日々の暮らしに彩りを添えるショップを目指して
石川 沙有梨さん日々の暮らしに彩りを添えるショップを目指して
石川 沙有梨さん東京都からUターンし、「食」をトータルコーディネートするセレクトショップのオープン・運営に携わっている石川さん。 生まれ育った街のために。 そんな想いを自然と持つことができたという石川さんの移住ストーリーをご覧ください。(2022年4月取材)
酒田市で生まれ育ちました。小・中学校では陸上部に所属していましたが、どちらかというとインドア派で、机に向かって何かをすることも好きなタイプでしたね。姉の友人が進学した大学がとても楽しそうだったので、東京にあるその大学の文学部に進学することを目標に、高校生活を送っていました。
地元に不満があるわけではなかったのですが、晴れて志望した大学に入学するため酒田を離れる時には、これからずっと東京で暮らすんだろうなあという思いでいましたね。
東京での大学生活はすごく楽しかったです。仕事の都合で週の半分くらいは父が東京にいる状況が2年間くらいあったので、半分一人暮らしという感じで、自炊をしたりお泊り会をしたりと、大学生らしい時間を過ごしました。また、神楽坂にある「THE・東京!」といった感じのおしゃれなカフェレストランでのアルバイトも経験し、都会の暮らしを満喫していました。
上京を機に映画をたくさん観るようになったこともあって、大学2年に進級するタイミングでは、文学部の中でも映像・演劇の理論や歴史を学ぶ学科を専攻しました。映画や映像製作のノウハウを学ぶというよりは、映画史や映像理論など多角的な視点で捉える授業が中心でしたが、同じ学科の友人の中には、制作側への興味を深めていき、卒業後に映画監督になった人もいます。
留学して価値観が変わりました
私は自分の知らない分野を学ぶことの楽しさを知り、また英語を話せるようになったらもっと世界が広がるのではと考え、大学4年の時に半年間、アメリカでの語学留学を経験しました。多少のホームシックはあったものの、様々な国の学生がいる寮生活はすごく楽しく、日々驚きや発見の連続でしたね。何もかもスケールが大きくて、型にはまらない自由な考え方が新鮮で、とても有意義な半年間を過ごすことができました。
大学時代の友人とは社会人になっても仲良しです
就職活動は決してスムーズとは言えませんでしたが、鉄鋼関係の商社にご縁を頂き、留学経験が生かせる貿易関係の担当に就きました。5年ほど働いた頃、転職を見据えて退職したのですが、その後しばらくして同じく酒田出身の夫との間に、長女を授かりました。
東京で転職を考えていたのですが、すぐに産休に入ることになってしまうし、どうしようかなと悩んでいたところ、両親が経営している会社がインターネット販売を始めるための人材を探していると知ったんです。それならば私でも協力できるのではないかという話になり、東京で暮らしながら、酒田にある和光食材株式会社に入社することにしました。
最近は東京の会社に所属しながら地方で暮らすリモートワークも増えているみたいですが、私の場合は地方の会社に在籍しながら東京で暮らすという逆パターンですね(笑)。
両親が会社を経営していることは昔から知っていたものの、酒田に帰って来て欲しいとか会社を継いで欲しいという気持ちは聞いたことがありませんでした。私も「いつか両親の会社に入らなきゃ」とは考えてもいなかったんですが・・・。様々なタイミングが重なって、想像していなかった道が開けることもあるんだなあと思いました!
食品の卸業や酒類販売を行っている会社なのですが、私自身その分野での職務経験は全くなかったうえに、インターネット販売の知識も持っていなかったので、今振り返るとよくEC事業をスタートできたなあと思いますね。慣れないながらも、個人のお客様向けと業者さん向けの2種類のECサイトを立ち上げ、サイト運営や注文管理などを行いました。
長女を出産後も在宅で働いていたのですが、都内は待機児童が多い状況だったこともあり保育園に預けていなかったので、日中は子どもの遊び場に出掛け、娘が寝た後などに仕事をするような生活を送っていました。大変さもありましたが、毎日のように児童館に遊びに行き、同じ月齢のお友達もできて楽しく過ごしていたので、東京での子育てが窮屈だったという思い出はないですね。ただ夫は、長女が生まれた頃から、酒田に戻るのも良いんじゃない?と言っていて、確かに酒田の子育て環境は魅力的だなと感じてはいましたが、私としてはUターンはまだ良いかなと先延ばしにしていました。
東京での子育て風景1
東京での子育て風景2
ところが、長女が1歳半を過ぎた頃、双子を授かったことが発覚して・・・。喜びと驚きの気持ちに浸っていたのもつかの間、体調が優れない日々の中、長女のお世話にも追われ、これはもう自分たち夫婦だけでは無理だと思い酒田へのUターンを決断しました。
結果的に、夫と私それぞれの両親の近くで暮らせるようになったことで、私たちも頼れる存在が増え、子どもたちも伸び伸びと遊ぶことができ、両親も孫にいつでも会える環境になって、良いことばかりでした!!
なかなか踏ん切りがつかなかった私の背中を、双子たちが押してくれたのかもしれませんね。
Uターン後も、引き続きECサイト業務も担当しています。それまでは東京で注文を取りまとめて酒田にある本社へ伝票を流していたのですが、酒田に戻ったことで、私自身も発送業務に携わることができるようになりました。個人のお客様向けには丁寧さを優先して発送作業を行っていますが、業務用の発送の際は、量も多く聞き慣れない専門的な商品もあるので、とにかく間違えないように気を付けて業務にあたっています。それでも、発送ミスをして落ち込んだこともありましたね。
ゆったりとした店内
酒田に戻ってしばらくした頃から、新しいことに挑戦したいな、せっかくUターンしたんだから酒田の方から喜ばれることをしたいなという想いが生まれ、会社の新規事業の責任者に挑戦してみることにしたんです。何を扱うお店にするかも決まっていない状態で、まさにゼロからのスタートとなりましたが、「食と暮らしのトータルコーディネート」をコンセプトに、美味しくておしゃれな食品とお酒、それに合う気持ちが明るくなるような食器やカトラリーをセレクトするショップ「COCOT(ココット)」を2022年4月29日にオープンさせていただきました。
店名の決め手は、耳馴染みが良く覚えやすい響きだと思ったからなのですが、コロンとしたフォルムでスープ系からデザートまで幅広く活用することができる器の「ココット」のように、お客様の様々な生活シーンのお役に立てるショップになれば嬉しいなあと思います。
食器のセレクトは私が担当 しています
酒田では手軽に購入することができなかった成城石井や久世福商店の食品、カルディで扱っている商品(カルディオリジナルは除く)なども取り揃えていますので、ぜひ楽しみながら店内を見ていただけたらと思います。実際に「この商品、買ってみたいと思っていたのよ」とお客様からお声掛けいただいたこともあり、すごく嬉しかったですね。
また、セレクトするメーカーと直接交渉することもありますが、今までのお仕事で繋がりを築いてきた業者さんから紹介していただき、新たな取引先とご縁を作ることも出来たので、たくさんの方から関わっていただいたことにすごく感謝しています。
ただ、ゼロからお店を作り上げ、オープンまでこぎつけることの大変さは、すごく実感しました。外装や内装などデザインに関する大きなことから、セレクトした商品1つ1つの紹介POP作成や商品コード入力などの細かい作業まで、やることが無限にあり、プレオープン前日の夜中まで作業に追われていて、「明日のオープンは無理だな・・・」と思ったほどでした。スタッフみんなで頑張って、無事にプレオープンできた時には「諦めずに頑張るって大事なことだなあ」としみじみ思いましたね(笑)。
アルコールの種類の豊富さも自慢です
贈り物にピッタリな商品も多数ございます
冷凍ピザはおすすめ商品の1つです
日和山でピクニック
私自身は、酒田に物足りなさを感じて東京へ出たわけではないですし、また、東京での生活が嫌になってUターンしたわけでもないので、酒田と東京を比べてどっちが良いとはなかなか言えないですね。どちらにもたくさんの良さがあります。
でも、酒田での暮らしは、空間的にも時間的にも余裕を持つことができるかなと思います。
東京に住んでいた頃は、ちょっとしたお出掛けも、電車の乗り継ぎを細かく調べてベビーカーが通れる動線をチェックして・・・という感じで段取りが必要でしたが、酒田では基本的には車移動なので、とりあえずどこかに出掛けようか!という軽いスタンスで出掛けても何とでもなる感じがすごく気持ちが楽ですね。
酒田の老舗茶屋「尾川園」さんは家族みんなが大好きです
酒田が地元とはいえ、フルーツ狩りなど体験したことがないことや訪れたことがない名所も多いので、これからもっと酒田や庄内を楽しみたいなと思っています。また、酒田に移住した皆さん仰っているかと思いますが、食べ物がすごく美味しいなあと感じます。スーパーで売っている野菜がすごく新鮮だったり、美味しい海の幸が手頃な価格で売られていたりと、日々の暮らしに直結する部分の満足度が高いと、暮らしやすさにも繋がるなあと思います。
私の周りにも他県で生まれ育った移住者さんが何人もいますが、皆さん酒田を気に入ってくれていて、やっぱり酒田って良い街なんだなと思います。
そんな酒田での暮らしが、より素敵で楽しい日々になるお手伝いができるよう、私たち「COCOT」もこれから頑張っていきたいです。
名称 | 石川 沙有梨さん |
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at sakataの転載の記事です。
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