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企業理念は「縁の下の力持ち」 お客様のニーズに合わせた あらゆる包装資材の企画・提案から販売まで

有限会社 えずみや商店 / 営業、機械メンテナンス

インタビュー記事

更新日 : 2024年02月21日

有限会社えずみや商店は1955年(昭和30年)創業。当初は、当時爆発的に流行していたフラフープなどの商品を取り扱っていたが、増加する包装資材の需要に伴い、次第に紙加工品・食品パッケージ・梱包包装資材等の販売へと移行し事業を拡大、以来創業70年を迎え、さらに挑戦を続けようとしている。

有限会社 えずみや商店 事業概要

パッケージ・梱包・紙袋・食品容器を取り扱う資材総合商社。

包装・梱包資材、オリジナルパッケージ及び印刷物の企画・制作、包装機器等を専門に取り扱っている。

現在まで多様な顧客ニーズに対応した包装資材の企画・開発・販売を続けながらその膨大なノウハウを蓄積し、 取扱商品は数百点を優に超える。「縁の下の力持ち」という起業理念のもと、お客様と資材メーカー、えずみや商店が三位一体となり、時代の流れに即した新しい商品開発やサービスの構築に取り組み続けている。

 



有限会社えずみや商店 専務取締役 江角 彰則

 

商品の販売戦略に大きく関わってくるのがパッケージや包装

「私たちえずみや商店は、包装や梱包、パッケージなど食品容器の資材の専門商社です。お客様のあらゆる要望を実現するためのほぼすべての資材を取り扱っており、お客様のニーズに合った最適な包装資材をご提案することができます。」と有限会社えずみや商店 専務取締役の江角さんは、とても温厚な語り口で続ける。

「パッケージや包装は、商品の保護は言うまでもなく、持ち運びや開閉しやすいなどの利便性であったり、商品のブランドイメージを高めて販売促進を図る、などの目的においても非常に大きな役割を担っています。最近は環境に配慮したパッケージや包装を使用することによって、お客様は環境に配慮している企業として認識され、信頼を得ることができます。」

取引先の中でも海外展開を考えているお客様にとっては、例えばターゲットである欧米では環境への意識が高いため、環境に配慮したパッケージを採用することは、商品の販売戦略において重要な要素となっていると江角専務は説明してくれた。

「お客様もこだわりがあってメーカーを指定される場合もありますし、そうでなければ違うメーカーでもコストカットに繋がるような資材があればそちらを優先したいという場合もあり、背景はさまざまです。急ぐと言われれば、岡山や広島のメーカーまで走ってその足でお客様に納品することもあります。お客様がその容器に何を入れたいのか、水産物なのか農産品なのか、弁当なのか、テイクアウト用なのか、冷凍か、常温か、などその商品の特徴によって適正とサイズ、厚みがあり、それらを反映したパッケージを提案する必要があります。その上でその商品のブランドイメージを損なわないよう、お客様とメーカーと一緒にパッケージの仕様を慎重に検討します。」

 

 

 

お客様、メーカー、そして私たちが三位一体になることを目指す

段ボールからジャムやドレッシングの容器、シールまで、あらゆる包装資材の中から三者で検討を重ね、場合によっては包装資材をカスタマイズすることもある。別注パッケージは通常のパッケージよりも高価になるため、コストを十分に考慮する必要が生じる。

「私たちは、お客様のニーズをメーカーに伝え、メーカーの商品やサービスをお客様に紹介します。お客様とメーカーをつなぐことで、お客様は必要な商品やより良いサービスを入手することができ、お客様の声を伝えることで、メーカーは自社商品やサービスを改善することができます。」と江角専務。

お客様とメーカーの中間に位置する商社だからこそ、メーカーと小売業者の双方のニーズを把握し、互いのフィードバックによって業務負担の軽減や情報提供、企画提案に貢献できるメリットがある。

「国内メーカーとの繋がりを強化するためには、展示会に行く必要性を強く感じています。展示会では大きな収穫を得ることができます。ホームページを持っていないような小さな会社でもすごい技術を持っているところもある。新製品や新技術をいち早く知り、お客様にフィードバックすることは、より良い製品やサービスの提供へと繋がりますので。」とアフターコロナ後を見据える。

「お客様、メーカー、そして私たちえずみや商店が三位一体となることで、互いがWinWinの関係を構築することができれば、三者の満足度を向上させることができます。人と人との繋がりを結ぶ、それが私たちの商社としての重要な仕事であり、その実現のためにこれからもずっと追求していかなければと思っています。」江角専務のその言葉には穏やかな口調の中にも強い意志を感じることができた。

 

 


製袋機。他者との差別化を図るために導入。

 

 


えずみ商店ならではのオリジナルサイズに対応したポリ袋製品の一部

 

梱包機器のスペシャリストを目指す

「新型コロナウイルスの感染拡大では、私たちにも影響は少なからずありました。テイクアウトの需要の増加に伴い食品容器の売上も増加しましたが、逆に宴会や仕出しの需要が減少したため、宴会用容器や仕出し用容器の売上は激減しました。これを教訓として、コロナ禍後の将来を見据え生き残っていくためには資材の企画販売を含め、私たちにしかできない新しいビジネスモデルの展開や、現状他社に比べて遅れをとっている、業務管理のデジタル化などの新たな土台づくりが鍵になると考えています。」

コロナ前から先駆けて取り組んできたのが、他社にない差別化を図るためのオリジナルポリ袋製作だ。早くから製袋機を導入し、取り組みを開始した。製袋機とは、プラスチックフィルムや紙、布などの素材から袋を製造する機械で、商品の特徴によってさまざまな材質や規格でお客様の要望に応える。「弊社で対応できるのはプラスチックフィルムを原材料としたポリ袋が主なもので、他では取り組んでいない、私たちならではの製品です。お客様のご希望のサイズで製作できますし、例えばクリアファイルみたいな商品も作ることができます。相談していただければ対応可能です。」

資材の販売に加えて、梱包機器の販売に参入にチャレンジすることもそのひとつだ。新しい知識や技術を習得することで技術的な側面からもお客様をサポートできる。
「わざわざ遠方のメーカーから技術者を呼ぶことなく私たちでその製品に関する情報を提供したり、操作方法を説明したりすることができます。お客様が技術的な問題に直面した際には、トラブルシューティングを支援したり、解決策を提供したりすることができます。」どうすればお客様の業務の効率化に役立つことができるか、販売促進サポートできるかを付加価値を高めるために試行錯誤する日々だ。

 

 

 

 

祖父から引き継いだ「縁の下の力持ち」の信念

「私たちの理念は【縁の下の力持ち】です。」と江角専務。この精神は初代社長の祖父が常日頃から皆に繰り返し伝えてきた言葉だ。「私たちには、表舞台で活躍するお客様を支え、成功に導く重要な役目があり、この地道な努力が社会貢献にも繋がっていくのだと考えています。」
初代社長は、昭和30年に20代で当時流行していたフラフープを扱う仕事から会社を興した。江角専務で3代目だ。聞けば、江角専務は子どもの頃からすでにおぼろげながら家業を継ごうと思っていたと言う。
「私は、高校生以降、精神的に不安定な時期を繰り返していました。そんな時に、何くれとなく気にかけてくれていたのが祖父でした。だからか、私の中で祖父の存在は大きく、思い返してみれば、その当時の多感な時期に心の支えになっていた気がします。県外の大学に進学してからも夏休みや冬休みなどには出雲によく帰省し、祖父が運転する車の助手席に乗って、一緒にお客さんのところへ行ったものです。」
江角専務は就職活動を通じて、おのずと自分の就活の軸はやはり家業にあると考え、出雲にUターンする。祖父や父が長年築き上げてきた会社を受け継ぐことは大きなやりがいであり、自分の役割を担うことで会社の発展に貢献したいと考えた。学生時代から江角専務に人との繋がりの大切さを教えてくれた祖父は2013年に他界したが、その信念は受け継がれている。「現在は父が2代目社長、自分が専務として営業、またメーカーとの折衝もすべて担当しています。すべてはお客様にどれだけ満足していただけるか、お客様の会社の発展のために私たちがどれだけ貢献できるかです。私たちはこれからもずっと『縁の下の力持ち』であり続けたいと願っています。」

えずみや商店の社員は、2023年現在11名だ。江角専務がまだ学生時代の頃から勤務している信頼の厚い社員ばかりだと話す江角専務は、「祖父の時代は経験者優遇で社員を募集していたが、これからは若い人にも入社してもらい、人材育成に力を入れていきたい。」と話す。若手社員にベテラン社員の右腕となるべくベテラン社員から経験や知識を継承し、、若手とベテラン社員がバランスよく活躍できる社内風土を構築することでより良い業績を上げることを期待したいという。それはまるでかつての江角専務と祖父、すなわち初代社長の歩んできた道のりのように。

 

 


営業担当 西尾 宣宏さん

 

 

勤続年数が長い社員が多く、人間関係が良好な職場。

営業担当の西尾宣宏さんは、担当の地域のお客様への営業活動が主な業務だ。西尾さんは、以前土木の仕事に従事していた経験がある。「土木の仕事はやりがいのある仕事ですが、個人的に、私は人とコミュニケーションをとることが好きだったこともあり、お客様と直接関わることができる営業の仕事に興味を持っていたので、チャレンジしてみようと思いました。」と話す西尾さんは、初代社長の時代から勤続20年のベテランだ。
「営業活動を通じて様々な人と出会い、様々な経験をすることができることは楽しいです。お客様から依頼された注文内容をメーカーに問い合わせたり、自分で調べられることは調べたり、お客様の課題を解決し、少しでも役に立つことができることはやりがいがあります。お客様との信頼関係を築くことで、長くお付き合いができ、人脈が広がることもモチベーションアップになります。」
営業担当者同志もしくは各職種の社員で教え合うなど社内全体で協力し合うことで情報やノウハウを共有でき、より高い顧客満足度を実現することができる。それだけでなく、社員同士がコミュニケーションをとることで、お互いの理解が深まることも働きやすい職場環境になっているのではと西尾さんは話す。「社内は本当に居心地が良いです」

 

 

 

新しいことに挑戦する機会が多く、毎日が新鮮。

「商品数がとにかく多いので、入社当時は商品を覚えることに苦労しました。」と西尾さんは笑う。
「ですが、実際に仕事に従事し、先輩社員から指導を受けながら知識やスキルを習得していくうちに自然に身につくようになります。お客様からこの商品が欲しいと要望があれば、どんどん自分で調べて進めることも勉強になりますし、ルーティンワークではなく、新しい商品の開発など、新しいことに挑戦する機会が多い職場なので、20年勤務していても毎日が新鮮です。」
付き合いの長いお客様とは食事を共にすることもあるという西尾さん。人との関わり、さまざまな価値観や考え方を持つ人と接することで得られる新しい視点をもって、少しでもお客様の役に立ちたいと考えている。