定年後に「開墾」健康の里に
ケロンの小さな村(能登町斉和)定年後に「開墾」健康の里に
ケロンの小さな村(能登町斉和)金沢から2時間ほど車を走らせると、能登町の山あいの小さな谷に、まるで童話の世界に迷い込んだような「ケロンの小さな村』がある。里山の魅力をふんだんに楽しめる自然体験施設で、米粉パンやピザをつくる工房のほか、里山の生き物を観察できるビオトープや水車小屋、森の中にはツリーハウスなどもあり親子で遊ぶのにもってこいの場所だ。
【この記事は金沢日和が制作しました】
「ケロンの小さな村』は、能登地域の高校で校長を務めた上乗秀雄(じょうのり・ひでお)さん(79)=志賀町出身=が作った。退職後に趣味のパン作りや園芸などを楽しみながら健康な余生を過ごしたいと考え、耕作放棄地だった土地を気に入って購入。開墾したのが村づくりのはじまりだ。
村づくりの最中に湧き水が出て、飲み水にできることが判明。県教育委員会時代の上司から「きれいな水が出るなら、県としても応援するから、人が集まる施設として地域貢献してはどうか」とすすめられた。子どもの環境教育やにぎわいづくりの場所になればと、1年かけて妻と手づくりでつくりあげ、2009年にオープンさせた。
村では収穫した米や野菜、果樹などの栽培、加工、販売を一貫して行うことで魅力を高める「六次産業化」に取り組むかたわら、飲食店運営や里山の景観整備や遊び場の改良も続ける。自然体験や環境教育を通じた子どもの健全育成の取り組みが高く評価され、2022年には「ふるさとづくり大賞」の総務大臣表彰を受賞している。
「ケロンの小さな村』は土日のみの営業。村内では遊具で遊んだり、散策し楽しんだりできるほか、パンやピザ作りなど多彩な体験をすることができる。来村時には、焼きたての米粉ピザを味わえるピザ作り体験をおすすめしたい。ちなみに名前の由来にもなっている「ケロン」は、この谷間に生息するカエルにちなんでいる。
上乗さんは健康に貢献したいと玄米をつかった食品づくりにこだわっており、「食べる人、作る人、土地の三者が、豊かに健康になることを目指しています」と話す。
地元客だけはなく、県内外からの観光客やリピート客も多いという。「色々なものが来るたびに増えているので変化も楽しめる」、「子どもが色んな生き物探しに熱中している」という声も聞く。ここに来ると子どもの遊びの幅が広がるようだ。また、大人は子どもから目を離さずに近くのテラス席やテント席でゆっくりとくつろぎながら過ごせるのも魅力となっている。昔ながらのポンプで井戸から水を汲み上げたり、田んぼを眺めながらブランコ漕いだりと、大人も童心に帰って夢中になれる。
2022年からケロン子ども森の学校では「頂上桜回廊づくり事業」と銘打って森林の整備を進めている。7年に及ぶ壮大な計画で村の裏山の頂にサクラを植樹し200メートルの桜並木を生み出す。周辺には遊び場としてフォレストアスレチックをつくる予定だ。「人が楽しく憩い、学ぶ場所にしていきたい」と期待を込める。「今年から山ゆりの花がたくさん咲くようになったんです。整備していたら山に光が入るようになったのかな。今までこんなことはなかったのに」と上乗さん。今なお自然から学び、気づくことが多く面白いと話す笑顔がとても印象的だった。
パンやピザ焼きなどのお店は土日のみの営業。『ケロンの小さな村』そのものは平日も自由に遊ぶことができる。能登へのおでかけやピクニックの目的地におすすめのスポットだ。
名称 | ケロンの小さな村 |
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住所 | 能登町斉和た26 |
営業時間 | 土日のみ10:00~17:00 |
座席数 | 30(テラス席や野外レストラン含む) |
定休日 | 土日以外の平日 |
ウェブサイト | https://keronmura.wixsite.com/noto |