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税理士法人おおぞら総合会計事務所 / 税理士業務補助

インタビュー記事

更新日 : 2023年12月25日

税務のプロとして企業を縁の下からサポートするパートナー

税理士は、税金に関するさまざまな業務を請け負うのが主な仕事です。税務のプロであり、経営者や個人事業主にとっての大切なパートナーでもあります。米沢市に本部を置くおおぞら総合会計事務所は、2006年に税理士法人として事務所を設立して以来、置賜地方の経済変化に俊敏に対応してきた企業です。今回は、所長の加藤英樹さん、社員の梅村昇平さん、伊藤奈都美さん、齋藤蒼太さんにお話を伺いました。

税理士法人おおぞら総合会計事務所 事業概要

1970年に個人の税理士事務所としてスタート。2005年に現所長である加藤英樹さんが引き継ぎ、2006年に法人化。2017年には、税理士の岡村いち子さんがパートナーとして加わり、上山市にも事務所を設立しました。

置賜地方、上山市、山形市を中心に200社以上と取り引きがあり、巡回監査による月次決算支援、会計処理、会計システム導入の相談、適正な納税申告支援などを行なっています。企業の希望によっては、資金計画策定支援や経営計画策定など経営に関わるコンサルティングを行なうことも。税務のプロとして、企業の力になる仕事をしています。

数字だけではなく、相手を知ることが必要

「税理士」という職業は、税の専門家として申告納税手続の代理を行ないます。正しい税金の知識を持ち、適正な納税をするための手助けをするのが仕事です。

「当事務所は、税理士業務がメインです。本来、税務の申告というのは、法人も個人も納税者が自分で行なうのが原則なんですね。しかし税法や仕組みなどの実務は難しいことも多いので、そのお手伝いをするのが税理士の仕事。他人のために税務の業務ができるのは、資格を持った税理士もしくは公認会計士だけなんです。企業以外にも、個人のお客様から相続税や贈与税といったご相談もあります。『税金』と名のついたものについては、どんな案件もご相談に乗るのが私たちの役割です」

クライアントとなる企業の規模は幅広く、家族経営のコンパクトな事業者からいくつも支店のある大企業までさまざまです。

「ものづくりの企業からサービス業、社員は家族とアルバイトだけの小さな法人企業、個人事業もあります。一方で国外に進出している大きなメーカーなども担当しています。この職種に特化しているということはなく、広く関わっています。個人事業主の方で確定申告のお手伝いだけをしている場合もありますよ。基本は、ひとつの企業につき担当者1人が対応しますが、大きな企業になればプロジェクトチームを構築して動くこともあります」

それぞれの企業の決算日に合わせて業務を行なうことが多いので、とくに決算日が集中する時期はフル稼働です。

「法人税の場合、例えば3月決算ですと3月31日で締めて、5月末まで申告するのが基本ルール。1年間の所得、利益を計算して申告書を作成します。社員1人で15〜20社担当しているので、年明けから5月末ぐらいはピークで忙しい時期ではあります。ただ、1年間の伝票、請求書をまとめてやるわけではなく、できる限り毎月お客様のところに訪問して月次決算は行なっているので、想像されているよりもハードワークではないと思いますよ」

毎月、担当企業に訪問し、月次試算表を元に成績などの話をします。その際にどうしても厳しい意見を言わなくてはいけない場面もあるそう。いかに誠実にクライアントを思って伝えられるかが重要になると言います。

「私たちの業務は、担当している企業との積み重ねの仕事です。いろんな意味でクライアントのことを知らないといけないですし、経営者の考え方を理解しなくてはいけません。数字だけを扱うのではなく、人との付き合いが非常に大事なんです。もちろん簿記のテクニックや技術はいるけれど、同じぐらい経営者の方や経理担当者と『この先どうしていくのか』の話を進める力も必要です。コンサルティングというと大げさではありますが、毎月の数字を見て経営のヒントを提示できればベストですよね。ただ、結果だけを見て『税法上のルールではこうなので』というだけでは、信頼が生まれないじゃないですか。会社であっても個人であってもお金のことというのは、相手のパーソナルな部分に踏み込んでいくことでもありますよね。私は『共にいい仕事をしていこう』という気持ちで意見を言わなくてはいけないと思っていますが、そのためにまずは信頼を得られないといけないですし、クライアントに対して親身になれる気持ちを持っていなくてはならないと考えています」

 

クライアントのために勉強することも仕事の一部

現在、おおぞら総合会計事務所で働く15名は、税理士補助という立場。簿記や会計の知識を持っていないと厳しい面もありますが、基本的に資格はなくても仕事の中でスキルを身に着けていけば働ける職場です。

「税理士資格を持っているのは、私と岡村税理士の2名。私は公認会計士の資格があります。税理士資格は、法人税、所得税、相続税、酒税などのたくさんある税法のうち5科目をクリアしてやっと合格。かなり難しい資格です。資格を持っている方は個人事務所を起業することも可能で、当事務所で働いていた方も2名ほど独立していきました。未経験でも問題ありませんが、まったく知識がない状況ですとご本人が辛いかもしれないので、簿記の資格は持っていたほうが働くイメージはつきやすいかもしれません。そうはいっても入社後に研修がありますし、本人のやる気次第で働いていける業務だとは思います。それに税理士は、勉強をするのも仕事の一部。税法はほぼ毎年改正されますし、特例や優遇措置など、最新の知識を更新していかないとお客様が当てはまるのか判断ができません。10月から始まったインボイス制度でいえば、2、3年前から準備を進めていましたが、それでもみなさん苦労されていますね。いろんな情報が出る度に自分で習得してクライアントに伝えられるようにしておく必要があり、努力する忍耐力は備えていてほしいです」

私たちが得られていない税法の特例や改正の情報をいち早く入手し、お客様に適切に伝えて適用していくために、会社内外での研修は定期的に開催しています。

「当事務所では税理士、公認会計士の業務遂行を支援するTKCグループに所属しており、そこで開催されている研修に定期的に参加しています。私が講師を務めることもあります。また、随時社内研修も行なっていて、日々社員同士が情報交換、知識の積み重ねをしているんです」


社員が自由に働ける会社に

200社ある取引先は、その多くが紹介。「おおぞら総合会計事務所なら安心できるよ」という信頼が地域に根付いています。

「新規のクライアントになる企業は、銀行や既存のお客様からのご紹介が多いです。各企業は、月次の試算表を銀行に提示するのですが、当事務所が作成している試算表には信頼をおいてくださっている銀行が多いという自負があります。それは一朝一夕ではありません。父が個人で税理士事務所をやっていた頃からの積み重ねです。また、同じように今一緒に働いてくれている社員がそれぞれ担当している企業と親身にお付き合いしているからこそ、ご紹介していただける企業になっているのだとも思います」

社員が気持ちよく働けるように加藤所長自らが「おやつボックス」を設置するなど、良き雰囲気作りにも力を入れています。

「決算の時期や確定申告など業務が重なる時期があるので、少しでも社員の息抜きができればと『おやつボックス』を始めました。経費ではなく、私の自腹です(笑)。意外とセレクトが難しくて、いろいろ試しているんですよ。当事務所は女性も率先して働いてくれていて、とくに小さいお子さんを持つ子育て世代も多い。行事や病気などで休みを取ることも増えると思いますが、そういう休みは遠慮せずに取っていただけるようにしています。長期定着の人が多く、現在69歳で働いてくださっている方もいらっしゃいますよ。コロナ禍には中止していた社員旅行も昨年から復活。今年は北海道に行きました。過去にはバリに行ったこともあります。一部会社負担で、あとは積立金です」

働きやすい環境を作る中で、今後の課題は事業拡大と社員の育成です。

「社員のスキルは常にアップデートしていかないといけません。そのため中堅の人材を増やしたいと思っています。資格者やベテランがやってしまえば早いのですが、それでは成長がないので、社員同士で高め合っていければいいですね。そのうえで事業所も増やしていきたいです。現在は米沢市と上山市の2か所ですが、長井市にも設置できないか検討中。実現するには税理士資格を持った人が必要になるので、同じ考えを持っていける方との出会いも期待しています」

加藤所長はじめ、社員もより質の高い仕事を目指して研鑽に努めています。その結果が200社以上のクライアントとの信頼に繋がっています。次に社員の3名にお話を伺います。

 

自分に合わせて仕事のやり方を工夫できる

—— 仕事内容を教えてください。

梅村昇平さん:2015年入社の8年目です。税理士補助業務を行なっています。私は実家が会計事務所をしており、税理士の資格を目指して入社しました。現在、4科目クリアしているので、もうひとつ取得すれば資格が取れるところまできています。

齋藤蒼太さん:2021年入社の3年目です。同じく税理士補助業務をしています。一度、建築関係に就職しましたが、コロナ禍ということもあって自宅待機が続き、転職を。税理士コースのある専門学校で学んだ簿記のおもしろさを知っていたので、こちらの会社を受けました。

伊藤奈都美さん:2020年入社の4年目です。私も税理士補助業務をしています。前職は子どもに英語を教える仕事をしていました。夕方から夜にかけての仕事だったこともあり、結婚して子どもができたことを機に転職。商業高校で簿記の資格を持っていたので、それを活かした仕事に就きました。

—— 会社の良さ、仕事の魅力を教えてください。

梅村さん:仕事の魅力はクライアントから「梅村くんが担当で良かった」と言われることです。税理士補助の仕事は、税法の元に申告書を作成しているので、本当は誰が担当しても同じはず。ですが、お客様が求めていることを把握して、感謝される行動を取れるかは自分次第だと思います。その達成感にやりがいを感じています。税法は定期的に変わるので、どれだけベテランでも勉強はし続けないといけません。私たちのミスでお客様は大きな額を損失する可能性もあります。その緊張感は常に持ちながら仕事をしています。

齋藤さん:担当先に出向いたときにちょっとした雑談をしたり、孫のようにかわいがってもらうことも多く、お客様と近い存在になれることが楽しいです。

伊藤さん:自分とお客様との予定次第で、スケジュールが組めることはかなりのメリットに感じています。子育てを経験されている方も多いので、急に休むことがあっても嫌な顔をする方がいないのも助かります。休んでしまって申し訳ない気持ちはありますが、プレッシャーに感じることはあまりないです。土日祝日は休みですし、終業時刻は17時残業の有無は仕事配分次第。自分の仕事をきちんとしていれば、調整できるのはありがたいですね。前職はひとつの教室にひとりの講師だったので、同僚と仕事をすることがほとんどありませんでした。今は悩んだり、わからないときにタイムリーに相談できる仲間がいることにも良さを感じています。

—— どういう方が向いている職業だと思いますか。

梅村さん:自分でやろうと思って行動できる人ではないでしょうか。税理士と聞くと、数字のイメージがあると思いますが、実は文系の世界でもあります。税法の本を読みこんで、それを理解しないといけません。自発的に勉強をして、積極的にアプローチできる人が向いていると思います。

齋藤さん:コミュニケーション能力は必要だと思います。わからないことを先輩に聞けるとか、お客様が話しやすい雰囲気を作ることも大事です。私の場合は、雑談するときはできるだけ素直に自分の意見を言うように心がけています。

伊藤さん:困ったことがあったときに、ひとりで抱えているとお客様にも迷惑がかかる可能性があるので、心を開く力がある人がいいと思います。訪問したときにクライアントと仕事の話題以外の引き出しがあるといいかもしれないですね。業務だけの話をしていると、言いづらいお金の話のときに話題を振りづらいんです。距離感が近ければ「こうですよね」と切り出しやすい。毎月訪問するので、フランクに話すのも大事なのかなって思います。あとはやはり数字の世界なので、誠実な人です。「これでいっか」ではなく確認を取った上での「これでよし」を判断できることが大事だと思います。

—— 今後チャレンジしたいことを教えてください。

梅村さん:税理士資格取得に向けて、頑張っていきたいです。取得後は、さらに責任のある仕事にも取り組んでいければと思っています。

齋藤さん:今は先輩を頼ることも多く、最後まで1人でやりきれない部分もあるので、しっかりと自分で決算を組み、ひと通りの流れをクリアしていきたいです。ひとつひとつ段階的にやっていけたらと思います。

伊藤さん:1人で任せていただけることも増えたのですが、決算を組んだときに先輩にチェックを回すと、おびただしい量の確認用付箋が貼られて返ってくることがあるので、その枚数を少しでも減らしていけるようになるのが目標です。

 

クライアントに対して質の高い提案、業務ができるように、社員は最善を心がけて仕事をしています。経済社会の変化は著しく、税理士に対してクライアントが望むサービスへの期待も多岐に渡るそう。その要望に対して「共に良くしていきたい」という適度な緊張感の中で努力をすることがやりがいにも繋がっていきます。相手を思い、縁の下の力持ちとして行動したいという人に向いている職業だと思います。

取材・文_中山夏美