食や音楽を通してカルチャーを発信するカフェ

 

田舎ならではの田園風景が楽しめる、宮城県登米市。

登米ICから車で５分ほど走ると、道路沿いから赤い看板が目に入ります。

敷地内には接骨院があり、その奥を進むと、曲線模様がパッと目を引く個性的な建物を発見。

こちらは、「CAFE GATI」というカフェです。

お店の前にはかわいらしい赤いミニカーも。

 

お店に入ると、ふわっとコーヒーとスパイスのいい香り。

店内は、天井が高く、開放的な空間が広がっています。

アート作品やユニークな照明が特徴的な店内と、

豊かな田園風景を望むロケーションが

絶妙に掛け合わさっています。

明るく広々とした空間に、様々な形の照明があって独創的な雰囲気。

 

田園風景を眺めながら、ゆったりと食事ができます。

 

お店で出しているコーヒーは自家焙煎。

 

お店がオープンしたのは、2007年。

「この辺りには自分が行きたいカフェや遊ぶ場所がなかったので、ないならつくろう、と思ってつくりました。」

そう答えるのは、オーナーの柴田道文さんです。

 

登米市出身の柴田さん。

高校卒業後、農学部のある仙台の大学に進学します。

在学中、80年以上続く整骨院を経営していた父親が倒れたことを機に、柔道整復師の資格を取り、家業を継ぐことになります。

その傍ら、隣町でDJイベント等を開催していた柴田さんは、音楽好きや年代を問わず、様々な人が集うカフェを開こうと決意。

整骨院とカフェという、まったく違う業種を両立する道を選びました。

 

存在感のあるDJブース。音楽イベントが開催されることもあります。

 

店長の菅原綾さんをはじめ、開店当初は飲食の経験がほぼ無いメンバーばかりでした。

試行錯誤を重ねて、インテリアやメニューも変化を遂げ、今のスタイルに落ち着いたのだそうです。

こだわったのは”誰もが来やすい空間”と、菅原さんは言います。

 

「当時は想いが強すぎて、こだわりの家具を置き、

いかにも「こだわってます！」感を出していました（笑）。

でもそれだと敷居が高いと思われることに気付き、椅子やテーブルはもっと馴染みのあるテイストに変更しました。

アート作品や写真集もお店に置いていますが、あくまでも控え目に。

お客さんが自ら興味を持って、偶然出会ってもらえるような場にしています。」

螺旋階段を上ると、2階はアート作品が飾られていました。

 

そんなCAFE GATIのおすすめメニューはカレー。

好きなカレーを2種類組み合わせられるセット「あいがけ」をいただきました。

 

なんといっても見た目の美しさ！彩り豊かな副菜に心躍ります。

開店当時から続くガティカレーは、スパイスの効いたコクのある味わい。

甘くてフルーティなチキンカレーは、ホロホロと柔らかいチキンを、副菜と一緒に混ぜながら食べると、また違った味わいがして何重にも楽しめます。

スープ、サラダ、デザート、ドリンク付き。副菜とスープは日替わりで、季節の野菜を楽しめます。

 

自家焙煎珈琲とデザートが付いてくるのも嬉しいですね。

 

柴田さんは、登米の伝統的な能舞台「森舞台」で年１回開催する

野外フェス『森波（しんぱ）』も手掛けています。

多種多様なアーティストによる音楽や、お子様連れでも来やすい環境づくりなど、これまで登米になかった、新しいカタチのフェスが根付いています。

 

「登米の歴史や文化を知ってもらうきっかけとしてはもちろん、多様な出会いやつながりが出来ていく場になったら嬉しいです。

でも、一番は自分たちがやりたいからやっていますし、居心地の良い拠り所をつくっている感覚が大きいかもしれません。」

 

森林に囲まれたロケーション。能舞台ならではの音響装置による、圧巻のサウンドです。

 

食や音楽を通して、カルチャーを発信し続ける「CAFE GATI」。

音楽・アート・食を通して、様々な気付きや色んな人との出会いがあるかもしれませんよ。

 

 

（取材：足利 文香）