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現場で働くすべての人たちへ、敬意とエールを。

有限会社 大七 / WORK BASE(ワークベース)販売員

インタビュー記事

更新日 : 2024年04月02日

 

 

有限会社 大七 事業概要

一関工業団地の国道284号線沿いに面した道を走っていくと、左手に見えてくるグレーの建物。ここが、有限会社大七が運営する「WORKBASE」です。

店内へ入ってみると、目の前にずらりと並ぶのは工具や作業用品の数々。WORKBASEは、現場や工場で働く人や、農作業をする人向けの作業服や作業用品を取り扱う専門店です。市内で唯一取り扱っているチェーンソーブランド「STIHL(スチール)」の製品や、作業用の安全靴、作業着などが並んでいます。

 

なんと言っても驚くのは、品数の多さ。作業服一つとっても、機能性の高いものからカジュアルでオシャレなものまで豊富に取り揃えているのがわかります。商品を眺めているだけで楽しく、自分好みのものに出会えそうな期待を感じます。

店内を見て回ると、いたるところにPOPを見つけました。「サイズや色などご相談ください!」「お取り寄せもできます」など、一人で買い物に来ても欲しいものにきっかけが施されていて、お客様に安心して買い物をしてほしいという気持ちが伝わってきます。

 

WORKBASEの店舗は2015年にオープンしました。運営元の有限会社大七は昭和47年創業で、歴史のある企業です。はじめはトイレットペーパーや洗剤などの生活雑貨を卸売する問屋さんだったそう。その後、作業用手袋、長靴を取り扱いするようになり、現在のように作業服や安全靴なども取り扱いするようになりました。時代の変化に合わせてお客様のニーズをキャッチし、姿を変えてきたのです。

 

2000年代半ば頃からオンラインでの販売に力を入れてきましたが、商品に対するお客さんのリアルな声を聞きたいという思いから、2015年に実店舗をオープンしました。

店内を見ていると、女性のお客さんが一人入ってきます。「帽子を探しているんだけど、あるかしら」という声に「農作業用ですか?」と優しく尋ねて対応したのが、このお店の店長である中村浩二さんです。

浩二さんは一関市出身。大学進学を機に地元を出た後、東京でアパレル業界に入り経験を積みました。「当時は東京の荒波に揉まれましたね」と浩二さんは笑います。

2011年に地元である一関に戻り、お父様が社長だった頃に卸業の仕事を手伝うようになりました。その後、そのまま長く仕事を続けることに。2015年の実店舗オープンに向けて立ち上げから関わっていた浩二さんは、店長を任されました。

 

「畑違いではありますが、作業着や靴といった衣料品も取り扱うことから、アパレルの経験を活かせたらと思ったんです」

 

やっていくうちに「やりがいのある仕事だ」と感じ、現在に至るまで現場に立ってお店のことを最前線で考え続けています。

現場作業や工場作業向けの作業服、関連用品を販売している店舗と聞いて思い出すのは、大手専門店やホームセンター。そんな中で、WORKBASEだからこその強みとは何かを聞きました。

 

「同じ作業着でも、こだわりのあるものや、身につけていてかっこいいと思える商品を提供できる点で、お客様に喜んでいただいていると感じています」

 

店内にある作業着の品揃えをよく見てみると、デニム生地のものや、シンプルなものなど、良い意味で作業着っぽくないものを幅広く取り揃えています。

また、足先に重いものを落としても防護できるような設計になっている作業用の安全靴のコーナーでは、asicsやPUMA、converseのALL STARやNEWBALANCEなど、人気スニーカーブランドから出ている商品も展開しています。

 

既存の作業衣料品のイメージとはまた違って、おしゃれさと機能性を兼ね備えた商品のバリエーションが豊かであることがわかります。

 

「お客さんの中には『今までネットで買っていたものがここで売っている』と喜んでくださる方もいます。人とは違うものを選びたいという方に提案できる商品が多いのが、うちの強みだと思います」

 

今はインターネットでいつでも気軽に購入できる時代ですが、画面上だとどうしてもサイズや質感がわからない部分があり躊躇することもありますよね。それを実際に手に取ってみることができるのも、実店舗だからこそ提供できる価値です。

また、オンラインではできないリアルな体験を楽しめる店舗にしていきたいという思いから、世界で販売台数トップを誇るチェーンソーブランド「STIHL(スティール)」の製品の取り扱いを始めました。チェーンソーをはじめ、芝刈り機や高圧洗浄機など、一般の家庭で使えて作業負担を軽減できる製品を取り揃えています。

販売の際にはエンジンをかけるところまで実演付きで説明することが必須となっているため、お客さんと一緒に動作を確認します。それに合わせて実演用の小屋もつくったそう。林業関係者や土地を持っていて整備したい人などが商品を購入しているそうです。

 

昨年から店舗スタッフとして入社した金野億(すすむ)さんは、新しいことを学ぶ楽しさについて話してくれました。

 

「初めは研修に通いながら販売方法や使用方法について学びました。最初はやらなきゃいけないと思ってやっていたことが、やっているうちにわかってくると面白いんですよね。こういった機械に詳しいお客様もいるので、逆に教えてもらうこともあります。日々勉強です」

 

お客様がより快適に、そして安全に過ごせるように商品を提案するWORKBASE。店長の浩二さんに、お店に立つ上で大事にしていることを聞きました。

 

「一番大事にしているのはヒアリングですね。何を求めているのかを丁寧に聞くことで最適な提案ができると思っています。もちろんかっこよくて安いものがいいとは思うのですが、価格やデザイン、機能性など、何を優先しているのかお聞きしながら、商品を提案しています」

 

例えばカッパ一つ購入するにしても、防水性はもちろんのこと、「軽くて持ち歩きやすいものがいい」とか、「さっと羽織れるウィンドブレーカーのようなものがいい」とか、ニーズは様々。お店にないものでも、できる限りお取り寄せして対応するようにしているそうです。

どんなお客様がいらっしゃるのか聞いたところ、お店には、地元の方はもちろん、市外、県外の方もいらっしゃるようです。

「一つの現場に複数の会社が入ることがあるので、一緒になった市内の工務店さんに聞いて来てくれる県外、関東の方も多いです。Instagramの発信を見て来る若い方もいますね」

 

現場で働く家族へのプレゼントを探しに来たお客さんの相談に乗ることもあるそうです。

「現場作業をしている方が、『納得のいくかっこいいものを選ぶならここで買うのが間違いない』と思えるようなお店でありたいですね。そして、動きやすい服や防寒着などもカジュアルに着れるものをセレクトしているので、プライベートでも着れるようなものを探している方にも頼ってもらえるお店になりたいです」

 

有限会社大七のWEBサイトに掲載された言葉があります。

「あらゆる現場(シーン)で働く人たちに、安全性・作業性・機能性を基本とした快適なワーキングスタイルを提供いたします」

商品の品揃えを見るだけでも、仕事に誇りを持って現場で働く人たちへのリスペクトと、少しでも快適に、安全に仕事に集中できるように応援したいという気持ちが感じられます。

 

仕事で使う大事な作業着や作業用品だからこそ、こだわりのものを選びたい方へ。ぜひ一度訪れてみてください。

 

(取材:佐藤文香)