世界に一つだけのオリジナルウェディングを
株式会社marrydesigns 代表取締役社長 伊藤 真実世界に一つだけのオリジナルウェディングを
株式会社marrydesigns 代表取締役社長 伊藤 真実酒田市内で株式会社marrydesignsを経営し、自身もウェディングプランナーとして活躍されている伊藤真実さん。 新郎新婦が専任のプランナーと共に1から自分たちの結婚式を創るという、庄内どころか日本でもまだ珍しい欧米型ウェディングプロデュースのスタイルをとるmarrydesignsで、日々お客様の最高の1日のために奔走する伊藤さんですが、その過去には意外な一面も……
酒田に生まれ、高校卒業後、進学のため仙台に行ったという伊藤さん。その後航空業界でお仕事をされていたということで、雰囲気からてっきりCAだった方かなと思っていたのですが……
「勤務先は庄内空港で、航空会社のカウンター業務などを行う仕事だったのですが、学校は技術系で、ヘリコプターや航空機の整備、運航支援などの勉強をしました。卒業後は同じく航空貨物や運航支援、整備補助として成田空港で働きたいと希望していましたが、地元の庄内空港の求人があったのと、長女なので実家に戻ってきてほしいという家族からの希望もあり、庄内に戻ってきました。航空無線や溶接もできますよ」
-庄内空港での希望の仕事は?
「その職種に就くために無線や車両の免許も取ったものの希望の課の配属は叶わず、カウンター業務などを行う旅客課に配属となりました」
-ちなみに何で技術系の学校に?
「何ででしょう(笑)。進路がなかなか決まらず、高校の先生に勧められて行った学校見学で、面白そうだな~と思ったのがきっかけでしょうか。あまり人前に出ずに、裏方で黙々と何かをやる方が好きなので」
※ホテルのウェディングプランナー時代。担当した新婦様と。
-航空業界からウェディングプランナーに転身したきっかけは何だったのでしょうか?
「体調を崩してしまったり、そろそろ別の世界も見てみたいなあと思っていた頃に、たまたまホテルのウェディングプランナーの募集を見つけました。この仕事を知ったのは自分の結婚式がきっかけでしたが、ホテルなら接客経験も活かせるし、自分としてもお客様と深く付き合えるサービスに関わりたいとも思い始めていたので、『いいね~』と思って受けてみました」
-ホテルのウェディングプランナーとして勤務した後、2014年に独立。2018年の法人化に伴い「株式会社marrydesigns」に。着実にステップを踏んでいるように感じられます。
「オーダーメイドのウェディングが日本に入ってきたのが約10年位前で、独立するために特に準備をしていたというわけではないですが、世の中の流れと個人的な流れが合ったといいますか。学校を選んだ時もホテル業界に転職をした時もそうですが、今思うとタイミングだったのかもしれません。それを掴んだ感じです」
※並んでいるのは、aterlier mmのドレス。トルソーに着せているものが今いちばんのお気に入りだとか。
ところで。一言でオーダーメイドウェディングと言っても、何ができるのかピンと来ないのも事実。「marrydesigns」にプランニングを頼んだら、どうなるのでしょうか。
「私たちはどこかの会場などと専属提携をしているわけではないので、初回はカウンセリングとしてその新郎新婦様がどんなウェディングを希望しているのか、たわいない雑談を含め色々お話をします。その後、そのお客様だけのオリジナルプランを作り、ご紹介したい会場などを実際に見に行ったりしながら一緒に準備を進めていきます。ホテルや式場、教会、旅館、レストラン、カフェ、キャンプ場……色々な会場で出来るというのが、いわゆる結婚式場とは違う大きなポイントですね」
-普通のウェディングだと、衣装や料理にしてもプランがあってその中から選ぶというイメージですが、完全に自由だと逆に決まらなかったりしませんか?
「最初にお客様にウェディングをつくっていく中での優先順位を3つほど決めていただいて、それに沿って半年くらいをかけて進めていきます。準備期間が長くなればなるほど、最初の希望とずれていってしまうこともあるので」
-その選択肢の中に、海外ウェディングも含まれる?
「そうです。昨年末にも東京のお客様のウェディングをロサンゼルスで行いました。最初は国内に限ってやっていたのですが、LA出身の外国人フォトグラファーとの出会いやハワイの会社との提携もあって、最近は海外ウェディングに力を入れています。というのも近年、婚姻件数は横ばいなのに対し結婚式の実施率はどんどん下がって、ついに30%を切ったというデータがあります。推測ですが、増税もあり、若い人たちの中に『自分が価値を感じるものにしかお金を払わない』という傾向が強くなっているのでは。そのため、結婚式はしないけれど海外でウェディングフォトを撮る、もしくはハネムーンを兼ねての海外ウェディングを行うという需要が高まってきているように思います」
-結婚式って、金銭面も準備も色々大変というイメージがありますしね。
「自分たちだけでなく家族の希望とか色々しがらみも出てきますから。また、最近は減りつつありますが、庄内はご祝儀制ではなく会費制の習慣が残っています。近所の誰かが結婚する時に皆でお金を出し合ったという昔の名残だという説もありますが、会費制だと相場がありますから、新郎新婦の金銭的な負担が増えるんです。でも、自分も会費で呼ばれたから相手も会費で呼ばないと……というような話も聞きます」
-印象に残ったウェディングはありますか?
「キャンプ場でアウトドアウェディングをやったお客様は、プランナーながら『よくぞやってくれた!』と思いました。前日から会場入りしてテント設営や、6月だったので虫よけなどの準備をして、料理はフレンチレストランから保冷車と共にケータリングで来てもらって。アウトドアということで肩肘張らず、出席者の中にはTシャツの方もいました。準備は大変でしたけど、後から写真を見ると皆さんとてもいい顔をしてるんですよね。新郎新婦様も涙を流してまですごく喜んでくれて。やっぱり結婚式はやった方がいいんじゃないかなと思いますし、プレッシャーなしで、肩の力を抜いた海外のようなウェディングもできるということを知ってほしいです」
-海外ウェディング以外に力を入れていることは?
「atelier mm(アトリエエム)というウェディングドレスに特化したブランドを立ち上げました。オリジナルデザインのものは7着、あとはビンテージやインポートなど全て1点ものです。ご希望があればオートクチュールもできますよ。また、弊社で結婚式をやってくださった方限定で、その後のお宮参りや七五三などのファミリーフォトも行っています」
※庄内空港で行われたジェットスター就航記念イベントでの一枚
-2019年8月に行われたジェットスターの就航記念イベントも担当されたとか?
「はい。ジェットスターの方とお会いする機会があって名刺交換をしたのですが、その後イベントのお話をいただきまして、当日のディレクションや設営・撤収などの裏方仕事を担当しました。私たちの会社が、ブライダルだけでなく他の仕事もできるという良いプロモーションになったのではと思っています」
Uターンで庄内に根を張り、活躍されている伊藤さん。本業のブライダル以外に今後やりたいことを伺いました。
「学生や若い人の支援をしたいです。田舎は何もないイメージがあるかもしれないけれど、競合が少ないからこそある程度自由にできることもありますし、新しいことをやれば注目されるなど、一人が与える影響力は大きいように感じます。田舎のしがらみが嫌という人もいるかもしれませんが、困った時はお互い様精神や助け合いの気持ちなど、そういう横のつながりは貴重なのではと思います」
-若い人の支援というのは、ご自身の経験から?
「そうですね。今でこそ学生対象のセミナーやアルバイトなどで学校外の大人と会えますが、私が学生の頃は、関わることができる大人といえば学校の先生と親くらいでした。自分が何に向いているのかも分からなくて、相談できる人もいなかった……今ほど情報もなかったので、将来どうするといった不安は強かったです。それもあって、私のこれまでの経験やスキルなどを活かして、少しでもこれから世の中に出ていく若い人の何かのきっかけや助けになれればと。それで、スキルや新しい発想を持った若い人が残ってくれたら、もっと街が活性されるんじゃないかと思います」
-「ショウナイターンズ」のキャッチコピーでもある「庄内でなりたい自分になる」。伊藤さんに庄内でなりたい自分になれている実感はありますか?
「なっていると思います! 今が一番いいですね。今後も色々やっていきたいと思っています。自分のステップアップにもなりますから」
名称 | 株式会社marrydesigns 代表取締役社長 伊藤 真実 |
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神奈川県鎌倉市出身。夫に連れられる形で、2018年3月より縁も所縁もない山形県酒田市に移住。ライター仕事やブログ「ボンジュール庄内」運営のかたわら、適度に便利でゆとりある地方都市生活を日々満喫している。現在は、酒田にボードゲームカフェを開くべく奮闘中。ちなみに夫はフランス人で「ガンバリーニ」は本名。 ボンジュール庄内