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世界に循環を、あなたと幸せを

株式会社HARITA / リサイクルスタッフ 本社、射水RC

インタビュー記事

更新日 : 2024年10月15日

 産業・一般廃棄物の収集運搬や中間処理、家電などのリサイクル事業を行う株式会社HARITA。大量の産業廃棄物の破砕が可能な北陸地方最大級の大型シュレッダー(自動破砕選別機)ラインを持ち、新幹線に使用されるアルミ部材を再び新幹線の部材に利用する水平リサイクルシステムの構築など新たな領域でも存在感を示す。副業の許可や時間単位での有給休暇の導入など多様な働き方への対応も特徴だ。今回はそんな企業風土にひかれ入社を決めた2人の女性社員に、株式会社HARITAで働くことの魅力を語ってもらった。

 

営業企画グループ廃棄物資源循環ユニット

田辺瑠唯(たなべ・るい)

2022年4月新卒入社

 

リサイクル事業グループ家電リサイクルサイト

前田優海(まえだ・ゆみ)

2023年5月中途入社

 

株式会社HARITA 事業概要

  • 先進的な取り組みが最大の差別化

 1960年に高岡市で創業した株式会社HARITAは、鉄スクラップ回収業から始まった廃棄物処理の老舗企業だ。現在は、自動車や家電などさまざまな物品を収集。運搬から中間処理、リサイクルまでをワンストップで請け負う〝総合リサイクル業〟として、富山県と石川県に拠点を構え、事業を広げている。

 株式会社HARITAの最大の特徴であり、他社にない差別化ポイントは、先進技術や設備を駆使し、廃棄物の効率性な処理、再生の実現に向けたあくなき追求だ。

 1978年には、鉄とアルミの融点の違いを利用し、廃棄自動車のエンジンからアルミを取り出す「アルミエンジン溶解炉」で特許を取得。バブル期に廃棄物の排出量が増加する中、91年には大量の廃棄物の処理が可能な大型シュレッダーを導入するなど設備投資も積極化している。

 

  • 循環型社会への適応が大きな転機とチャンスに

 大きな転機を迎えたのは、国が循環型社会形成推進基本法を交付した2000年以降。家電リサイクル法など環境配慮に向けた法律が相次ぎ施行され、廃棄物削減や資源を再利用する動きが加速度的に広がった時期だ。株式会社HARITAはこの時流を捉え、リサイクル対応を本格化させるため一気にかじを切った。

 その象徴となったのが、08年に約25億円かけて射水市内に開設した射水リサイクルセンターだ。従来に比べ大量に廃棄物を処理できる大型シュレッダーや、廃棄物から資源を自動で回収できる選別装置を各ラインに配備した次世代工場を稼働させた。

 10年には、同センターで、使用済みの小型家電製品から金や銀などの貴金属類、パラジウムなどのレアメタル(希少金属)を自動化ラインで回収する技術開発に成功。全国に先駆け、レアメタル回収の事業化に取り組み始めた。

 

  • さらなる飛躍へ!太陽光パネルのリサイクルに光明

 今後、さらなる飛躍のきっかけになると期待するのが、使われなくなった太陽光パネルのリサイクル事業だ。ここ数年で急速に普及した太陽光パネルは2030年代以降に一斉に寿命を迎え、大量廃棄時代に突入すると予想されている。

 ただ、太陽光パネルは、電極やシリコンを何層も強固に接着しており、分離してリサイクルするのが難しい。さらに、鉛やカドミウムなどの有害物質を含んでおり、適切に廃棄処理するには高い技術力も必要だ。

 太陽光パネルの大量処理と再利用の両立を目指し、新たな選別技術の研究も進めてきた株式会社HARITAは、太陽光パネルの適正処理業者として県内で唯一、国から認定を受けた企業となっている。

 

  • 世界初、新幹線廃棄車両のアルミをリサイクル

 全国初、県内初となる実績を積み重ねてきた中で、ついに〝世界初〟となる取り組みを20年に実現させた。それは、新幹線の廃棄車両に使われたアルミ部材を、新しく製造する車両部材の原料に再生して供給する「水平リサイクルシステム」の確立だ。

 JR東海などと共同で実現した技術だが、株式会社HARITAはその中核を担った。レーザー誘起ブレークダウン分光法(LIBS)と呼ばれる成分分析術を応用することで、さまざまな金属が混じり選別が困難だった新幹線のアルミ材から、正確に合金の種類を識別・選別できる装置を開発。そこから選別された金属を用いて、同年7月に営業運転を開始した東海道新幹線の新形式車両N700Sの荷棚と荷棚下パネルに採用した。

 安全性が特に重視される高速鉄道の車両において、リサイクル部材を実装した世界初の事例となった。

 

  • 副業OK、男性育休取得7割超、先進的な人事改革

 革新的な技術開発や取り組みで存在感を高めてきた株式会社HARITAだが、従業員の働き方改革でも先をいく。

 転換点となったのは2010年。張田真氏の社長就任だ。新社長は少子高齢化による労働人口減少への懸念が強まる中、「働く人を会社が選ぶのではなく、働く人に会社が選ばれる時代になる」と考えた。選ばれる会社になるために熟考した結果、〝多様な働き方を認める会社〟であることに結論が至った。

 まず、会社内の業務改革を推進するための組織として、これまでなかった「人事部」を創設。必要のない業務を洗い出すための組織再編を実施し、タブレット端末を全従業員に配布するなど業務効率化に向けたデジタル化改革も同時に進めた。

 また、女性が持つ、男性とは違う視点や能力を社会価値に転換することを最優先事項のひとつと考え、女性が長く働ける環境づくりにも着手。家庭と育児の両立や、女性の管理職起用などに積極的に取り組んだ。

 一連の取り組みの結果、22年現在は女性社員の育産休取得率は100%に達し、男性社員の取得率も70%を超える。女性の管理職比率は30人中4人で13%を確保。社員の有給取得率は99%に達し、多い人で80時間近くあった月平均の残業時間は13時間にまで圧縮した。残業時間が大幅に減ったことで、16年には社員の副業も解禁。多様な働き方を認める社風が醸成された。

 時間外労働の上限、有給休暇の取得、正社員と非正規社員の待遇格差の禁止といった国が定めた規定を、19年にはすべて達成。子育て支援に優れた「くるみん」、若者の採用・育成に積極的な「ユースエール」の認定企業にも選ばれた。23年8月には岸田文雄首相が視察に訪れるなど、子育て支援や女性活躍の推進を意欲的に進める先進的な企業として全国からも注目されている。

 現在は「働き方改革」の次のステージ「働きがい改革」に向け、仕事だけにとらわれない豊かな人生設計を支援するための改革に邁進している。

  • 希望する生活拠点に配慮してくれる会社に感激!

 「田辺は石川県に住みながらも富山県にある株式会社HARITAを選び、積極的にチャレンジして成長が著しい。仕事以外にやりたいことを明確にしている前田は、副業を解禁している株式会社HARITAだからできる働き方を、芯をもって実践している」

 経営管理本部総務チーム人事ユニットの開発恭代が太鼓判を押す2人の若手女性社員。株式会社HARITAでの仕事を通して描く、自身の将来像を示してくれた。

 

 生まれも育ちも石川県という田辺は、同県内の大学を卒業後に入社した新卒2年目。現在も金沢市に住みながら、金沢事務所で営業職を担当している。主に、取引先から処理を依頼された廃棄物の情報を集め、廃棄物の引き取り日や輸送方法、伝票配布などの一連の手配業務を担う。

 石川県内の就職支援センターからの紹介で株式会社HARITAという会社を知ったという田辺。どんな会社か調べていく中で、女性活躍の推進や働き方改革に熱心に取り組んでいる企業風土に大きな魅力を感じ、他社の内定を辞退してまで株式会社HARITAへの就職を決めた。

 

 

 「全国転勤のある会社で色々なところで働いてみたい気持ちもあったのですが、株式会社HARITAの人事の方とも話す中で、やはり生まれ育った北陸地方の人と通じ合えるような感覚がありました。災害も少ない地域ですし、北陸で働きたいという思いが募りました」

 入社に当たり、石川県内で働きたいという希望も会社側はくんでくれた。「生活も仕事もしやすいよう配慮してくれたことが一番うれしかったですね」。田辺は笑顔で振り返る。

 

 

  • カイロプラクティックの副業続けたい!

 一方の前田は今年5月に株式会社HARITAに転職し、現在は富山県内のリサイクル工場で主にエアコンの室内機の解体業務に携わる。ベルトコンベヤーから流れてくる室内機から、ラジエーターやモーター、基板を取り出し、プラスチック部分などと分別する。時には10キロ近いリサイクル品を持ち運ぶ等の力仕事もあるが、男性社員のフォローを得ながらも働き甲斐を感じているという。最近は破砕機の操作を受け持つなど、業務の幅を徐々に広げている。

 そんな前田だが、転職の背景にはやむを得ない事情もあった。

 

 

 「6年ほど前から個人事業主として自宅でカイロプラクティック(整体術)業を営んでいるのですが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、営業規模を縮小せざるをえなくなったんです。それに加え、今年29歳を迎え、そろそろ結婚や出産も考えていく中で、正社員として働ける会社を探していました」

 ハローワークから紹介された複数の企業を見ていると、目に留まったのがハリタ金属だった。

 「カイロプラクティック業を営んできた中で、また来たいという常連の看者さまもいました。そうした看者さまのためにも、副業として規模を縮小した形で続けたいと思っていました」

 そう話す前田にとって、仕事を選ぶうえで重視したのが多様な働き方を受け入れてくれるかどうか。副業がOKで、時間単位の有給休暇の取得が可能な株式会社HARITAは、まさに〝うってつけ〟だった。

 

 

  • 夢の化粧品業界での仕事も視野

 副業にこだわりを持つのは田辺も同じだった。

 「実は化粧品業界へ就職したかったのですけど、うまくいかなかったんですね。ただ、業界に行きたい気持ちはあって、今も勉強をしています。もう少し自信がついたら、副業として化粧品の美容部員のアルバイトからでも挑戦したいと思っています」

 そう目標を語る田辺だが、本業では2年目となり仕事量も増え、新人時代とは比べ物にならない多忙な日々を送っている。これまでは既存の顧客への対応が中心だったが、最近は新規の顧客開拓にも精を出す。環境関連の法改正を機に新たな廃棄物の適切な処理方法を提案するなど、自身の営業スタイルを模索する毎日だ。

 

 

 「どうやれば自分にとって一番、業務効率がいいのかいろいろと試行錯誤しています。まだまだ知識も経験も足りないので、悩んだときは常に上司に相談、報告しながら業務にあたっています」。株式会社HARITAで請け負えない仕事でも、同業他社とも相談して、適切な処理ルートを見いだして提案するカスタマーファースト(顧客第一)を心掛ける。

 

  • 会社を楽しいと思ったのは初めて!

 8月となり、県内でも猛暑日が続き熱中症も危惧される中、処理現場で作業する前田にとっては粉塵などに加えて暑さとも格闘する毎日だ。現在、エアコンと洗濯機の解体作業を担う22人のうち、女性は前田を含めて2人。力仕事への負荷も大きいが、「同世代だけではなく、上の世代の人も優しく、日常的に助けてくれるので、働きやすいです。会社を楽しいと思ったのは初めてでした」と前田は笑う。 

 

  

 

午前8時から午後5時までの就業時間のうち、夏場は1時間15分から1時間30分ごとに15分間の休憩が設けられている。1人当たり1台のスポットクーラーが設置され、飲料水も支給される。

 「暑くて汗だくにもなりますが、会社のみんなに会うと、今日も頑張ろうという気持ちになります」。そう話す前田は、持ち前の明るい性格で前向きに仕事をこなす。

 「今後はエアコンの室外機の解体にも携わりたいと思っています。室外機は室内機に比べて大きく男性でも大変です。ただ、女性でも挑戦できる部分があると思っています。エアコンからフロンを回収する作業に挑戦しようと上司とも話をしています。そうした分野もこなせるようになり、マルチにお仕事ができるようになりたい」。上昇志向も育まれている。

 

  • 休日は県内を満喫!パン屋巡りにアクティビティ

 毎日を忙しく、楽しく仕事をこなす2人はどんな息抜きをしているのか。休日の過ごし方を聞いてみた。

 「私パンが好きなので、休日は富山と石川のパン屋さんに開店時間に行って、パンをこぞっと買っちゃいます。好きなものを自宅でゆっくり食べて、平日の疲れを癒やします」。

 好物はあんバターサンドという田辺は高岡市内のパン屋は「ほとんど制覇した」と豪語する。お気にいりは砺波市にある「ルノンベーカリー」。仕事で砺波に行く際は必ず立ち寄り、甘い菓子パンを食べ比べるのがささやかな楽しみだ。

 一方の前田は、休日は富山県内でアクティビティに興じる。「身体を動かすのが好きで、パラグライダーや乗馬体験、最近は庄川で毎週ウェイクボードやっています」。平日も終業後にビーチボールなどを楽しむスポーツウーマンだ。

 「繁忙期を除く平日は定時に帰れるので、ゆっくりお風呂に入って、睡眠も沢山取って休日に消耗した体力を回復できています」

 

  • 県内を出てみたい気持ち、県内で生きるこだわり…個々の思いを支援

 そんな2人はどんな将来像を描くのか。

 「やはり、いつかは化粧品業界に携わりたいと思っています。今の仕事が落ち着いて、慣れてこれば、休日にでも化粧品業界に関りを持てるような仕事をしたいと思います」と田辺。「一度は北陸から出て挑戦したい気持ちもありますね」と富山から飛び出し、新しい領域への進出も視野に入れる。

 一方の前田は、副業のカイロプラクティック業などで得た経験を生かし、多くの人が楽しめる大きなイベントを実施したいと話す。「これまでは20~30人規模のイベントはしていたのですけど、40~50人程度に広げていきたい。ハロウィンやクリスマスなどの機会に、体育館で体を使った催しをしたり、バーベキューをしたりして、友達の輪を広げられたらいいなと思っています」

 県内で生きることへのこだわりも強い。「結婚・出産し、周りに助けてもらう状況があると考えたら、富山県から出られないかな。都会に遊びに行くのは好きですが、そこに住もうと思ったことはないです」

 

  • 優しい仲間に助けられ、楽しい職場を形成

 休日の過ごし方から今後の目標まで対照的な2人の姿は、多様な働き方を許容し、社員の働きやすい環境を提供することで色々な人材を集められる株式会社HARITAの象徴として映る。

 最後に、2人に一緒に働くうえで、どのような人材に来てもらいたいかを尋ねた。

 

 

 田辺「相手が困ったときに助けられるか、お返しできるような方がいいと思いますね。営業は色々な人と交渉する仕事も多いので、きちんとコミュニケーションが取れることが大事かな」

 前田「女性特有の体調不良のときでも周囲の人がサポートしてくれたり、時間単位で有給休暇を取れたりする環境なので、体力に自信がない人でも働きやすい職場です。ただ、リサイクル品に触れたり粉塵が舞う中で作業するので、汚れることに抵抗のない方が向いているとは思います(笑)」

 新たな仲間を呼び掛ける2人はともに職場での仲間の優しさに助けられていることも強調してくれた。

 「年配の皆さんは私をまな娘のようにかわいがってくれるんです」(田辺)、

「本当に、そう。いつも気にかけてくれる身近な存在で親近感がありますよね」(前田)。

この日、初対面だったという2人。お互いの職場での話をしながら自然と浮かんだ笑顔の相槌が、この会社の風通しのよさを感じさせてくれた。