WORK イワイの仕事 WORK イワイの仕事

少人数保育で子どもたちと向き合う時間を大切に

保育園ゆいま〜る / 保育士

インタビュー記事

更新日 : 2024年11月07日

_

保育園ゆいま〜る 事業概要

JR一ノ関駅から、車で10分ほど。

住宅街を進んでいくと、保育園ゆいま〜るの園舎が見えてきます。

一見すると、ごく普通の民家に見える建物。

敷地の目の前には田んぼが広がっており、のどかな雰囲気の場所にある保育園です。

扉を開けると、子どもたちの元気な声や、楽器の音が聞こえてきます。

室内にはあたたかな光が差し込み、子どもたちが作った制作物が壁に貼られているのを見ると、頬が緩みます。

まるでお家にいるかのような、心落ち着ける空間です。

「2017年に保育園を立ち上げてから、忙しくも楽しい毎日です」

そう話すのは、保育園ゆいま〜るの園長の加藤知英さん。

園長の加藤さんは、家庭的保育園と子ども食堂「ゆいま〜るキッチン」の運営の2事業を行っています。

家庭的保育園とは、家庭にいるような雰囲気の中で、子ども一人一人の体調や生活リズム、発育状況や興味関心に応じたきめ細かな対応ができることが特徴です。

ゆいま〜るでは、子ども5名に対して保育者2名以上で対応し、子ども一人一人に寄り添った保育を行っています。

0〜2歳児を受け入れており、異なる年齢のお子さん同士で兄弟姉妹のように一緒に成長していく保育園です。

園長の加藤さんは、中学生の時に経験した保育園でのボランティア活動が原点だと話します。

「当時、子どもたちに『お兄ちゃん、遊ぼうよ』と言ってもらえたのが、たまらなく嬉しくて、一生懸命遊びました。この子たちにとっては、自分は必要とされているんだなって、そのとき強く感じたんです」

その経験を通じて、「子どもたちのために何か自分にできることをしたい」と考えた加藤さん。その後も保育園でボランティアをしながら、子どもと接する中で保育の技術を学んでいきました。

「当時、私は周りに自分の思いをうまく伝えられないことで悩んでいたので、人との関わり方にこんなに手法があるんだというのに驚いたんです」

「例えば、声のトーンを変えたり、ボディランゲージをしたりと、子どもへの伝え方にも言葉だけではない様々な工夫や技術があることを保育士さんから教わりましたね」

「園名の『ゆいま〜る』は、沖縄の方言の『結ぶ』という言葉から考えました」

「地域に暮らす人とのつながりや助け合いを大切にし、子どもたちをはじめ、子育てに携わる全ての人たちの拠りどころとなる温かい居場所になるようにと願いを込めています」

 

ゆいま〜るは、「すべては子どものために」という理念を掲げています。

これには二つのメッセージがあります。

一つは子どもに全力で向き合おうという決意。

もう一つは、大人や社会に対してのメッセージです。

「『子ども』の世界は、保護者や地域の方など、周囲の大人たちが創っています。だからこそ、その大人たちも幸せでないと、子どもの幸せは実現しません」

「それは、職員の子どもに対しても同じです。うちの園では、職員の子どもや家族が体調が悪い時は、全職員で協力し合い、なるべくその職員がすぐに休めるようにしているんです。保育士という仕事は交代できても、家族の替えは効かないですからね。子どもや家族とのかけがえのない時間を大切にしてほしいと思っています」

ゆいま〜るには、三つの保育のこだわりがあります。

一つ目は、少人数制の丁寧な保育です。

「定員5名以下の少人数の保育施設なので、保育士が子ども一人一人に合わせて丁寧な保育を行なっています」

「子どもたちが「自分は大切にされている」と思える体験を積み重ねていけるように、各ご家庭や地域の方々と一緒になり、手の行き届いた保育を目指しています」

二つ目は、毎日の「おいしいね」を大切にした食育。

「子どもたちのご飯は、和食を中心に、こだわりの調味料と地場産の旬の食材をたくさん使っています。薄味を基本にし、素材そのものの味に慣れ親しんでもらい、豊かな味覚を育んでいけるよう努力しています」

「他にも、食育の一環として、毎月の食育メニューの日にはお子さん一人一人が調理前の食材に触れてみるという体験も行っています」

 

三つ目の特徴は、自然とのふれあいです。

「各園の周りには豊かな自然環境があります。その環境を活かし、たくさんの自然にふれあえる季節の行事や遊びを計画しています」

「例えば、落ち葉や花、風の音、草のにおい、土の感触など自然の中にあるもの全てが子ども達にとっては遊び道具になるんです。季節を感じながら、一つひとつの自然との出会いを大切に、自然との触れ合いをみんなで楽しみながら学んでいます」

 

次にお話を聞いたのは、2園の主任を務める佐々木千恵子さん。

佐々木さんは、お子さんやお家の方と近い距離で関われる家庭的保育に魅力を感じ、第2園が立ち上がるタイミングで、オープニングスタッフとして携わり始めました。

「0歳〜3歳までのここで過ごす時間が、心も体も含め、人間としての土台を育てる大切な時期です。だからこそ、お子さん一人一人の個性や発達に合わせてゆったり保育ができる家庭的保育園は、とても魅力的だと思います。ここでは毎日、保育者と子ども達がじっくり関わることができ、まるで家庭で過ごしているかのような温かい時間が流れます」

「毎日時間をかけて一人一人のお子さんと濃密に関わることができるので、今までゆいま〜るで出会った子ども達との思い出はどれも鮮明で印象深いものばかりです。保育士として働いている素敵なご褒美のようなものですね」

 

続いて、奥州市江刺にある第3園で主任を務める髙橋美恵子さん。

髙橋さんは、未知の世界である家庭的保育に挑戦してみたいと思い、ゆいま〜るで働くことを決めました。

「家庭的保育は5人という少ない人数なので、一人ひとりのペースに合わせてじっくり向き合えるんですよね。そこが良さだと思います」

「例えば、散歩に出かけて、一人しゃがみ込んでアリを見始めた子がいても、その子の時間に向き合うことができます。そんな時、子ども一人ひとりのその瞬間の思いに寄り添えているなと感じています」

0〜2歳児は、人間としての土台が形成される時期。

愛情をたっぷり注がれた子どもは、自己肯定感が高まり、心の安定にもつながります。

「だからこそ、子どもたちにいっぱい愛情を注ぎたいし、安心できる場でありたい。第2のお家だと思ってもらえたら嬉しいです」

 

ゆいま〜るにどんな人が向いているか、加藤さんに聞いてみました。

「一番大事なのは、子どもが好きかどうかですね。園の職員は『この子のために何ができるか』をいつもとことん話し合います。子どもが好きでないと、そういう話はできないと思います」

園の面接では得意なことを聞くことが多いと言います。

「先生、何が得意ですか?って聞きますね。子どもも大人も苦手なものはあるんです。だったら、得意なものを教えたほうが楽しく仕事ができると思うんです。お互いが得意なことを組み合わせれば、社会は成り立ちますから」

最後に、加藤さんはゆいま〜るのあり方について、次のように語ります。

「保護者さんにとって、一緒に悩んで、一緒に歩んでいける存在でありたい。子育てに関することなど、気軽に相談できる場になればいいなと思っています」

 

「すべては、子どものために」

そして、その子どもを育てる保護者の方や地域のために。

保育園ゆいま〜るは、これからも寄り添い続けます。