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ともに井上工業の未来へ

井上工業株式会社 / 【当社の根幹】工事・工務部の将来を担う人材

インタビュー記事

更新日 : 2022年11月25日

山形の解体業をリードする井上工業は、下請けから元請けへとチャレンジをし、多くの実績を残してきました。

今回は、営業力の強化や働き方改革、DX化など様々な取り組みにチャレンジしている同社の社長である佐々木さんと専務である井上さんにお話をお聞きしました。

井上工業株式会社 事業概要

解体工事業を中心とし、土木工事、産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処分などを営む井上工業は、解体業として県内トップシェアを誇る。 

解体業といえば建設会社の下請けになることが多かったが、営業一筋でキャリアを築いた佐々木社長の入社をキッカケに営業を強化し、元請けの比率を高めることに成功した。

指示された仕事だけをするのではなく、1から10までの工程をすべて把握してマネジメント力を高めることを意識している井上工業は、社員への利益還元を公言しており、業界でもトップクラスの好待遇を誇るだけでなく、次世代への業務効率化にもチャレンジし、DX化を推進している。

 

1.営業から社長へ

 

三浦ーー 佐々木社長、井上専務、よろしくお願いします!早速ですが、社長はどういったご経歴ですか?

佐々木社長ーー私は建設会社の取締役営業部長として20年勤めており、営業力を高めることをミッションに営業部長として井上工業に転職してきました。そこから取締役、専務を経て6年前に社長に就任しました。

三浦ーー会長の親戚とかではないのですか?

佐々木社長ーー赤の他人です!(笑)よく言われるんですが、違うんですよ。私は、血筋もまるっきり関係ない社長なんです。しがらみが無いからこそ、ドライに割り切って経営することができています。 

三浦ーー会長の息子さんである専務もいらっしゃいますが、どういった経緯で佐々木さんが社長になったのですか?

佐々木社長ーー現会長が全国解体工事業連合会の会長に就任したのがキッカケです。東北、しかも山形から全国の解体業のトップになるということですから本当にすごいことです。そんなとき当時の社長(現会長)から呼ばれて、連合会の活動が忙しくなるから社長になれと言われて、断る理由は特にないからと社長になりました。(笑)

三浦ーー社長になる気はなく、ずっと営業でいるつもりだったのですか?

佐々木社長ーーそうです。私は前職でも営業をし、井上工業に入ってから営業一筋です。現在でもお客様を担当し、日々現場に出ています。

三浦ーーそれは現場を忘れないためにということですか?

井上専務ーーいや、社長は今でもトップセールスなんですよ。

三浦ーー社長でトップセールスってすごいですね!

佐々木社長ーーそれは単純で、営業マンが突然社長になったというだけなのです。私は会社に入社してからずっと営業マンです。営業にはこだわりがあり、自慢ではありませんがこれまで利益出さなかった年はありません。リーマンショックのときでも、国の補助に頼らず社員に満額給料を支給できるようにとにかく動いて利益をだしました。

三浦ーーす、すごいですね。見せれる社長。社員さんに対してはどんなこと伝えていますか?

佐々木社長ーー人間的に成長してほしいということです。とにかく資格の取得を後押ししています。とれたら評価するのは当たり前ですが、とれなくても必ずスキルアップすることになりますので、挑戦している事自体を評価することにしています。

三浦ーー取れなくてもその姿勢を評価されるのはいいですね。

佐々木社長ーー解体という仕事は、部分部分しかわからないのでは本質的な仕事ができません。どんな危険なことがあって、何に配慮しないといけないのかなどを考えることが大事です。
通常、下請けの場合は元請けの言うことを聞いてればいいのですが、私たちはそうではなく、自分たちが仕事する上でどうすればよいのかを逆に提案できるような存在でなくてはいけないと思っています。だからこそ全体を理解してマネジメントする力を持てるよう日々伝えています。
 

2.営業力を強化し元請け比率を高める

 

三浦ーー元請けの比率が多いということを聞いたのですが、営業出身の社長が意識して取り組んだのでしょうか?

佐々木社長ーーそうです。私が入社した頃はそういった規模でもなく環境も整っていなかったため、下請けがほとんどでした。もともと建設会社にいたので、なぜ井上工業がずっと下請けでいるのか不思議でした。しかし、元請けになるためには現場管理をしないといけない。そこで管理者を採用し、元請けとして仕事を取れる状態まで組織を育てていきました。

三浦ーー解体業は下請けが多いんですか?

佐々木社長ーーいや、全国を見れば元請けとしてやっている解体業者はたくさんいましたし、お客様にとってもその方が安全かつ効率的だと言う流れがありました。しかし山形ではなかなかできていなかったんです。
最初に元請けに成功したのが山形にあったcoco21という大型デパートの解体でした。元請けとして初めて、他2社とJVを組んで営業にいきました。安全管理体制などをプレゼンし、直接仕事をいただくことができました。
いまでは、山形県民会館の解体工事も、他社とJVを組んで元請けとして受注できるなど、どんどん元請け比率が高まっています。

三浦ーー山形の解体現場で御社のロゴをたくさん見かけます。

井上専務ーー僕らの強いところは、下請けからずっと手と足を動かして実績をつんできたので、元請けになったとしても管理業務に加えてこれまで通り施工までしっかりできるというところです。頭と体が一体になっていることが僕らの強みです。

三浦ーー下請けだけではなく、元請けもやるからこそマネジメント力や自分で考える力が必要なんですね

佐々木社長ーーそうです。そこは気を引き締めていかないと行けない部分で、管理業務ができる人材は育てていかないと行けないと思っています。

三浦ーー資格取得のサポートはありますか?

井上専務ーーはい。資格によって会社が全額負担する資格もあれば、一部負担するものなど様々な資格取得制度があります。この業界は資格がないとできない業務も多いので、資格をとった社員への評価なども意識しています。

佐々木社長ーーまず大事なのは資格などに挑戦する心です。弊社にいればそれなりの給料がもらえるようにはしていますが、もっと稼げるようにするために頑張ってほしいと思っています。

 

3.すべてをお金に置き換えて自分ごと化する

 

三浦ーーそれなりの給料がもらえるというのはいいですね(笑)

佐々木社長ーー私は常々、利益は社員の皆さんと折半するということを公言しています。例えば100万儲かったとしたら会社で50万、皆さんに50万円。ということです。利益は会社のものという思いは一切なく、利益は分けるものという考え方です。
例えば、会社のトラックを壊してしまった場合、修理にお金がかかることで利益が減ります。みんながもらえるはずだった利益が減っちゃうんだよということを伝えて初めて自分ごととして大事にモノを扱うようになります。
そういったすべての業務のことも自分がもらえるお金として考えると、少ない経費で利益を出すことを考えるようになります。つまり業務効率の改善などを自発的に考えるようになります。

三浦ーーなるほど・・・。

佐々木社長ーーお金に変えて考えると簡単です。人件費や備品、その他に関連する経費はだいたい決まっています。あとは何日間でその現場を終わらせるか、そのスピードで利益が変わります。
つまり安全に早く現場を終わらせることが、たくさんの収入を得るためにも大事なんだよということを伝えると、心から理解し無駄な作業を見直したり事前準備をしっかり行ったりと業務が効率化されるようになります。
そうやって業務が効率よく行われて会社に利益が残れば、しっかりその利益は折半するということは私の約束として社員に常に伝えています。

三浦ーー利益折半を公言するってすごいですね・・・

佐々木社長ーーみんなに言っています。具体的に言っています。逆に、良からぬ出費があった際も具体的にみんながもらえる利益がいくら減ったのかを伝えるようにしています。
この破損がなければ、5万円ずつボーナス増えたのになぁって(笑)

三浦ーーそれは、たしかに自分ごととして考えるようになりますね!たくさんお金がほしいから、効率よくする。そして自分だけでなく周りもそうできるようにサポートし提案するといういいサイクルになりそうです!

佐々木社長ーー我が身になって考えることが大事で、そのためにやっていることです。資格を取ればどうなるのか、それがわかることもそのためです。

三浦ーー専務にもお話を伺いたいと思います。専務は現会長の息子さんということですけれども、どういった経歴で現在に至るのですか??

井上専務ーー僕は大学進学をキッカケに静岡へ行き、埼玉にあるマグロ解体屋さんで働いていました。

三浦ーー解体は解体でもマグロの解体!?(笑)

井上専務ーーそうです(笑)魚の加工を中心にやっていました。社長にも恵まれとても良い会社で、楽しく働いていたときに、突然、当時の社長だった父が胃がんになったという知らせが届きました。
僕は子供の頃から会社を継ぐつもりが一切なくて、後継者は社内で探してくださいということをずっと言っていました。ただ、胃がんになった父親と会ったとき、これまで元気で活発だった父親がぐったりしていて、流石にこれは断れないなと思い2012年に会社に戻る決意をしました。

三浦ーー専務は35歳とお若いですが、これからの解体業界は高齢化なども考えられるのでしょうか?

井上専務ーーうちは20代社員も多いのですが、業界的には深刻な高齢化が起きていると思います。

 

4.働き方を整えて若手の定着率UP

 

三浦ーー若い社員が多い秘訣はなんでしょうか?

井上専務ーーやっぱり、休みがしっかりあるというのもあると思います。

佐々木社長ーー私もこの会社に入ったとき休日は少なかったのですが、今は休日も増やしています。すぐお金の話になっちゃいますが、平日働いて土日が休みだった場合、どうしても会社の都合で土曜日も働いてもらわなくては行けないときに、休日出勤の扱いになります。それだけで25%の割増賃金になり、稼ぐことができます。
そうやって働く日数が少し多くなった月もその分しっかり手取りを増やすことができます。この業界は土曜日も働くことが多いですが、土曜日出勤の会社と同じ日数働いても弊社の場合手取りは多くなっています。

三浦ーーそこまで考えて・・・めちゃくちゃいい会社ですね。年間休日数とかも多いのですか?

井上専務ーーはい。いま105日前後となっており業界ではトップクラスに多いと思っています。これでも前から比べると格段に増えていますし、これからももっと増やせるような経営をしたいと思っています。若い社員が多く、定着率が高いというのはそういった休日の多さと給与手取りの多さがあるかもしれません。
あとはうちは残業がないというか、できないんですね。仕事柄、夜解体をするということは基本的にないので定時で終わるケースがほとんどです。建築業界ではかなり早く帰れる方ですね。

 

5.DX化で業務の効率化

 

三浦ーーまさに、ホワイト企業ですね。下請けから元請けへのシフトに成功した御社ですが、次なるチャレンジなどはありますか?

井上専務ーー営業支援ツール、セールスフォースを使ったDX化です。見積もりから工事完了まですべての管理をペーパーレスにできるよう着手しています。

佐々木社長ーー私は必死に抵抗したんですけどね(笑)

三浦ーー専務がメインとなってやっているということですね(笑)それはどういった背景で取り組むことになったのですか?

井上専務ーー弊社では見積もりや現場の管理はすべて紙でやっていました。紙で残そうとすると管理が大変で、探したいときに探せないということがありました。解体の物件は同じもとは一つとしてないものなので、過去の似たような物件を探して参考にするのですが、その過去の資料を探すのがとにかく大変で見つからないときもありました。

佐々木社長ーーこんなこと言ってますが、私はこの取組には賛成です。私が頭でやってたことをそのままシステムにするというだけですから。どんどんやればいいと思っています。

井上専務ーー何年後でも、担当者が変わっても、退職していても検索すれば見れるというような、そんな仕組みにしたいと考えています。またセールスフォースは社内の管理として使っていますが、今後は現場への指示も、アプリを導入しペーパーレスにしたいと思っています。
しかし現場の社員からすると今まで紙でやっていたものをスマホにするというのは抵抗があるもので、その浸透や進め方に課題はあるのですが、まずこれまでの情報管理をDX化することから始めたいと思います。

三浦ーー採用や働き方に関して大事にしていることはありますか?

井上専務ーー弊社には全額会社負担で2年に一回ハワイに行く社員旅行や、みんなでバーベキューをしたり、定年後は石垣島に出張所があって遊びに行ったりとそういった取り組みがあります。
これはとてもよいことだと思うのですが、昨今の日本では、会社の行事が嫌だとか、その代わりにお金がほしいとかそういう流れがあると思っています。ここが難しいところで、時代の流れでコミュニケーションが減るのはすごく悲しいなと思っています。地方には地方の良さがあるので、理解を求めるところは求めながらも、世代を見極めながら順応したいなと考えています。

三浦ーー地方ならではの温かさってありますよね。これからどのあたりをどのように適応していくのか、動向が気になります。最後に、どんな人材に来てほしいか、教えて下さい。

井上専務ーー逆に都心でガッツリやっている皆さんに力を貸してほしいです。DX化なども含めどんどん教えてほしいと思っています。会社としては時代に合わせて様々なことにチャレンジしていきますので、自分の色を出してもらいやすい会社だと思います。

三浦ーーありがとうございます!

 

では実際に働く社員さんにも話を聞いてみたいと思います。


三浦ーー奥山さん、松田さん、今回はよろしくおねがいします!

奥山さん松田さんーーよろしくおねがいします!

三浦ーーそれぞれの業務内容を教えてください。

奥山さんーー私は工事部に所属しており、各現場での配車や配置などを営業と調整しながら割り振りする業務をしています。重機を使う現場もあれば人の手だけでやる現場もあり、規模によって人員や重機の有無などが違いますし、かぶってしまったら現場が動かなくなってしまいますので、全体のバランスを見ながら調整をするのが重要な仕事です。

松田さんーー私は工務部という部署で、大型、中型、大規模改修工事の現場管理をしています。役所や元請けさんとの打ち合わせや現場の工程管理、データ管理などの管理業務をしています。下請けの仕事と元請けの仕事で内容を変えるのでなく、下請けだったとしても元請けと同じように自らスケジュール感などを提案するように意識をしています。

 

6.井上工業はすべてがしっかりしていた

 

三浦ーーありがとうございます。お二人の入社のキッカケを教えて下さい!

奥山さんーもともと同じ解体業で宮城県にある別会社で働いていました。勤めていた会社が井上工業と関係があり、24歳のときにヘルプとして井上工業の現場を手伝いにきたのがキッカケです。もともと山形県村山市出身でしたが当時はすでに結婚していて子供もいたので、Uターンになりますね。
手伝いに来たときに感じたのが、本当にしっかりしている会社だということです。将来的な伸びしろというか、将来性があるということに魅力を感じました。

三浦ーー具体的にはどんなところが魅力でしたか?

奥山さんーーもう全てです。体制だったり、会社の重機や車両などの設備だったり、処分場も持っていたり、グループ会社があったりと・・・。であれば、出身地である山形だし家族も安心ということで転職し移住をしました。

三浦ーー松田さんの入社のキッカケも教えて下さい。

松田さんーーもともと土木の建設会社に勤めていました。たまたま会社の近くに井上工業の現場があり、土木の現場では見たことの無いような大掛かりな重機で解体作業をしているところに魅力を感じ、井上工業に入社をしました。

三浦ーー休日はどんな過ごし方をしていますか?

松田さんーー子供との時間を大切にしています。実家が河北町の田舎なので、山の方にいって虫取りをしたり、田んぼの手伝いをしたりと自分が子供のときにやっていたような遊びをさせています。

三浦ーーDXに取り組んでいるとお聞きしましたがどのようなことをやっているのでしょうか?

奥山さんーーDXについては、まだやり始めたばかりです。まだ現場での環境は整っていないのですが、管理者だけでなく現場の作業員がタブレットをもってペーパーレス仕事をすることが目標です。ただ、職種によってはスマホが支給されており、LINEを使って情報共有をしています。
建築業界はガラケーで電話しながら連絡を取り合うということも多いのですが、解体現場では今の状況を伝えるには写真を送るのが最もわかりやすい方法なので、LINEを活用しています。

 

7.充実した福利厚生

 

三浦ーー会社で開催されるイベントについてはどう思ってますか?

松田さんーー社員同士のコミュニケーションが取れるのはいいことだと思います。とくに海外旅行はいいですね。いままで海外は行ったことがなかったのですが、井上工業に入社してから海外に行くことができました。しかも費用は全額会社負担です。旅行積立があり、毎月給与から引かれるのですが、それはそのまま社員旅行で使えるお小遣いとしてもらえるんです。

三浦ーーえ?それが旅費に使われるってことではなくって・・・?

松田さんーーご飯を食べたりお土産を買ったりと旅行で自由に使える小遣いになるんです。奥さんに内緒にしている人は、まさかそんなお小遣いがもらえているとは思っていないでしょうね(笑)
ほかにも、友和会という社員の会があり、そこで自主的に花見をしたりBBQや芋煮会などを主催しています。強制しているわけではないのですが、ほぼほぼ全社員が参加しています。

三浦ーー強制してないのに参加率が高いって、本当に仲がいい会社なんですね。お二人はこれからどんなことにチャレンジしたいですか?

奥山さんーー個人的には毎年チャレンジをしていて、今年も建築施工管理1級と、解体工事業の基幹技能士を目指しています。基幹技能士というのは、解体工事業の中でもより豊富な知識や経験をもちマネジメントできる解体工事専門の技術者の資格です。SK1300という当時東北に1台しかなかった機械を導入したのでオペレータの育成にも注力していきたいです。

松田さんーー私は、資格取得については人から言われることなく、自ら会社に保有者が少ないような資格にチャレンジするようにしています。
今は国家資格の一級施工管理技士の資格取得に挑戦しています。また井上工業にはたくさんの業務があり、先輩方がやっている仕事を自分が引き継げるように、できる仕事の幅を広げて行きたいです。

三浦ーーありがとうございました。では最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします!

奥山さんーー会社を選ぶ上で、その業界や会社がどこまで伸びていくのかなど見ると思います。解体工事業はこれから伸びてくる業界の一つです。高度成長期に建てられた建築物の耐用年数の問題があり、将来的に見ても魅力のある業界です。
このような魅力を若い人に伝えるためにも、解体=ニッカポッカではなく、アメリカのワークスタイルシーンのようなデザイン性の高い作業着に一新したりとイメージをどんどん変えていっている会社ですので、本当に未来があると思っています!

三浦ーーお二人とも、ありがとうございました!