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先人たちから受け継がれる「つながり」 地域の未来を創出する総合建設会社

株式会社佐々木組 / 建築工事施工管理技術者

インタビュー記事

更新日 : 2024年03月04日

国道4号線沿いに高くそびえ立つ、ガラス張りの建造物。このビルの中に、株式会社佐々木組は社屋を構えます。

株式会社佐々木組 事業概要

佐々木組の始まりは、元号がまだ天保の時代である1842年。

佐々木万之丞氏によって、一関市で産声を上げました。

 

創業当時は宮大工として事業を行い、明治期以降、建築業を本格的に展開。

1898年には同年に開校した一関中学校(現一関第一高等学校)寄宿舎の施工など、さまざまな建造物の工事を手掛けていきます。

 

「佐々木組」と名乗るようになった昭和期以降は、事業の規模をさらに拡大。

地域に密着した総合建設会社として街づくりをけん引すると、1940代後半に起こったカスリン台風、アイオン台風の2度の水害では、創業時から培われてきた技術力を生かし、災害復興に大きく貢献しました。

 

また、1956年には現在の「株式会社佐々木組」が発足し、1970年代の高度経済成長期におけるインフラ整備でも貴重な役割を発揮。

大規模工事を次々と手掛けると、1980年には現社屋が落成。ますます会社としての発展を遂げていきます。

 

1997年には建築部門で国際規格ISO9001の認証を東北の地元ゼネコンで初めて取得、翌1998年には土木・舗装部門でもISO9001の認証を取得するなど、品質管理における体制も強化。

その後も2011年の東日本大震災とはじめとする多くの自然災害において復興の一翼を担うなど、平成から令和にかけては東日本全域に事業エリアを拡大し、老舗の総合建設会社としての確固たる地位とブランドを築き上げていきました。

激動の歴史を地域と共に歩んできた佐々木組。

2017年に就任した佐々木一徳代表取締役社長は、創業以来、脈々と受け継がれてきたDNAが社内に流れていると言います。

それは、人と人との「つながり」です。

 

「我々の仕事は、自社の社員だけで成り立つものではありません。さまざまな協力会社の皆様からお力を借りながら、一つの大きなものを作り上げていく。そして、それらを社会に提供することで初めて、地域のお役に立つことができるのだと思っています。佐々木組は、地域の人たちに育てられた会社です。人と人とのつながりを大事しながら、皆様からいただいた恩をお返ししていく。それが、社会に貢献するうえで一番必要なことだと考えています」

 

佐々木組では、「豊かな生活・環境づくり」「新しい時代文化の創造」「自立心と総合力の発揮」の3つを経営理念に掲げています。

そこに加えて、社訓として並べているのが「誠意」「熱情」「遵責」の3つの言葉。

 

まずは誠意を持って行動することで世の中からの信用を得る。次に熱情を持って何事にもあたることで、精神力が強くなり理性と知恵が生まれる。そして、責任を持ち、基本に忠実となって職務を遂行することで、自己の幸福も勝ち得る。

年月の経過とともに取り巻く環境も変化していく中、いかなる時でも真摯に仕事と向き合い、懸命に汗を流して働くことで、お客様と社員がともに幸せに暮らせる社会を創出していこうという思いが、そこには込められています。

 

 

「当社は長い歴史の間、自然災害をはじめいろいろな状況に直面してきましたが、これまで手掛けてきたどんな事業も、全てはお客様との信頼関係のうえで成り立ってきたものです。現在は東日本全域を事業エリアとしていますが、どこに行ってもモットーになるのは『信頼』です。先人の方々が構築してきた関係性を失わないためにも、常にお客様から信頼していただけるような仕事をしていこうと、社内の全員が心掛けています」

 

そんな佐々木社長ですが、会社経営を継ぐ以前は海外で様々な経験を積んでいたとのこと。

相手を思いやる心を持って、誠心誠意、全力で仕事にまい進する。そのポリシーの裏には、その当時学んだある教訓が生かされています。

 

「数年前に亡くなられましたが、天台宗ハワイ別院に荒了寛さんという住職がいました。私の人生における師匠でもあり、この方からはいろいろなことを教わりましたね。その中で特に覚えていることがあって、ある日、住職から『池を掃除しろ』と言われ、頑張って掃除をし終えたら、スコールが降ってきたことがありました。でも私は面倒くさがってそのままにしていたら、住職に『これで本当に掃除をしたのか?』と言われてしまったんです。そこで、スポンジをかき集めて池にずらっと敷き並べて、泥水を隅から隅まで吸い取って全部きれいにしてみせると、住職から『仕事というのはこういうものなんだぞ』と告げられました。つまり住職は何が言いたかったというと、仕事は自己満足で終わらせては絶対にいけないということです。中途半端に片付けることなく、妥協せず最後まで真剣に向き合う。そして相手に満足してもらうことで初めて、仕事というものが成り立つのだということを住職からは教えてもらいました」

 

 

佐々木社長は建設業を「人が人を呼ぶ仕事」と表現します。

これまで数々の大規模な建設工事を施工してきた佐々木組ですが、工事がうまくいっただけでは、本当の意味での成功とは言えません。

最後まで相手に寄り添いながら、お客様に心の底から満足していただく。そして「また佐々木組に仕事を頼みたい」と思っていただけることが、新たな顧客の獲得、ひいては会社の発展につながっていくのだと考えています。

 

「人の豊かさを奏でる街づくり」をテーマに、180年以上もの長い間、地域の建設業をリードしてきた佐々木組。

ここから先は「200年企業」という壮大な未来に向かい、新たな挑戦の道を歩みます。

さらなる高みを目指すうえで「攻めの姿勢が大事」と熱弁をふるう佐々木社長。

 

「今があるのは、先人の方々が礎を築いてくださったおかげです。しかし、その歴史の重みにあぐらをかいてはいけません。時代に合った形で進化を続けなければ、これからもお客様からの満足は得られないと思っています」

建設業は一般的な仕事とは違い、協力会社の数、工事額など、スケールが壮大なものがほとんど。

だからこそ、仕事を終えたときに得られる達成感と喜びは、とてつもなく大きなものがあります。

 

「佐々木組に入社される若い方は、もともと工業系の高校や大学で基礎を学んできている人が大半ですので、入社後にいろいろな話をすると、『私はこういうものを作ってみたいんです!』といった大きな夢を一人一人が持っています。そうした一人一人の夢を実現させてあげることが、我々の役目でもあります」

 

人口減少における地方の衰退や、資材費の高騰など、近年は暗いニュースが飛び交いがちな建設業界。

 

だからこそ、どんな困難にも立ち向かい、一緒に感動を共有できる若い仲間を、佐々木組では心待ちにしています。

 

「何度も言う通り、この仕事は一人でこなせるものではありません。まずは先輩からいろいろなことを教わり、そこから協力会社をはじめたくさんの人たちと力を合わせながら、巨大なチームとなって一つのゴールに突き進んでいく。そこには当然、大変なことや苦しいことも待ち受けていますが、その分、得られる喜びは何物にも代えがたいものがあります。建設業界で働くことの素晴らしさを次世代につなげる、それも私たちに託された使命なのかもしれないですね」

最後にそう力強く、熱のこもった言葉を届けてくれた佐々木社長。

1842年の創業以来、脈々と受け継がれてきたDNA。

これからも佐々木組は、人と人とのつながりを大事にしながら、地域の明るい未来を創出していきます。

 

 

(取材:郷内和軌)