海を越える農道

ツインブリッジのと(七尾市)

 

対岸までわずか600メートル
 

東にゆるやかなカーブを描く能登半島。弧の内側に包まれるように浮かんでいるのが石川県最大の離島、能登島である。
面積は約47平方キロメートルで、伊豆諸島の三宅島に次ぐ大きさをもっている。

縄文時代から人々が暮らしており、藩政期には流刑地として政治犯などが送りこまれていたこともある。
船が唯一の交通手段になっていたが、1982(昭和57)年に能登島大橋が開通したことで地続きとなり、のとじま水族館やガラス美術館などが開館。今では年間100万人の観光客が訪れる県民に馴染み深いレジャースポットになった。

ツインブリッジのとは1999(平成11)年、七尾湾の三ケ口瀬戸(みつがぐちせと)に架けられた。三ケ口瀬戸は七尾湾が最も狭まる場所で、両岸はわずか600メートル。さらに瀬戸の中央に無人島の猿島が立ちはだかっているため、もはや陸続きと錯覚しそうなほど対岸は近い。この瀬戸を境に、北は七尾北湾、南を七尾西湾と呼ばれている。

 

奥能登~七尾のバイパスに

 

橋は海辺の集落である長浦の真上を飛び越え、右手に猿島を望みながらあっという間に島へ通じている。橋は620メートルで迫力ある斜張橋である。1982年に開通した能登島大橋は1998年まで有料道路になっており、ツインブリッジのとは能登島大橋の無料化と時を同じくして第2のアクセス道路としてデビューした。七尾市や金沢市に近い能登島大橋と比べて交通量は少ないものの、2つの橋を使って能登島を縦断するルートは七尾湾を比較的まっすぐ突っ切ることができるため、奥能登方面へのバイパス道路としても活用されている。

県道である能登島大橋に対してこちらは農道となっており、両者は規格が異なる道路である。ツインブリッジのとの中島町側には、商業施設と駐車場を備えた長浦うるおい公園が整備されている。一角には美しい橋の全容を眺められる展望台が用意されており、思わずカメラを向けてしまうこと間違いなしだ。

名称 ツインブリッジのと(中能登農道橋)
所在地 七尾市中島町長浦・能登島通町