称名滝

称名滝は、富山県中新川郡立山町にある立山連峰を源流とする滝で、標高1,000メートル付近に存在します。「日本最大級の瀑布」と言われており、その落差は350メートル。見上げるほどの断崖絶壁から流れ落ちる水の落差は、日本一を誇ります。

水煙を上げながら一気に流れ落ちる様は圧巻で、国の名勝であり天然記念物にも指定され、日本の滝100選にも選ばれています。

 

「©(公社)とやま観光推進機構」

 

■立山の自然が生んだ圧倒的な迫力の自然美

 

称名滝は、滝の更に上流の険しい峡谷である「称名廊下」の末端に位置しています。

立山連峰の雪解け水を水源にもつ称名川(上流)が、V字峡谷「称名廊下」を抜け、標高差350メートルを流れ落ち称名滝を生み出しています。称名川は下流で川幅が一気に広がり、七姫平、法童平などの平坦地を作る一方で、川の左岸には、「悪城の壁」という、高さ500メートルの日本最大の一枚岩の岩壁を形成しています。流れ落ちた水は、やがて称名川(下流)、常願寺川を経て富山湾へと至ります。

 

称名滝の特徴は弥陀ヶ原台地から4段にわたって流れ落ちる段瀑であること。上部から70、58、92、126メートルとなっており、各段を伝い流れていく大量の水は直径60メートルの巨大な滝壺に注がれます。

水しぶきをあげながら、ダイナミックに滝が流れ落ちる様は正に立山の自然がなせる業。

自然資源が豊かな富山だからこそこれだけの規模の景勝地が生まれたと言えます。

 

 

■神仏を守護する大蛇が棲まう滝

 

称名滝は「立山信仰」とも密接な関係がありますが、そもそも立山信仰とは一体何なのでしょうか。

 

まず、立山は701(大宝元)年、わずか16歳の佐伯有頼が開山のご神託を受けたという謂れがあります。その時、有頼を開山へ導いたのが白鷹と黒熊であり、鷹の正体が不動明王、熊の正体が阿弥陀如来と伝えられています。この伝説は広く知られ、富山市の呉羽山展望台には立山を指さす佐伯有頼の銅像があります。

遥か昔から立山の周囲の景色は美しくもあり特異な景観だったと言われています。

室堂平から東を見上げると、屏風のように立山三山がそびえ、北へ向かえば険しい岩稜帯の剱山が控えています。室堂平には青い湖面をたたえるみくりが池や、絶え間なく噴気が上がる地獄谷が存在しています。昔人は立山三山を極楽浄土に、剱岳やみくりが池、地獄谷を地獄に見立て、信仰と結びつけていきました。このように立山の荘厳な自然に恐れると同時に魅せられた人々によって、日本古来の神道思想と外来の仏教思想が融合し、神仏習合となって立山信仰は全国に広まっていきました。

 

称名滝も平安時代の「今昔物語集」では勝妙ノ滝(優れた滝)として人々に知られ、その滝壺には神仏を守護する大蛇が棲むと言われていました。

立山信仰より古来、立山一帯の景勝地はどこか神格化された一面があったと言えるのではないでしょうか。それだけ人々を圧倒する豊かな自然がこの富山に昔から存在していたことを裏付けています。

 

「©(公社)とやま観光推進機構」

 

 

■水量が多いときは幻の滝を拝めることも

 

より迫力のある滝を見るには、水量の多い春から夏が絶好のタイミングです。

特に立山連峰の雪解け水が豊富な春の時期や梅雨の時期には、称名滝の左岸側の断崖から高さ500メートルのハンノキ滝が現れます。2つの滝が見える時期は限られるため非常に貴重な光景です。また、条件が揃えば滝に虹がかかるのを見ることもできます。間近でそれらを拝めた時の感動は一入です。そして滝壺から水しぶきが吹き上がり、まるでダムの放水のように迫る姿は迫力満点。

目の前に迸る水しぶきを感じながら日常生活で疲れた心身をリラックスさせて頂きたいです。

 


 

また秋には色彩豊かな紅葉と白い滝のコントラストが見事に調和し、幻想的な空間を生み出します。こちらも非常に人気があり、称名滝展望台は、赤や黄色に染まるカラフルな渓谷を望むことができるため沢山の人がその光景を一目見ようと集まります。道中でも、遊歩道脇の紅葉や、称名川の紅葉が秋の訪れを感じさせてくれ、春夏とは違った見応えがあり、楽しむことができます。

 

 

注意事項として称名滝展望台までは、一年中いつでも行けるわけではありません。通行可能な時期は4月から11月までとなっており、冬の訪れとともに閉鎖されます。

同じく立山駅〜称名滝へ繋がる称名道路も、立山駅からすぐの冬季ゲートで閉鎖されます。

冬の立山は雪深く雪崩も起こりやすいため、美しい自然が臨める一方、非常に厳しい側面もあります。

自然が生み出したゆえの圧巻の迫力を体感できる貴重な景勝地が数多く存在する立山エリア。訪れた際はその贅沢さをふんだんに感じ、楽しんでいただきたい場所です。

 

 

アクセス

住所:富山県中新川郡立山町芦峅寺

076-462-1001

立山駅から運行している「探勝バス」に乗っても行くことができます。

称名滝富山地方鉄道 立山駅称名滝探勝バス / 称名滝行き

→【称名滝バス停】→ 徒歩(約30分)

※称名滝探勝バス通行期間:4月下旬~11月中旬