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システムを通した業務課題と地域課題の解決へ

株式会社SHONAI / SHONAIグループのシステムエンジニア

インタビュー記事

更新日 : 2024年11月26日

街づくり会社であるSHONAIは、観光、教育、人材、農業の4カテゴリーにおいて事業を展開している。各事業部門が個別に、スピード感をもって成長してきたが、そのスピード感ゆえの悩みが生まれてきた。全社視座で見た時に業務効率が落ちていることはないか? 本来起こるべき異分野の事業間のシナジーが起こりにくくなってはいないだろうか? それらの問題についてシステムを活用して解決すべくシステムチームの強化に動き出す。経営管理本部 システムマネージャーの榎本拓巳(写真左)と、経営戦略室長とショウナイズカン プロジェクトリーダーを兼任する藤原俊介(右)に話を聞いた。

株式会社SHONAI 事業概要

2014年8月、山形県鶴岡市で設立。地域課題を解決する事業をデザインし、未来に希望を持てる社会を実現することを会社のミッションとする。現在は、観光、教育、人材、農業の4カテゴリーにおいて8事業を展開する。 2018年、庄内の交流人口とファンの獲得を目指し、田んぼに浮かぶホテル「SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE(以下、スイデンテラス)」を、子どもたちが自由に遊び、創造性を発揮でき児童教育施設「ソライ」をオープン(いずれも設計は世界的に著名な建築家である坂茂氏)。同時に、仕事と暮らしの情報を発信するウェブサイト「ショウナイズカン」を開設し、志高い若者たちのIターン、Uターンを促進する。 創業時より農業にも本格参入し、農作物の生産と地元農家の生産物の流通や、農業用ハードを開発する「NEWGREEN」という子会社を創業。 2020年より「ソライ」を学童保育に利用できる「ソライ放課後児童クラブ」を開所。電力契約取次を通じて教育投資を行う「ソライでんき」のサービスも開始し、地域が教育参加する仕組みの構築を目指す。


システムを通して業務効率化と売上増を支援する

当然ながら、全ての事業部門では、業務を円滑に行うために必ず何かしらのシステムを利用している。事業規模が小さければ、各部門でシステム選定・運用を進める弊害も多少の手間程度のものだと済ませられるかもしれないが、8事業ともに急成長しているのがSHONAIグループだ。このまま各部門のシステムが個別に動き続けていたら、共有するための二度手間、三度手間が生じ、各事業部門の業務効率化自体にも大きな支障をきたして、いつかこの問題に向き合った時に手がつけられなくなる可能性がある。この問題への危機感から、システムチームの強化が始まった。

その中心メンバーでもあり、全事業部門と最も接点を持つ社員の一人であるシステムマネージャの榎本は、関東で大学を卒業後、IT系の企業で10年ほど働き、2018年の「スイデンテラス」オープンのタイミングで株式会社SHONAIに入社した。

入社当初のシステム担当の位置付けは今とは違っていたと次のように話す。

「事業部門があって、その下にぶら下がるみたいなイメージで仕事をしていました。各事業部門のためにシステム開発をして、『ここがやりづらい』『ここが不便』という反応を受けたらそれを改善する、というのを案件ごとに受けて対応してきたんですね。その場その場で解決してきたんですが、これだけ事業が拡大すると、会社が同じなのに部門間で情報が共有されていなかったり、横のつながりで効率的に進められるはずの部分に対応できていない状況が生まれてきてしまっています」

街づくり会社として、様々な側面で多くの地域企業や個人と関わることが多いSHONAIにとって、事業部門間の連携は経営上の大きな強みとなりうる可能性を秘めている。

そこで2021年6月に立ち上げられたのが、観光、教育、人材、農業の4カテゴリーすべての事業を横断する経営戦略室だ。デジタルおよびシステムを活用したグループ全体業務効率の改善と、既存各事業の売上強化をミッションとし、システムチームと深く連携しながら活動していく役割を担う。

「今はまだ動き出したばかりなので、グループ全体にとってあるべき姿を議論している最中であり、ヒアリングをしながら方向性を決めていきたい」と前置きしたうえで、藤原は次のように話す。

「SHONAIグループとして、全社視座で物事を動かす際にシステムは非常に重要な位置付けになりますので、業務効率の改善と売上強化を目指し、経営戦略室とシステムチームは深く連携して取り組みます。経営戦略室では創設に伴い、行動ポリシーを定め、『木を見て森を見る』としました。全社視座とは言っても、全ての業務にはそこに関わる従業員やパートナーの様々な考えと背景があります。それが木の部分です。まずはこの木をしっかりと見ることが大切だと考えています。同時に、全社視座でもその木を見て、SHONAIグループにとって最も業務効率が高いシステムや業務フローへと導くことが経営戦略室の役目です。それが森を意味します。その際に、システムチームは各事業部門と経営を繋ぐ重要な役割となります。

その観点で、新しくシステムチームに入ってきていただく方には、一緒に『木を見て森を見る』プロセスを通じてヤマガタデザインのビジョンに共感し、システムの可能性を考えて引き出していただけることを期待したいですね」

庄内地方のポテンシャルをシステムで引き出す

榎本は鶴岡で生まれ、関東の大学に進学した。大学を卒業後に関東のIT系企業3社で働き、子育てに適した環境がどちらかを考えて自然豊かな庄内地方にUターンすることを決意した。「庄内でシステムの経験を活かせる仕事はないだろうと考えて、まず公務員試験のテキストを買いました」と笑う。

「たまたま面白そうなことをやっている会社だと思ってSHONAIに応募したら、意外と前職と同じような仕事に就けることがわかって、これまでのキャリアを捨てずに戻ってこられたという感覚があります。新しい事業を始めるときには必ず呼ばれて、どういうシステムが必要なのかと事業部門の担当者と対話します。異分野の事業すべてに関われることはすごく面白いですし、モニターの前でカタカタやっているだけではなく、外に出て事業部門のスタッフたちと話しながら仕事を進めていけることも魅力的です」

「ショウナイズカン」の営業と取材で地域の企業を回る機会の多い藤原も、地域の人々とのコミュニケーションから、システムの充実が地域を変える可能性を感じるという。

「優秀な人材が欲しいという企業の声を拾い、庄内にUターンしたい、移住したい、という希望者とマッチングを行うのが『ショウナイズカン』ですが、このサイトを作ったのも他のあらゆる事業と一緒で、地域課題をどう解決するかというところからスタートしています。各企業を回っていると、実際にマッチングも生まれてきてよかったと言っていただけています。

全ての事業は地域課題の解決からスタートし、今ではどの事業も社会課題の解決まで見据えて取り組み始めているのですが、それら全てにシステムが不可欠です。木を見て森を見るというのは各事業部門にとっての最適解ではないことも多いため推進することは大変かもしれませんが、全事業に深く関われるのは仕事をする上ですごく面白いんじゃないかと思います。事業の変化だけでなく、カスタマーやクライアントの変化もダイレクトに感じられますから」

各事業部門の課題をヒアリングした上で、それらを解決するためのシステムの機能改善や開発を実践できる人材を求めているが、いわゆるSEとして、受け仕事をこなしていく業務とは違ったやりがいがあるはずだと榎本は続ける。

「すでに事業部門ごとに色々なシステムを利用していて、そこにデータが入っているので、手を介してデータをやりとりする作業が多くなっているのが現状です。すでに使用しているシステムとそこに記録されているデータをうまく生かし、新しいシステムで事業部門間を連携できるようにしたいので、システム間連携の経験や、1からシステム開発を行った経験がある方であれば、現状のシステムの問題を解決するアイデアから新たなシステム開発に携わっていただけると思っています」

街づくり会社として庄内地方の地域課題を解決する会社から、全国の地方都市に共通する社会課題までを見据えた会社へと進化していく株式会社SHONAI。全事業部門を横断する形で業務効率化を推進するシステムチームで働くことは、つまりは社会を変える最前線にいることと同じと言えるのかもしれない。