なにわの技で能登食材に向き合う

井上雄介さん、敦美さん(割烹「夥汲」)

 

能登半島輪島市に、地元の食材にこだわった和食と地酒が楽しめると評判の店がある。それが井上雄介さん(49)=大阪府出身=と敦美さん(54)=岐阜県出身=夫婦が切り盛りする『割烹夥汲(くわぐみ)』だ。元々大阪で14年間、同店を経営していたが、能登の食材に惚れ込み2020年に輪島市へ移住。準備を経てその翌々年の2022年にオープンした。

 

能登に移住し和食を届ける

 

夥汲とは「汲んでも汲んでも尽きないほど酒を汲み交わす」という意味。店内に入ると輪島産のアテの木を使用した1枚板のカウンターが目に入る。「開店する時に1枚板がよいなと思っていたのですが、ちょうどいい木が手に入ったんです」と井上さんは話す。

「ずっと料理人になりたいと思っていた」井上さんは高校卒業後、すぐに料理の道に入り、31歳で自分の店を持つ。日本酒にこだわりを持つ井上さんが珠洲市の宗玄(そうげん)酒造のお酒を扱いたいと足を運んだことがきっかけで、ぶりなど能登の魚を当時から使っていた。しかしマンション建設で立ち退きを求められ閉店。閉店の挨拶回りをしていた時に、能登の食材を仕入れていた鮮魚店から物件の紹介があり、輪島に移住し新たに『夥汲』をオープンした。移住当時を振り返り、「受け入れてくれる能登の人の優しさがとてもありがたかった」と言う。奥様の理解と支えがあり、二人三脚で能登の食材を活かした和食を届けている。

この日の日替わりランチは、ヒラメやイワシ、ヒラマサの造りや能登豚の角煮、ベニズワイガニのクリームコロッケ、輪島フグの羽二重蒸しなど地元の旬の食材をふんだんに使用した料理が並ぶ。

 

能登での暮らしは自然の良さ

 

能登での暮らしについて伺うと、自然が良いと言う。「大阪とは違い、身近に自然があって、山に行けば山菜取りができ、能登のフキは香りが高いということを学んだりすることが楽しい」と話してくれた。ないものねだりをしない性格もあって不便さはないそうだが、敢えてと聞くと「強いて言えば、草刈りと雪かきが大変ですね」と笑顔で答えてくれた。

 

和食を通して能登を表現する

 

今後は、旬の食材を大切にしながら、料理を通して能登の自然の良さや風土を表現していきたいと言う。大阪の頃からこだわっている日本酒も、酒造りの技術者が多い能登杜氏(とうじ)のお酒を多く揃える。「地元の人はもちろん観光客の人にも、能登ってこんなところなんだよと伝えたい」と話すその目は優しい。お店はランチと夜と営業しているので、ぜひ旬の能登の食材と日本酒を楽しんでみてはいかがだろうか。

【本記事は金沢日和との連携で制作しました】

取材協力 割烹 夥汲(くわぐみ)
所在地 輪島市水守町堂端 31番地1
営業時間 昼の部11:30~13:30、夜の部18:00~21:00
定休日 火曜
座席数 カウンター7席、座敷14席
駐車場 5〜6台
公式サイト https://kuwagumi.jp/