「フルーツを楽しんでほしい」10年前、果物店を営む青森屋がその想いを込めて作り始めたタルトは、それまでフルーツをあまり食べることがなかった人たちの目にキラキラと飛び込み、たちまち夢中にさせた。 贈答用のフルーツは、味も見た目も一級品、贈る相手が食べごろを味わえるよう未熟の状態で流通する。それが完熟したもの＝一番おいしい状態を味わえるのが、青森屋のタルトだ。生ジュースも同じ。また、コンフィチュール、ドライフルーツもすべてフレッシュをそのまま加工するので美味しい。"果物やが作るデザート"はすべて新しい果物を使い加工まで無駄なく使うフードロスの好例といえる。 さくらんぼ、ぶどう、もも、ラ・フランス、みかんなど、庄内をはじめ各地のプレミアムなフルーツタルトが折々に登場するが、特に華やかさを増すのが「いちご」のシーズン。やよいひめ、よつぼし、あわゆき、あまおうなどの人気銘柄がこぼれるほどにのっている。そのレシピと製造を手がけているのは、常務の大髙麻央さんだ。「3種類のいちごがあれば、それぞれの果肉に合わせて生地とクリームを変えます。よくおすすめを聞かれますが、直感で選んでいただくのが一番です。旬は一期一会ですから」。 その出合いの楽しみを知る若い女の子たちは、開店まもなくカフェを訪れ、せっせと写真を撮っている。この場所では果物離れなどどこ吹く風、フルーツのおいしさと美しさに心が動き、そのときめきがここから拡散されていく。これがフルーツコーディネート青森屋の、五感に映えるデザートだ。