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地域密着&国が認めた指定工場で安心!整備士大募集

キスモ株式会社 / 技術職(自動車整備士)

インタビュー記事

更新日 : 2023年10月05日

公共交通の充実した金沢市だが、郊外にゆくほど自動車の重要性は高まる。特に雪が積もる冬場を考えれば、生活に欠かせないものと考える人も多い。一方で、車に詳しくない人にとって、自分にあった一台を探すのは骨の折れる作業だ。自動車販売のキスモ株式会社はメーカーや国内外の枠を超え、お客さまに合わせた自動車を提案することができるのが強みであるという。たくさんの車が並ぶにぎやかな社屋を訪ねると、きりりとした顔つきの林泰三社長(40)=写真左=と総務人事部長の田中千弓さん(25)が出迎えてくれた。

キスモ株式会社 事業概要

1994年創業、金沢市にて自動車販売などを手掛ける。社名はKanazawa、International、Service(奉仕)、MOtorsに由来。地域に根ざし、用途に合わせたさまざまな車種を国産、輸入問わず提案できることを強みとする。

2023年に30周年を迎えるキスモは、林泰三さんの父で現会長の隆信さんが創業した。もともと国内メーカーのディーラーだったが、1社の車しか販売できないのではお客様の要望に答えきれないと考え独立することになったという。
「たくさんの車を扱いたいという考えはなかなか受け入れられず、メーカーから嫌な顔をされたことがあったようです」ディーラーで地元のお客様と幅広く関係を築いてきた隆信さんは独立後も熱心な営業を続け、今では個人・法人問わず多くの常連を抱える会社に成長した。そんな父のもとで、林さんも子どもの頃から自動車販売のノウハウを覚えたのかと思いきや、まったく異色の経歴をたどってきたのである。大学卒業後、まず最初についた仕事は県選出の国会議員の秘書だった。
「7年くらいカバン持ちをしていたんです。送迎したりスケジュールを管理したりしながら様々な場所を飛び回っていました」
議員の秘書といっても政治家を目指していたわけではない。三男である林さんは当時キスモの社長を継ぐことになるとは思っていなかった。就職活動もしていなかったところに父の紹介で舞い込んだのが秘書の仕事だったのだ。
 「まったく仕事として取り組んでいました。20歳そこそこの自分にとって知らない世界をたくさん見せてもらいましたし、信用の大きさも痛感しました。同世代より濃い人生を送ってきたと思っています」
 キスモに就職したのは、ちょうど創立20周年となった2013年だった。働く父の背中を見てきたとはいえ自動車についてはまったくの素人だった林さん。暑い日も寒い日も客の車を丁寧に洗いあげ、理想の一台を求めるお客様に熱心に向き合った。現場から事務まで一通りの仕事を叩き込む毎日を送ったという。意外な経歴を淡々と語る林さんだが、秘書の経験や人脈が今も生きている。議員の後援会で顔見知りになった地元企業の中には、今でも車探しに林さんを頼る人も多い。

暮らしてわかった「必需品を売っているんだ」

総務人事部長の田中さんは名古屋出身。地元高校を卒業後、求人広告や人材派遣を手掛ける会社の金沢支社に就職した。社風は厳しく1年後に3割残ればいいと言われるほど激務だったが、一方で物足りなさもあったという。
「新しいことをたくさんやってみたかったんですが最初はルーティーンワークばかりでした。これを続けていても成長がないのではと思ってしまって」。仕事の目的はスキルアップだと考えていた田中さんは1年めで転職を決意。派遣社員として迎えたのが林さんとキスモだった。最初は保険の営業担当だったが、前職の技術を生かして広告作成や経理も行うようになると仕事がどんどん楽しくなっていく。社長の林さんにも率直に意見する姿勢が気に入られ、3か月めで正社員登用になった。車を買いに来る40代前後が入りやすいよう事務所を明るい雰囲気に改装し、公式SNSで直接客へのアプローチを始めたのも田中さんの提案が発端だった。「成果は少しかもしれませんが、新しいことを覚えるたびに成長を感じています」。直接お客様と話すことが多い今の職業では、反応がダイレクトに返ってくるのもモチベーション維持につながっているという。
「思いつくとすぐにデータを持ってきて提案してくる。いいものも悪いものもありますが面白いので『じゃあやってみて』って言ってます」林さんも笑顔で語る。メーカーの枠を超えた提案がしたいという思想で始まったキスモだからこそ、新しいことを思いつく田中さんとは相性が抜群だったのかもしれない。
 一方で、もともと石川にはほとんど来たことがなかったという田中さん。生活でまず驚いたのが自動車の重要性だったという。「恥ずかしいんですけど金沢にも地下鉄があると思っていました。行きたいところに行くのがこんなに難しいとは想像していませんでした」。出身地の名古屋も自動車社会ではあるが、中心市街地に住んでいた田中さんにとって日常の移動は公共交通機関。車はステータスを示すものという認識が強かった。
「必需品なんだと衝撃を受けました」自動車業界に転職後は、冷蔵庫や洗濯機と同じくらい重要なものを売るのだと気を引き締めてセールスに臨んでいる。

電気時代に「価値を生み出す側になりたい」

キスモは創立後もさまざまな挑戦を欠かさず続けてきた。知人から「老人ホームに入所したいが保証人がいない」という悩みを聞いた林さんは、保険業とも関係が深い自動車販売の強みを活かし、保証人代行業を手掛ける入所相談サービス「キスモケア」をスタート。最近では北陸に多い大雪での路上立ち往生に備えた防災セットの販売なども始め、自動車を取り巻くさまざまな問題解決に取り組んでいる。
目下、最大の課題は欧米で進められている自動車のEV化だ。「ガソリン車とは全く違う構造で、整備や販売なども大きな革新を迫られています。早急に取り組み、電気自動車でも信頼される会社にしていきたいです」。新型コロナウイルス感染症で自動車の生産や販売が停滞している今を将来に向けた取り組みを考える好機と捉えている。「例えば集合住宅や集合駐車場では充電が難しい。電力会社などと手を組むこともできるのではと思っています」
 そもそも、自動車販売台数は年々減少傾向にあり、若者の車離れなどの問題もある。法人顧客も多いキスモでは社有車需要もあり大きな打撃はないが、カーシェアが盛んになることを見越したレンタカー事業の改革も検討している。まだまだガソリン車に乗り続けたい車好きに向けた、名車の再整備サービスも開始した。「何でも早めに手をつけることで『キスモは昔からやってるよね』という安心感が生まれます。これからは価値を生み出す側になりたいですね」林さんは胸を張った。
車の販売・整備から、社会に必要なものを生み出すメーカーへ成長を目指すキスモ。林社長の握るハンドルは新時代を見据えている。