「もったいない」モノをより良く

古道具と雑貨の店 YOLISUL

奥州市江刺、白い外壁の蔵が点在する蔵町モール。

その中で、オレンジ色の入り口がひときわ目を引きます。

 

YOLISUL(ヨリスル)は、古道具とテイクアウトコーヒーの店「FUCHI」と、雑貨と花の店「ya.」の2つが入っている建物の名前です。

 

中に入ると蔵を改装しただけあって、かなり広々した空間。

昔おばあちゃん家にあったな・・と思うようなタンスや机、ちょっと変わったインテリア、調味料なども並べられ、どこから見始めようかと迷ってしまいます。

 

「もともとリサイクル屋がすごい好きで。昔から部屋に置くものも古いモノを選んでいました」

そう話すのは、FUCHIの店主の久保友佳さん。

奥州市のご出身で、高校卒業後から10年間は、県内や東京都内の古着屋で働いていました。

何か新しいことを始めたいと思っていたところ、知人のお店のリノベーションを手伝ったご縁で古道具が集まり、2016年より奥州市内で古道具の店「FUCHI」をはじめます。

 

「普通の古道具屋さんは骨董市などで商品を仕入れるんだと思いますが、FUCHIでは解体現場で誰も引き取り手のないものを商品として仕入れています」

そうした仕入れ方法のため、他の古道具屋より安く出せるのだという久保さん。

建物の解体の情報は地域の人とのご縁で、よく紹介してもらっているそう。

 

何が出てくるかわからない解体現場。持っていくものをどう選んでいるのだろう。

「自分の感覚で持ってきてますね。あ、可愛いなと思ったら持ってくる」

「逆に、今までの経験からこれは高いなっていうのは教えちゃいますね。欲しい人がいるので。例えば、戦争関連のものは平和ミュージアムに持っていったほうがいいよとか」

ある人にとってが価値あるものは紹介して、それでも残ったものを仕入れているという。

FUCHIさんの古道具は値段もお手頃なものが多い。

「値段が高いお店よりも、500円の掘り出し物がある!みたいな感じのほうが好きなんです。自分がこれぐらいの値段だったらほしいかなっていう金額にしてますし。マーケットや蚤の市みたいな感覚で見に来てもらえたら良いですね」

 

 

「私は人の手が加わっているものが好きなんです」

そう話すのは、お隣“ya.”の店主の吉田愛さん。

吉田さんは盛岡市出身。服飾の専門学校を卒業後、盛岡のアパレル店や、県外のインテリア雑貨店で働いた後、2017年に盛岡で最初のya.をオープン。その後、YOLISUL内にもya.の2店舗目を構えた。

ya.にはアフリカの国々のフェアトレード品が多く並ぶ。手作りのカゴやガラス製品は、自分なりに何に使うかを考えるのも楽しい。

「ya.の商品ではフェアトレードのカゴやザルが人気です。他の商品も機械的に作ったものじゃなくて、ちょっと手が加わった、温かみのあるものを集めています」

「基本的に自分が欲しいもの、使っていて良かったものを仕入れています。定番で使えるもの、長く使えて、使っていくうちに味が出てくるものが多いですね」

 

ya.の雑貨も、FUCHIの古道具も、それぞれ誰かの手が加わっているからか、なんだか暖かい雰囲気。

もともと前職の古着屋で同僚だったふたり。

たまたま移転のタイミングが重なり、一緒にやっちゃうか!という軽い気持ちで、この場所で二人それぞれのお店をはじめたそう。

店名の「YOLISUL」には、「より良くなる、より良くする」という意味が込められている。

「もともとあるものを、私たちが手を加えて“より良く”して販売する、みたいなイメージです」

 

最近では店舗の内装をリニューアルして、FUCHIではテイクアウトコーヒーを、ya.ではお花の取り扱いを、それぞれ始めている。

 

やりたいことを全力で楽しんでいる、という雰囲気のふたり。                   

それぞれ好きな店をオープンしたものの、この先のことは、まだ何も分からないという。

 

「ここ最近、古道具の価値が上がってきているので、“古道具=かっこいい”みたいな認識が一般的になったら、もう古道具屋を辞めて、違うのをやりたいなと思っています(笑)」

「もったいない精神でやっているので、捨てる人がいなくなったら、その時はもういいかな。だから常に、次に何やろうかな、は考えてます」

 

「私もずっとこのya.をやろうっていうのはなくて、先々でその時、興味出たのがあれば、そっちに行くかもしれない。今は好きだから、とりあえず花もやるし、雑貨もやるという感じですけど、次はまだ分からないですね」

 

それぞれの好きなものをストレートに表現するYOLISUL。

これからもふたりの興味のある方へと向かっていく。

 

 

 

名称 YOLISUL(FUCHI / ya.)
住所 岩手県奥州市江刺川原町3-9
電話番号 0197-34-0388
営業時間 11:00〜17:00
定休日 月曜日・火曜日・第3日曜日
駐車場 有 (蔵町モール市営駐車場)
Instagram(ya.) https://www.instagram.com/ya.yolisul
Instagram(FUCHI) https://www.instagram.com/yolisul.fuchi