加賀の伝統、絢爛豪華に

金沢百万石まつり

入城を祝う


江戸時代までの加賀藩は、石川県だけでなく富山県西部まで広大な領域を誇っていた。加賀百万石の威容を現代に伝えるイベントが、毎年6月最初の週末に行われる「金沢百万石まつり」だ。加賀藩祖の前田利家公が金沢に入城したのは1583年6月14日とされている。以来、人々はこの日を城下町の幕開けとして盛大に祝ってきたのである。百万石まつりの直接の始まりは、第二次大戦後に利家公らを祀る尾山神社で営まれていた「尾山まつり」だった。次第に市民が参加する大イベントとなったが、毎年14日ごろは梅雨と重なることから前倒しされ、現在の日程に落ち着いている。

サラリーマンも主役

利家公と妻おまつの入城を再現した武者行列「百万石行列」は、有名俳優が選ばれ沿道には黄色い声援が飛び交う。一方で、お殿様に花を添えるべく「出陣」する地元企業の活躍も見どころだ。スーツではなくよろいかぶとで身を固めた会社員たちの。きりっとした姿も頼もしい。毎年参加の企業もあるので、県内に就職した際は憧れのサムライを目指してみるのも面白いかもしれない。

まつりは武者行列にとどまらない。伝統芸能である加賀鳶のはしごのぼりや、地元小学生による提灯行列の披露、市内各地で開かれる茶会に薪能など、とても回りきれないイベントがもりだくさんだ。もちろん、お祭りらしい屋台も、香林坊を中心にずらりと立ち並ぶ。まさに街全体が巨大な遊園地となる夢のような3日間である。

当日は金沢駅前から近江町市場、香林坊、片町など中心街の道路が通行止めとなり、バスやシェアサイクルも休止される。もし梅雨前に駆け込みの旅行がしたいなら、十分に注意されたい。
(写真提供:金沢市)

名称 金沢百万石まつり
期間 6月第1土曜日を中心とする3日間
場所 金沢市内各地