築150年の古民家を再生した、人が行き交う場づくり

 

宮城と岩手にまたがる栗駒山の麓、栗原市栗駒地区にある六日町通り商店街。

もともと城下町だったこの街は、昔ながらのお店はもちろん、新しいお店も立ち並ぶ、今と昔が混在する商店街です。

おもしろい街だなぁと思いながら商店街を歩くと、趣のある建物を発見。

「Cafeかいめんこや」というお店です。

ノスタルジックな店構え。

入口にある古道具がさらに興味をそそります。

 

店内に入ってみると、穏やかなボサノバ調のBGMとともに、使い込まれたアンティーク家具の数々に心奪われます。

まるでタイムスリップした感覚。

ここだけ時が止まっているような、不思議な気持ちになります。

学校椅子や味のあるランプなど、それぞれに存在感があります。

開店祝いにもらったという古時計。店内の雰囲気とマッチしています。

 

「築150年を超えた歴史ある建物で、もともとここは薬屋さんでした。」

そう話すのは、店主の杉浦風ノ介さん。

六日町通り商店街を盛り上げるキーパーソンです。

古道具が好きな杉浦さん。全国をバイクで旅しながら陶芸家のもとを巡られたこともあるのだとか。

 

生まれは京都府、育ちは東京都と神奈川県。

青森県の大学を卒業後、バイクで日本各地を巡り、

その後京都で僧侶になるという、異色の経歴の持ち主です。

 

宮城県に訪れたのは、26歳のとき。

古民家を改修して出来た『風の沢ミュージアム』の立ち上げに携わり、その間に地元の方とのつながりも増えていきました。

 

のちに六日町通り商店街のことを知った杉浦さんは、人通りの少ない商店街に人が集う場をつくりたいと思うようになります。

 

「商店街全体を面白くしたいと思ったんです。

そのためにはまず人が集まるようなカフェを開こうと。そんなときに、もともと薬屋さんだったこの場所を見つけました。」

 

「開明香（かいめいこう）」という目薬を扱う薬屋さんだったことから、昔から「かいめんこや」と呼ばれていた店舗だったそうです。

20年ほど空き家になっていた場所を、昔の面影が残る、懐かしい雰囲気のカフェに生まれ変わりました。

 

置いてある古道具や家具はほぼ譲り受けたもの。それぞれにストーリーがあるからこそ、お店の雰囲気にもつながっているのでしょう。

 

お店の人気メニューは、カレー。

スパイスたっぷりのカレーは、辛さもちょうど良く、コクがあって毎日食べたくなるほど。やみつきになること間違いなしです。

こちらは夏限定のグリーンカレー。季節ごとのカレーが楽しめます。

 

無添加でつくられた手作りスコーンもおすすめです。

スコーンの種類は日によって変わるので、

お店に来るたびに「今日はなんのスコーンかな？」という楽しみも。

優しい味のスコーンを食べると、あたたかい気持ちになれます。

手触りのよい器やコーヒーカップにも癒されます。スコーンはテイクアウトもOK。

 

また、お店のコーヒーは手回しで自家焙煎したもの。

珈琲豆の種類はその時々によって変えているそうです。

時間をかけて焙煎した、こだわりのコーヒーをじっくり味わう、贅沢な時間です。

珈琲豆の購入も可能。様々な産地の珈琲豆が並んでいます。

 

お店には様々な年代の方が訪れていました。

地元のおばあちゃんたちはお茶を飲みながら「なつかしい雰囲気ね」と言いながらおしゃべり。

若い女性客や、おひとりで読書をする男性客など、それぞれが思い思いの時間を過ごしている空間が、とても居心地が良かったです。

 

「カフェに来たら、是非商店街の他のお店にも寄ってみてほしいです。今、六日町通り商店街には新しいお店が増えてきており、多様なお店が存在する、おもしろい商店街になってきています。」

と杉浦さん。

 

他にも、高校写真部とのコラボ企画や、キッチンカーを商店街に呼ぶイベントなど、さまざまなイベントも企画実施されています。

人が集う街、六日町通り商店街。

今後の展開も楽しみです。

 

ノスタルジックな気持ちになれるカフェでほっと一息ついて、六日町通り商店街を散策してみてくださいね。

 

 

（取材：足利 文香）