悲しい伝説の海
恋路海岸(能登町恋路)悲しい伝説の海
恋路海岸(能登町恋路)
能登町と珠洲市の境に位置する恋路(こいじ)海岸。小さな砂浜と、赤い鳥居の立つ弁天島の美しい景観が人気を集めている。地名の珍しさから新しい観光スポットと思われるかもしれないが、由来は1000年前の悲しい伝説によるものだといわれている。
海岸に面する「恋路ロマンチックパーク」には、坂坦道(さか・たんどう)作の銅像「恋路物語」が設置されている。坂は能登町出身で、札幌市の「丘の上のクラーク像」を手掛けたことでも有名な彫刻家だ。浜辺で語らう鍋乃と助三郎の像は、縁結びを願う観音像とともに、当地の撮影スポットとなっている。また秋には鍋乃の灯火を模した松明を焚き、勇壮なキリコが海へ繰り出す「恋路の火祭り」が営まれている。
恋路海岸が全国に知れ渡ったのは1980年代のこと。国鉄が仕掛けた観光キャンペーン「ディスカバー・ジャパン」で鉄道旅行をする若者が急増。輪島、珠洲が鉄道で結ばれていた当時、能登半島は日本最後の原風景として全国から人気を集めた。
恋路海岸の目の前には能登線の恋路駅があり、ロマンチックな地名から恋人の聖地として一大ブームを巻き起こした。列車が着くたび黒山の人だかりとなり、小さな砂浜は夜通し語らう男女で真っすぐ歩けなかったという。恋路駅の入場券はもちろんのこと、隣の松波駅までのきっぷは「恋路を待つ」の語呂合わせで恋愛成就を願う人気のお土産となった。多くの人を奥能登へ誘った能登線も2005年に廃止となったが、恋路駅のきっぷやグッズは周辺の商店や、列車を運行していたのと鉄道(和倉温泉〜穴水駅)主要駅で販売が続けられている。
現在は海水浴と祭りの時期以外は静かな恋路海岸。かつて能登旅行を楽しんだと思しき世代が、夫婦で再訪する姿も見られるなど、悲恋の伝説は今もなお多くの人を引きつけている。
名称 | 恋路海岸 |
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所在地 | 能登町恋路 |
アクセス | のと里山海道能登空港ICより車で45分、駐車場あり |