弘法大師ゆかりの風景

見附島・見付海岸(珠洲市宝立町)

 

奥能登のシンボル

 

珠洲市の観光地として真っ先にあがるのが見附島だろう。見付海岸の沖にそびえる舟型の島で、浜辺に舳先を向けたような姿から「軍艦島」とも呼ばれている。
高さは28メートル。あの戦艦大和でも海面から上甲板までの高さは10メートル程度なので、見上げたときの迫力は本物の軍艦以上だ。珠洲市の名産品にもなっている珪藻土の岩塊であり、「甲板」は市内に多く自生するツバキの原種ヤブツバキの木が茂っている。まさに珠洲名物の盛り合わせになっており、島をモチーフにした「みつけたろう」というゆるキャラは、市の広告塔として活躍している。

 

 

弘法大師が降りてきた!?

 

東京の「赤坂見附」は江戸城の見張りが置かれた場所だが、見附島は特に城とは関係がないと言われている。

名前の由来になったのは平安時代に全国を巡り、仏の教えとともに大陸の優れた土木技術も伝えた弘法大師(空海)だ。

あるとき佐渡での仕事を終えた弘法大師は、法力により空へ飛び上がると、そのまま日本海を渡って能登へ降り立ったと伝わる。その際、上空から特徴的な姿をした見附島が目に留まり、珠洲に立ち寄った。弘法大師が見つけた島として、のちに見附島と呼ばれるようになったのである。その真偽はともかく見附島は上空からも目立つ存在なのは確かで、能登空港から離発着する飛行機からもはっきりと望むことができる。

もろい珪藻土でできた島は風雨による崩落が続いている。かつては島の上に弘法大師をまつったほこらが建ち祭事も営まれていたが、2007年の能登半島地震による島の一部崩落とともに倒壊。現在は、ともに海へ落下したヤブツバキの木とともに、対岸の見付海岸に移されている。また、2020年まで島の向かって左側に岩場があり「見附小島」などと呼ばれていたが、こちらも台風による高波で消滅してしまった。

能登町の恋路海岸までつづく砂浜の長い海岸線は「えんむすびーち」として恋人の聖地にもなっている。日々の散歩コースとしても親しまれているので、新生活の幕開けにふさわしい素敵な出会いを見つけられるかもしれない。

名称 見附島・見付海岸
所在地 珠洲市宝立町鵜飼
アクセス のと里山空港(能登空港)から車で40分、北鉄バス珠洲特急線「珠洲鵜飼」から徒歩17分、珠洲・宇出津特急線「南鵜飼」から徒歩8分
駐車場 200台(見附公園駐車場・無料)