地域の未来のために、変化と挑戦をいとわない
ナウエルを語るときにまず欠かせないのが、地域の人々の暮らしを第一に考える地域志向のスタイル。酒井 登代表取締役は、過去のいくつかのターニングポイントを振り返りながら、自社を「地域のために変化し続けることを財産と捉えて、挑戦し続けてきた会社」だと紐解きます。
「創始創業から一貫して、地域とそこに住む人々の暮らしの困りごとに寄り添う事業を展開してきました。創業時は戦後間もなくの物資の少ない時代に食の豊かさを提供したいという思いから出発して、大豆の調達が困難な状況下に化学製造した醤油を食卓に届けたり、長期間の保存がきく缶詰の販売をしたりと、世相を捉えた事業を行っていました。こうした事業は、暮らしの需要の変化とともに、仕出しや飲食業など、暮らしに彩りを添える事業へと転換していきました。常に“何が可能か”を考え、地域への提供価値を柔軟に変化させてきた歴史があります。」
「1980年に始めた冠婚葬祭互助会事業も、 新規事業ではあるものの、“地域のため”という揺らぎない想いから始まったものです。そもそも冠婚葬祭互助という事業の起こりは会場や衣装など、限られた物資を補助し合うという暮らしのニーズに応えるもので、『人の暮らし』にフォーカスする創業理念と大きく通じるものがありました。ナウエルが互助会を始めた当時は需要増大の只中で、多くの方が会員になってくださったことで、会費から様々な設備を拡充させて地域への提供価値を高めてきました。」
酒井社長がこう語るように、ナウエルは置賜地域の冠婚葬祭にかかるセレモニーを一手に担う企業となって現在に至りますが、コロナというターニングポイントを迎えたことで、新たな挑戦が始まりました。
コロナを契機に、地域との関わり方を“点”から“線”へと拡大
コロナによる人々のライフスタイルの変容は、ナウエルにとっても大きな転換期となります。大人数の集会が自粛される期間が続いた結果、大規模なセレモニー開催の需要は減少し、セレモニーのデザインや在り方について再検討が進められました。一方で少子高齢化が進む中、介護や遺品整理・遺産相続などへの支援は拡大し、ICT化のメリットをウィズコロナ・アフターコロナの社会全体で享受するサービスも需要拡大しています。こうした変化に対応すべく、ナウエルも大きな変革を進めています。
「我々の強みは、これまで冠婚葬祭というライフイベントをサポートすることで、地域の方々と人生の節目で繋がってきた事です。この“点”の関わりを、“線”へと広げることで、人々の人生における様々なシーンにより一層寄り添ったサービスを提供する事が今後の目標です。例えば冠婚葬祭の当日だけではなく、その前後の人生のニーズやお困りごとにも関わるサービスを、と考えています。」と酒井代表。
コロナ拡大後すぐに、訪問介護サービスや、遺品整理や遺産相続などのアフターケア事業など、暮らしに密着したサポートをスタート。また、移住者促進のためのwebサイト「オキタマズカン」の立ち上げや、地域でeスポーツ人口を増やす仕掛けづくり、さらには他社のサービス業の施設に人材を派遣してパフォーマンスを向上させる取組みなども、豊かなまちづくりに貢献する新たな事業です。
“競争”ではなく“共創”、“自社のため”ではなく“地域のため”に
コロナの中での事業を経験した結果、ナウエルでは、新たなコーポレートミッション、さらにはビジョン・ストーリーを作成しました。これまで地域の方々に支えられてきたことに改めて感謝しつつ、どのような企業価値を今後提供ができるのか、社内で議論を重ねました。
新たなコーポレートミッションは、『「らしさ」を見つめ、人とつながり、人をつなげる』。
これについて酒井社長は、「地域企業として、地域の皆様に支えてこられた我々だからこそ、今後は地域の特色にしっかりと寄り添いながら、企業という枠に捉われずに“人”を主体として地域を愛し支えていこう、という決意を新たにしたものです。」と強調します。
また、2022年4月に新たに掲げたバックキャスティング型の自社ビジョンは、地域の豊かさを第一に設定。将来、置賜地方の1人ひとりが自分らしい「役割」と「生きがい」を持ち、健康長寿をまっとうする多世代が豊かに交流する人と人のつながりを大切にした“心ときめく地域社会”を実現することをビジョンとし、そのために、ナウエルがソフト・ハードあらゆる形で貢献している、というストーリーです。この新たなビジョン・ストーリーの実現のために、ナウエルは地域応援という視点をますます強化しています。
置賜地域全体のICT化から、豊かな地域社会形成を目指す
ナウエルのビジョン実現のための大きな柱のひとつは、置賜地域全体のICTリテラシーを高めて地域全体の発信力を向上させること。自社内でもIT化に取り組み、主に総務管理のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)のために常に34~36台のロボットを稼働させていますが、今後特に注力していきたいのは、移住者に対するサポートです。
そのひとつが、置賜地域全体の求人や地域の暮らし情報をまとめたサイト「オキタマズカン」のローンチ。もうひとつが、デジタルマーケティングを通じてSNS世代にもリーチする地域情報の発信です。
「これまではチラシやホームページ、テレビCMなどで自社の商業的な発信を行ってきましたが、それではもう全世代にリーチできないという思いもあります。これからは商業的なPRだけでなく、まち全体をPRすることで、移住者の促進やまちの人に対するシビックプライドの醸成を行いたいというのが狙いです。地域の魅力を発信する内容の方が、特に移住を考える若年層に届きやすいので、まずはSNSを通して、地域としての発信力を高めていきたいと考えています。」と、酒井代表。
SNS発信を管理する白土さん
行政と企業の距離が近く、社会に迅速に大きなインパクトを与えられるのが地域企業の魅力
「社会にインパクトを与えるような仕事というと、都市部の大企業にしか出来ないと思われがちですが、地域に対する思いがあれば、地域企業でも大きなインパクトをもたらすことができます。」と酒井社長が語るように、地域企業は、都会よりも行政や住民との距離が格段に近く、事業を通じた社会へのインパクトを直に感じられるのが魅力です。地域を愛し、地域に支えられてきた企業だからこそ持てるビジョン、ミッションがあり、スピーディに行政と連携しながら社会的インパクトを狙うことができるのが、ナウエルの強みです。募集職種のデジタルマーケターにも、企業の枠に捉われず、様々なプレイヤーと共創し、積極的に地域の魅力を発信することで、一緒に置賜地方を盛り上げてくれる人を求めています。
募集職種「デジタルマーケター」の魅力と、やりがい
募集職種であるデジタルマーケターには、ナウエルが運営するSNSのアカウントで、自社サービス情報の発信だけではなく地域の魅力的な場所や人、モノ、コミュニティなどの情報をいきいきと発信してくれる人を求めています。
社長室の白土 夏実さんは、同業務を開始するに至った経緯をこう振り返ります。
「当初、事業の中でも特にブライダル情報に特化した情報を発信するアカウントはあったのですが、自社のサービス情報しか発信できておらず、ユーザーにささる情報を発信できていませんでした。でも、ナウエルの強みは地域に密着していて認知度が高いこと。そこで、まずは見ていただく機会を増やそうと、広まりやすくてバズりやすい、地域の魅力あるコンテンツを発信する試みを始めました。私自身外に出て何かを体験したり、食べることが好きだった事もあり、カフェ情報やイベント情報などユーザーがキャッチしやすい情報を発信し始めると、わずか2か月でアカウントのフォロワー数が2.5倍に増えたんです。“いいね”などのユーザーからのエンゲージメント率も向上しました。」
「婚礼情報の発信も継続はしていきますが、コロナ後、結婚式を挙げる方は減少しています。結婚式は非日常の点なので、まずは日常の点を発信することで、置賜地方の魅力を知ってもらい消費を促すような発信をと考えています。最近では、挙式場所を置賜でなく別の地域にされる方も多いようですが、地元で結婚式をすることで地域の歴史や魅力を再発見したり、参列者の方にも地域の魅力を知ってもらったりできるよう、地域全体の魅力をSNSで発信していきたいと思っています。」と話す白土さん。
これから、さらにチャレンジしたいこと
白土さんは今後、置賜の魅力あふれるモノや人の情報発信だけではなく、そうした人とSNSユーザーとを繋げて、体験を共有できるような仕掛けを作りたい、と話します。
「私が人生で大切にしている価値観のひとつに、一期一会という言葉があります。私自身人が好きですし、外に出向くことが大好き。コミュニケーションを取ることで、自分の考えが変わることに価値を感じます。生きていくために必要な人とのコミュニケーションをたのしく取れたらと、出会う方1人1人や、お店、企業を大切にしています。こうした出会いを広く共有できるSNSはとても重要ですし、Z世代にとってスマホは自分の一部。付き合い方を間違えなければ、自分の事も認知していただけるし、より多くの方と繋がれると思います。こうした体験の共有を、オンライン上でもリアルな場面でも、もっと増やしていけたらと思っています。」
打合せに出かける白土さん。オフィスの外の仕事も多い
地域との関わり方を冠婚葬祭だけに限定せずどんどん拡大させようとしているナウエルは、地域全体の魅力を捉えて発信してくれる感度の高い人、人と関わる事が好きな人を求めています。また、UターンやIターンなどの移住者促進のための情報サイト「オキタマズカン」の製作にも関わっていける職種です。情報発信のスキルに自信がある方、そしてなによりも、多様なプレイヤーと共創するダイナミックなまちづくりに携わりたいという方は、ぜひチェックしてください。
取材・文_伊藤さやか