食材の宝庫『大長谷』ならではの滋味をイタリアンで 村上山荘

八尾の町並みを川沿いに遡っていくと、小さな谷間が開ける。
イタリアンと和食の店・村上山荘 があるのは、「ながたん」の愛称で知られる大長谷。
岐阜との県境にある人口わずか数十人の集落だ。

そんな山奥へ、シェフの森恵美さんがつくるピザとパスタに惹きつけられて、多くの人が食事に訪れる。

森さんは富山市の出身。
お父様の地元である大長谷には叔父さんの経営する民宿(現在の村上山 荘)があり、小さい頃から手伝いがてらよく遊びにくるなかで、飲食の仕事に興味を持った。
大阪のピッツェリアでの修行中、独立に向けて場所を検討するなかで、久しぶりにこの土地を訪れ たことが転機になったという。

「その時期に採れた山菜でパスタをつくったら大好評で。ここでやるのもおもしろいな、とお店 を引き継ぐことになりました。イタリアンはなじみにくいかと思いきや、地元の人たちも楽しみ に食べに来てくれています」 ふきのとうみそのピザに、天然まいたけと生ハムのピザ、天然きのこたっぷりクリームソースパス タ…黒板には山ならではの食材をつかったメニューが並ぶ。

「山菜もキノコも、いってみれば完全無堆肥無農薬栽培の自然の恵みなんですよね。厳しい環境の なかで育まれる食材はほんとうにおいしいんです」 天然のきのこも山菜も平地では手に入らない食材。大長谷はシェフの感性をぐっととらえる食材 の宝庫なのだと思う。

日によっては、くまのミートソースなど熊肉がいただけることも。
地元のジビエのハンターから、 丁寧にした処理された熊肉を分けてもらえるのだそう。

「いちばんおいしい骨の周りのお肉を取っておいてもらったり。キノコの時期に一緒に鍋にして食 べたいっていう宿泊の常連さんもおられますね」 山はおいしい。知っている人だけが知っている、特別な滋味。

そのおいしさを味わいに、ぜひ出 掛けてみてほしい。

村上山荘

富山県の最南端に位置する、秘境「大長谷」。
白木峰(1,596メートル)や金剛堂山の山々に囲まれた谷あいで、山菜、きのこ、イワナ、ジビエなど、大自然の恵みをたっぷり味わうことができます。
山で遊んだ後は、食べて、温泉で休んでゆっくりと流れる時間をお過ごし頂ければと思います。