ひっそり充実!!金沢ファッション

竪町の古着店で全身コーデ

城下町のイメージがある金沢市。実は古いものばかりではなく、最新のトレンドにも敏感な街である。
今回はファッションを楽しめる商店街「竪町(たてまち)」で、お気に入りの古着を探す休日をシミュレーションしてみた。

 

200店の華やかな商店街「竪町」

デパートやオフィスが並ぶ金沢の中心香林坊から徒歩5分。大通りから斜めに分かれていく石畳の道が竪町商店街だ。
約400㍍あまりの通りには個性的な200店舗が軒を連ねており、中でも目につくのがブティックや古着店である。
「古着屋巡りにはちょうど天気いいですね」待ち合わせ場所の喫茶店に現れたのは筆者の大学の後輩であるT氏(28)だ。彼は学生時代、持ち前の長身を活かしたファッションで在籍する文学部内の人気をさらい、今はアパレルメーカーで衣類販売に携わっている。古着はあまり専門ではないそうだが、無関心な私に比べれば知識は圧倒的だろう。なにせ既に服を買う必要がないと感じるほどキマっている。
「全体的にパッとしない格好を選んだつもりです。まずはアウターからですかね」

 

アイテムぎっしりGROOVY

向かったのは通りの中ほどにある「古着屋GROOVY」だ。落ち着いた照明の下には、米国を中心としたカジュアルアイテムがびっしり掛けられており、いかにも古着店といったイメージの店内だ。価格が手頃で、大学生や20代の若者からの支持も厚いという。
「上下が全体的に白すぎるのでアクセントになるものを探したいと思います」


さっそく手にとったのは紫とシルバーのウインドブレイカー。シックな花柄シャツとの相性が気になるが、合わせてみると意外と悪くない。「ひとつ候補にしておきましょう」慣れた手付きでハンガーを戻すと、T氏はさらにお買い得アイテムの多い地下の売り場へ下りていく。次に見付けたのはグレーのジャケットだ。「少し真面目感が出ますね」と言いながら鏡の前でうれしそうだ。下に着ているものは同じなのに印象は全く違う。毎シーズン4着くらいで過ごしてしまう筆者には新しい発見だ。
「でも今回はおしゃれしたいという企画ですよね。少しはずしていたほうが良さそうなのでさっきのウインドブレイカーにします」
さっそく一着目を手に入れてうれしそうなT氏。4950円とお手頃だったのも決め手になった。

 

今風「レトロ」クジラ古服店

次に向かったのは竪町通りをさらに進んだクジラ古服店。2022年7月に開店したばかりで、白を基調にした明るい雰囲気で入りやすさも抜群だ。現代でも通用するレトロをテーマにアメリカやヨーロッパから仕入れたアイテムを多数揃えている。T氏も初めての来店だったが、2階まで一通り見終わると、さっそくシャツを手に取り試着室へ。こういうのもいいですね、という組み合わせが次々に出てくるのもセンスだろうか。
「派手な色はそのまま使いづらいので、落ち着いた色の上着を重ねることで見栄えが良くなるんです」といいながら出てきたT氏。
もはや本来の目的を忘れて全身コーディネートされてしまった。完璧な統一感に店員さんも「秋にかけていいスタイルですね」と絶賛してくれた。



今回の取材はここでタイムアップとなった。お気に入りの服を手に入れてクジラ古服店を出ると、T氏はまた竪町通りを進んでいく。
「この先にもいい洋服店があるんですよ、新品のお店ですけどね」

すっかりスイッチが入ってしまったT氏。紙袋を両手に、賑わう雑踏へ消えていった。
魅惑のファッションストリート竪町。移住や観光の際には、ぜひお気に入りの一着を探してみてはいかがだろうか。