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この街のインフラを守る。

アクアシステム株式会社 / 現場管理技術者

インタビュー記事

更新日 : 2023年07月26日

人々の暮らしに欠かせない水。アクアシステム株式会社は、質の高い専門技術と幅広い知識で、その「水」に関する分野の施工第一線で活躍する専門のプロフェッショナル集団だ。

ライフラインや住環境の整備・保全を通じ、社会生活の改善と向上、地域社会の進展に貢献することで、社会から信頼される企業を目指す。本気で「水」と向き合う、彼らの素顔に迫る。

アクアシステム株式会社 事業概要

水道施設や、地元大手工場のプラント配管、施設の空調・換気・消火配管、個人宅の上下水道工事など、暮らしに欠かせない水に関わる幅広い事業を展開している。

●水道施設工事:簡易水道・上水道・農業用水・工業用水

●管工事:給水設備・排水設備・空調設備・消火設備・ガス設備・浄化槽設備・各種プラント配管 各地の浄水場や下水処理場、各自治体の水道本管工事、日立金属(株)安来工場のパイプライン配管、住宅、プールなど、様々な分野で実績がある。

創業は昭和38(1963)年12月。安来市に本社を構える「水」に関わる幅広い事業を展開するアクアシステム株式会社の現代表取締役 三澤孝志の父、先代社長の出身地は奥出雲、仁多町亀嵩がルーツ。姉が安来の商家に嫁いだのを期に、自身も安来に移った。彼は米子の水道屋で1年間修行を積み、姉の嫁ぎ先が配管事業を起こした際に、昭和38年アクアシステム株式会社の前身「安来水道」を立ち上げ、はじめの一歩を踏み出す。創業40周年を迎えた2002年、代表取締役社長に新しく就任したのは弱冠29歳の若き三澤社長だ。大学卒業後、大阪の電気設備会社で3年間下積みの後、1999年に安来にUターンを決意。その3年後の社長就任となる。親子2代にわたり「この街のインフラを守る。」を理念に、強い気概を持って「水」に関わる事業に挑む。

「この街のインフラを守る。」そこに私たちの志はある。

 

アクアシステム株式会社 代表取締役 三澤 孝志

 

「私たちは、まさに地元密着型『まちの水道屋』です。災害が起きれば、いち早く現場に乗り込んで応急復旧に当たらなければならない。」水が出ない、では生活できない。地元の人々にそんな不便はさせられない。「この街のインフラを守る。そこに私たちの志があります。」そう力強く話し始めたのは、アクアシステム株式会社 代表取締役 三澤孝志だ。

「父の代から、私たちは地元の水事業を牽引する『まちの水道屋』、いわゆる「水」に関する熟練の職人集団として、給水工事や下水工事などの公共事業から個人宅の水漏れの修理に至るまで地域の人々が豊かに暮らすことができるよう、心血を注いできました。」とことん「守る」ことへのこだわりが、地元の人々との強い絆につながっている。

「島根県東部地区の中でも、水道の本管工事を外注に出すことなく、当社のように自社で職人を抱えて施工することができるのは、この業界でも僅か。」加えて水道屋は、重機、ダンプやユニックなどの大型車両をはじめ、さまざまな機械を自社で持っていなくてはならず、それを維持していくことも大変なことだ。「設備投資をし続けながら、アクアシステムらしさを守り続けていくこと、それもまた当社のプライドです。」 アクアシステム らしさとは、「水」に関するスペシャリスト集団としての誇り。それもまた、父の代から受け継いできたものだ。彼の父は社長という立場ではあったが、実際には親方そのものだったと子供時代を振り返る。職人さん達の食事の準備をし、仕事から帰ってきた彼らに食事を食べさせ、そこで寝泊りし、仕事に出かけることもあったという。

「専門工事は、その専門性によりそれぞれ特化した技能が必要です。建築設備で例を挙げると、空気を出すダクトの配管工事やエアコンの室外機と室内機を繋ぐ冷媒配管工事などは外注に出すものもありますが、水道・排水・ガス・浄化槽、給排水に関する配管工事は、自社の職人たちですべて施工可能です。」 安来市から松江市へ美味しい水道水を給水する重要な拠点、安来市の飯梨川浄水場ではろ過池の砂削り作業を担う。ろ過池の砂にたまった汚れを削ってきれいにする、月に一度の重要な作業だ。斐伊川水系の尾原ダム関連では、雲南市木次町の三代浄水場管理を担当する。また、奥出雲町では365日漏水当番を請け負う。私たちの命の源といってもよい水道水を作るところからメンテナンスに携わっている。いつでも蛇口をひねりさえすれば流れ出る「水」。いつでも使えることが当たり前になっている「水」の提供を支える、高い技術力と幅広い知識を集積した専門技能をもって日々臨んでいることが心から誇りだと語る。

 

 

切磋琢磨する状況が最終的には品質向上へつながる

 

三澤社長が安来にUターンし、まず取り組んだのはISO9001認証取得。自社の経営資源を大切にしたい、また、何よりも顧客満足度の向上を図りたいという想いが強くあった。「ISO9001は、品質の高いサービスを提供することを目的としたマネジメントシステムで、今まで培ってきた業務スタイルを継続しながら、顧客満足度を向上する効果が得られると考えました。着手当初は3人でプロジェクトチームを立ち上げ、1年半かけてISO9001を取得したのが約20年前。今日に至るまで継続中です。」

現在、アクアシステムでは、河川から取水した水を濾過・浄化・滅菌して上水道へ供給する水道施設の浄水場の整備、飲料水を各家庭や建物などに送る水道の本管施工、建築物の空調・換気・消火配管、地域経済を支える工場のプラント配管、生活排水を浄化する浄化槽設置工事など、暮らしに欠かせない「水」に関する事業を幅広く展開。時代の要請に応じて事業を拡大してきた。

「高い品質のサービスを提供するためのひとつの方策として、社員の資格取得により、重機などの点検は自社で行うようにしています。重機から燃料が漏れ、重大な事故につながることを未然に防止することが目的ですが、特に浄水場での作業では、念入りに点検を行います。そのためにも、当社では社員の技術力向上を積極的に応援しています。」と三澤社長。「社員はキャリアアップにつながるよう、毎年目標を立ててもらっています。会社側としても、みんながその目標を達成するための支援は惜しみません。昇給制度では、定期昇給の他にも職務遂行能力に応じた等級による昇給も行っています。」

資格試験に必要な参考書の支給、さらに勤務時間外に好きなだけ社内で勉強できる環境を整えている。

資格取得後には給与もしくは報奨金等で資格給与を別途加給する。「してもらうのが当たり前」ではなく、学ぶ側も会社側も真剣勝負だ。

「切磋琢磨する状況を生み、各サービスへの品質向上につなげていきたいと考えています。人材を『人財』へ育てる。

うちの社員は、現場もできる、図面も書ける、管理もできる、営業もできる。幅広い業務に対応できます。それがアクアシステム の一番の強みです。」

 

 

 

 

研修を見守る

 

求める人財は、「笑顔が魅力的な人」

 

社員は38名。ここまでには苦しいこともあった。一時期は50名足らずいた社員が、35名にまで減ったこともあった。技術を教えてもいろいろな都合で退職を余儀なくされることもある。「苦しい時こそ成長するチャンス。それを乗り越えたからこそ、業績が伸びたと感じています。どんな時も私自身は裏表なく誠実に、社員に接するよう努めています。」

意見が言いやすく風通しのよい社内風土にするため、まずは直属の上司との1on1面談を行う。

昔から職人は「技術は見て盗め」と教育されることが多かったが、今はそれでは後継者は育たない。OJTにより実務を通して経験にもとづいたノウハウや知識を学ぶ。必然的に社員同士のコミュニケーションがとりやすい関係性をも構築できるため、結果的に職場への定着率アップにつながる効果が見込めるという。

「うちは離職率が低い。前社長から勤務してくれている社員も多く、順次定年を迎えるようになりました。当社の定年は65歳、継続雇用は68歳までと規定されていますが、70歳まで引きあげていかないと技術力が低下してしまうのではないかと懸念しています。体力の問題で退職を希望する社員もいる。現状の雇用規模を維持していきたいが、労働人口が減っていることもあり、若手の育成が当面の問題です。「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」とは山本 五十六の名言ではないが、ものづくりは人づくりと同じ。これからは、人づくりが求められる時代です。」と人財育成の難しさを語る。

 

 

「求める人材としては、経験者であればなおさらよい。しかし、そこが一番重要なことではありません。うちは公共工事のような大きな工事だけでなく、各家庭に上がらせてもらって小さな修理をする仕事も喜んでさせていただいています。ホームセンターで買ってきた部材を取り付けて終わりというような仕事ではなく、さまざまな専門分野のノウハウ、知識、経験から、適切な部材を使って技能で取り付ける。社員一人ひとりが会社の看板を背負う意識を持ち、営業もできれば、職人仕事もできる。お客様に笑顔で応対できる愛嬌があれば、最初はそれが一番よいと思っています。」経験者よりも人間性が大切だと言う三澤社長。「協調性」「笑顔が魅力的」からスタートすればよい。最初から多くを望んでおらず、技術スキルは入社してから身につければよい、と語る。

「今、社内で20代、30代の若手グループがスキルアップのための研修会を率先して開いている。技術的な意見交換や技術を後輩へ伝えることが未来へつながる道と確信しています。」

 

 

創業60周年を迎えるその先に。

 

「来年は、創業60周年を迎えます。これからも社会の要請やお客様のニーズにお応えしながら、培ってきた経験と技術を最大限に活かし、さらに柔軟な創造性を発揮して、地域の暮らしを守り、地元産業の振興に貢献していきたい。」

「安来水道」から「アクアシステム」に社名を変更後、電話帳の一番上に社名が掲載されるようになった。「以前は【安来水道】だったので一番下だったが、一番上になったせいか仕事の電話が増えました。」と笑う。創業から半世紀以上、「水」と向き合い続けてきたアクアシステム株式会社。職人として磨くべきもの、守るべきものの本質を社長以下社員一人ひとりが切磋琢磨し合いながら、10年先、30年先、50年先へ繋いでいくためのさらなる挑戦を続けていく。

 

 

 

 

 

工務部 係長 宇賀 博司

 

アクアシステムだからこそ、ここまでできる、と言いたい。

 

「うちは良くも悪くもスペシャリストの集合体なんです。それぞれの職人が志が高く、プライドを持って仕事に臨んでいる。」そう切り出したのは、入社20年38歳。この若さでもうベテランの域に入るキャリアを持つ宇賀係長だ。生まれも育ちも安来っ子。趣味はボルダリング 、ボルダリングの筋トレのために、家にトレーニング機材を揃えたという「のぼせもん」ぶり。若手の中でもリーダー格として後輩をぐいぐい引っ張っていく熱い男だ。

「職人の世界は昔から言葉で説明するよりも『見て覚えろ』が当たり前だった。自分自身も当時は、今に追い抜いてやるぞという気持ちで頑張ってきた。しかし今の時代、それでは若手が育たない。後継者が育たなかったら、会社が傾いてしまう。それが今の最大の悩みであり、葛藤でもあります。」やり方も職人によってそれぞれで、習った人が違うからやり方も違う、では必要な知識もスキルもなかなか身につかず、結果的に業務効率が悪い。お互いがプライドを持って仕事をしている職人であるがゆえに、やり方が違うためにぶつかることもある。そこも調整していきたいと宇賀係長は胸の内を語る。

「仕事をもらったらいい仕事で返したい。アクアシステムだからここまでできると言いたい。アクアシステムに施工してもらって本当に良かったと思ってもらいたい。そのためには、人材育成教育が必要です。とにかく、日々いい仕事をすることだけを考えている」

いい仕事をする。とてもシンプルではあるが、その言葉の中に宇賀係長の熱い思いが詰まっている。

「教えてくれないからできない、ではいつまでたっても成長できません。計画を練って後継者を育成する必要があると強く感じています。その難しさを今痛感しているところです。幸いなことに、アクアシステムには自分たちの考えていることを実現できる環境があります。」

そうして20代〜30代の若手の13名でチームが誕生した。技術向上のためのOJTを定期的に開催することになった。チームの名前はまだない。できたてホヤホヤだ。そして、彼はそのチームリーダーとして後継者育成を担当する。「現場は生き物だ。」と彼は言う。職人たちは、現場ではチームを組み、施工に当たる。仕事には流れがあり、時間制限もある。技術的に突き詰めること、技能を高めることでヒューマンエラーを防止し、即戦力となる社員を増やし、コミュニケーションを図ることでチーム力を上げることができると信じている。

 

 

松江支店 工務部 石飛 和孝

 

ものづくりを突き詰めることで環境は変えていける

 

宇賀係長がリーダーを務める若手チームのサブリーダーが、松江支店勤務の石飛 和孝さんだ。若手の中でも中堅として活躍する朴訥な雰囲気の25歳。入社のきっかけは、高校の担任の先生の勧めだった。「就職のことで悩んでいました。先生に相談した時に、このアクアシステムを紹介してくれました。」アクアシステムさんは良い会社だよ、この一言が決め手になった。

入社7年目を迎え、今では図面も書ける、現場もできる、幅広い業務をこなす。そんな石飛さんでも、最初は現場で宇賀係長に叱られた思い出があるという。「その時はほんとにこっぴどく叱られました。見様見真似で仕事をしていたところをガツンと。」技は見て盗めの弊害を身を以て知った石飛さんだ。それだけに、OJTの大切さは痛感している。

「自分は褒められて伸びるタイプ」と笑う石飛さんが「あの時、叱られて良かった。もしあそこでスルーされていたら、と思うと非常につらい。そのお陰で今があります。」と振り返る。

「どんなにすばらしい材料や機械があっても、それを使いこなすのは自分たちです。勉強会を持ち、後輩に技術を伝え意見交換ができる場を設けることで、一人ひとりの意識改革が会社の成長につながると思います。自分のブラッシュアップにも役立ちます。」と語る。

 

 

配管講習会にて 宇賀係長

 

配管講習会にて 石飛和孝さん

 

 

 

 

 

総務部 内田 恭子

 

「ヤッタネ!!」

 

2021年6月に入社、本社総務部に配属されたニューフェイス。それが笑顔の爽やかな内田恭子さんだ。結婚を機に安来市にIターンした。それまで勤めていた松江の会社を退職し、安来市で働くことを選んだ。

ある日、夫とドライブ中にアクアシステムの前を通った時のこと。「この水道屋さんは、安来にはなくてはならない会社だ。もし安来で転職するならこのアクアシステムさんがいいと思うよ」と強く勧められたことがあった。

「夫だけでなく、とにかくうちは家族一同アクアシステムの大ファンなんです!」その影響で、ぜひこの会社で働きたいと思っていたところ、なんと希望が叶って採用となった。もちろん、家族共々大喜びだったという。なぜアクアシステムさんの大ファンなんだろうと不思議に思っていたが、入社して納得した。自分の家族だけでなく、きっと地域の人たちもこの会社のことを心から信頼しているに違いないと感じた。

「総務部で仕事を教えてくれるのは、歳がひとまわり下の「先輩」ですが、年齢関係なく仲良くしていただいています。」

安来市出身の新卒の子からも「あんないい会社に入れるなんて、ほんとラッキーだよ、とみんなに言われます。」という話を聞いた時に、「ヤッタネ!!」とふたりでガッツポーズにハイタッチで喜び合った。

今は決算月が終わり、とにかくほっとしているところだという。

 

 

ワークライフバランスも充実した日々。

 

集金業務で伺った会社では「気持ちのいい工事をしていただき、ありがとう」のメモが貼ってあったこともあった。そんな時は、「本当に心から誇らしい気持ちになる」と自分のことのように喜ぶ。

アクアシステムでは毎朝朝礼で、社員が順番に1分間スピーチをする。「この1分間スピーチでは人となりが伝わってきてとても新鮮です。」と内田さん。

「王陵の丘のつつじが満開ですとか、広瀬の芝桜がきれいでしたとか、そういう情報を仕入れて、休みになると観に行こう!と張り切ってしまいます。安来に住んでいますがまだまだ観光気分が抜けません。安来はとても暮らしやすい街です。」

総務部では月イチの部会で本社、松江支店、奥出雲支店のメンバーが交流を深める。ただ、居心地が良いからといって甘えてばかりもいられない。とにかく貪欲に仕事を覚え、貢献したい。

「2年目になったら、もっとガンバレ!ワタシ!!」