学生時代から陸上競技の競歩をしていたので、大会の審判や母校の練習に顔を出したりしています。

佐藤さんーーオープンカーで蔵王にドライブに行ったりしています。めちゃくちゃ気持ちいいです。

 

6.常にチャレンジ!

 

 

安孫子ーーこれからチャレンジしていきたいことはどんなことですか?

佐藤さんーーレーザー加工機はダイヤモンドも切れるものなのですが固いものほど形を整えたり加工するのが難しいです。ですので加工が難しいと言われる様な世の中に出回っていないような材質を使用した工具を、自分で加工方法やプログラムを考えて作ることにチャレンジしたいなと思っています。

安孫子ーープログラムは自分で考えて作るのですか?

佐藤さんーーそうです!切りたいものによって加工条件というものが変わってきます。何度も繰り返しテストを行い、製品に合った条件を見つけていきます。

安孫子ーー自分が大切にしている考えや価値観はありますか?

松川さんーー素直でいることです。先輩方の意見やアドバイスを素直に受け入れ、自分がした失敗も素直に受け止めることで成長できると思うからです。

佐藤さんーー挑戦することです。レーザー加工機では日々新しい材質のものを取り扱っているので、毎日が新たな挑戦です。同じ作業の繰り返しではないので飽きる事もないですし、楽しく続けられています。チャレンジ精神は常に強く持っています。

 

7.良い製品を創り出すにはイベントは必須

 

 

安孫子ーー社内イベントや結い会についてはどう実感していますか?

安孫子さんーー普段営業で外に出ていて現場の人たちと交流する機会が少ないので、イベントを開催してくれるとそこでコミュニケーションが取れるからとても良い企画だなと感じています。

松川さんーー入社してまだ4ヶ月ほどですが、会社でお店を貸し切ってBBQしたりなど楽しいイベントがたくさんあって、普段仕事では中々会えない同期とも会える場なので嬉しいです。

佐藤さんーー弊社は一つのものを作るとき、工程ごとに様々なチームが協力しあって創り上げていきます。チーム同士が仲良くないとコミュニケーションも疎かになり、思っていたものと違うものが出来てしまいます。社内イベントや結い会のおかげで、いろんなチーム同士交流し仲良くなることができるので、仕事でも自然とコミュニケーションが取れ良いものを創り上げることができているのだと思います。

安孫子ーーどんな人と一緒に働きたいですか?

安孫子さんーー芯がある人です。今まで仕事でも運動でもプライベートでも何かを続けることができて、曲げずに頑張ってきたことがある人は何か障害にぶち当たっても芯が支えになって倒れず乗り越えることができると思うからです。

佐藤さんーー自分の存在価値を自分で見つけることができる人です。自分にしかできないことを見つけることで自信にも繋がり、仕事にも信念を持って取り組めるので一緒に会社を強くしていけたらなと思います。

安孫子ーーみなさん仕事でもイベントでも楽しみながら同じものに向かって取り組む姿が素晴らしいなと思いました!今回は貴重なお時間ありがとうございました。