間違いなく庄内の外食の流れを変えた店だと思う。

まずドアをあけて広がる光景に圧倒される。天井一面に整然と配されたペンシル状の電飾がミニマムなシャンデリアのよう。モノグラムな床とのコントラストもあいまって一気に“世界”に引き込まれる。ターンテーブルの上で回り続けるレコードたち。ジャンルレスな音楽がワクワクする時間へと誘う。

茨城県水戸市でイタリアン trattoria blackbirdを営んでいた沼田健一さん夫婦が、2018年11月に奥さまの地元である鶴岡市に場を移す形でスタートしたお店がBlackbird Marketだ。

ブラックバードの第2章はカフェレストラン。鶴岡では、あえてイタリアンという枠組から離れ、間口を広げることで、地元の幅広い年齢層から支持されるだけでなく、首都圏などから旅の目的地として多くの人が足を運ぶお店に。

メニューには鼠ヶ関で水揚げされた紅海老を贅沢に使った「紅海老のパエリア」や、沼田さんお得意のイタリアンなエッセンスが活かされたサラダやパスタなど、庄内の旬の素材を贅沢に使った品々が並ぶ。益子焼や笠間焼の作家ものなど、モダンな器に盛り付けてサーブされる。都会的なルックスのスイーツもブラックバードならでは。すでに多くの若い女性たちを虜にしてしまっているようだ。

誰かと会っておしゃべりする。一人の時間にふっと息抜きする。料理はもちろん、器も、内装も、音楽も。すべてこの空間で過ごす時間のためにセレクトされ、デザインされているんだということに気がつく。愛おしい時間を過ごしに、今宵もブラックバードへぜひ。