五箇山は、富山県の南西端に位置する自然豊かな地域です。庄川沿いに40の集落が点在し、のどかな山村風景が広がっているのが特徴的です。
相倉(あいのくら)と菅沼(すがぬま)の2つの代表的な集落には、合掌造り家屋をはじめ伝統的な建物が数多く残っています。今でもそこで人々の生活が営まれており、観光の際はそんな素朴な山村の原風景を垣間見ることが出来る観光地として人気を博しています。
そんな五箇山の近くにある「五箇山 和紙の里」には五箇山の魅力を複合的に楽しめる施設が混在していますが、その中には食事処「五箇山の味 ふるさと」があります。
折角、五箇山観光を楽しむなら、地元の食も一通り体験することでその土地に訪れたことの満足度は上がることでしょう。
「五箇山の味 ふるさと」は地元産の食材にこだわり、郷土料理を数多く楽しめる食事処です。
中に入ると、吹き抜けの天井が高く和紙の照明が優しく店内を照らしているが、印象的です。五箇山には江戸時代から脈々と受け継がれている手漉き和紙「五箇山和紙」があります。豊富な雪解け水により育まれる自家栽培の五箇山楮を使用し、主要な産業のひとつへ発展した歴史があります。
優しい灯りと木造建築特有の温かさが感じられる雰囲気の良さは昔ながらの郷土料理が振舞われるのにぴったりの場所。
注文した料理を待ちながら、窓から見える開けた山々の景色を楽しむのも一興です。
五箇山料理といえば、まず名前が挙がるのが五箇山豆腐ではないでしょうか。
その昔、肉が貴重で手に入りにくかった五箇山で、主なタンパク源として食べられてきたのが五箇山豆腐と言われています。昔は藁でしばって持ち運んだとも言われているくらい、その硬さが特徴的です。にがりを合わせた豆乳を絞って固め作られており、通常の豆腐とは違う独特な食感があるとのこと。
崩れる気配もなくみっちりと身が詰まった状態で並ぶ様は、提供されてくる姿も相まって本当に刺身のように見えてきます。ワサビをつけて食べるのが、五箇山流とのことで、口に含むと豆腐とは思えないはっきりとした歯ごたえがあり食べ応えが十分。シンプルな食べ方だからこそ、感じられる素材の良さ。豆腐の甘味とわさびの苦みが良い塩梅の一品です。
また、是非店舗で食べていただきたいのが、岩魚から揚げ定食です。
地元の清流で育った岩魚をから揚げ甘酢にくぐらせた名物料理。
甘酢だれにつけたカリッとした岩魚から揚げは香ばしく、外はパリッとしつつ中はふっくらしています。甘酢だれの甘さがご飯が進むちょうど良さ。骨を気にすることなく頭からしっぽの先まで堪能できる美味しさです。
添えられた小鉢も脇役にならない美味しさに驚き。地元の山菜が味わえたり揚げ豆腐が楽しめたりと季節によって提供されるのが変わるのも楽しみの一つ。
麺類のメニューで目を引くのが、大きないなりが乗ったいなりそば。蕎麦つゆが浸み込んで口に広がる優しい味。いなりだけではなく、五箇山豆腐、富山の巻きかまぼこなど富山の素材を味わえて満足度の高い一品です。
※五箇山なめこは現在、メニューからなくなっています。
どこか懐かしさを感じさせる食事処は観光客だけではなく、地元の人も通っている様子が窺えます。愛される由縁は美味しい食事と穏やかさを感じる居心地の良さではないでしょうか。地元産の食材にこだわり提供される郷土料理の数々は、お腹だけではなく心も満たされていきます。
五箇山和紙の里には他にも和紙漉きが体験出来る体験館や和紙の歴史や技法を紹介する工芸館があり、近隣には豆腐作り体験やそば打ち体験を行える施設もあります。
五箇山といえば、合掌造りを中心とした閑静でのどかな風景が有名ですが、他にも楽しめる
場所がいくつもあります。是非訪れた際は視覚だけではなく五感をフルに使って多角的に五箇山を楽しんでいただきたいです。
【住所】〒939-1905 富山県南砺市東中江215 道の駅たいら内
【電話】0763-66-2310
【サイト】https://hitosara.com/0005022764/
【アクセス】
車 五箇山ICより国道156号線を砺波方面へ約20分
バス 南砺市営バス「入谷口(道の駅たいら)」下車すぐ(土・日・祝日運休)